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第220話 サザーメリド国での魔物暴走対応協力 3

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

次の日、朝になり、書置きした通りに砦の入り口に重力魔法で移動したところ、王太子達がいた。


「おお、精霊導師殿。昨夜は部屋を抜け出されたようだが、どちらへ行かれたのかな?」


「その物見塔の屋上で休んでおりましたわ。昨日あの女中に申しましたが、魔法禁止の措置は、精霊導師である私にとっては、害悪以外の何物でもございません。この件は、帰国後報告させて頂きますわ」


「どうも誤解があったようだ。そこは、相互理解が足りなかったということにして欲しい。ところで、今日の体調はいかがかな?」


「魔物暴走対処には問題ございませんわ。対処後には、証明書に王太子殿下の署名を頂きますので、宜しくお願いします」


「昨日の話が本当に果たされるのであれば、署名など幾らでも書こうではないか」


「では、私は配置に付きますわ。御前失礼します」


そう答えて、昨日の会議の通りに、私は一人で砦から離れ、森の近くに来た。暫くして、魔道具らしき、光る球が空に上がった。魔物の群れが出現する合図だ。


今回は、魔物を窒息させても問題ないと思うが、あまりあれを他国に見せるのは、危険な魔法を開発される可能性があるから、宜しくないだろう。ということで、誰も真似が出来ない荒魂を使うことにする。そして、相手はタフな魔象だから、念の為、火荒魂を使おう。この付近は、赤道直下だからか、火属性のエネルギーが多めだし、丁度いいだろう。魔物達が森から姿を見せ始めた所で、私は和合を始めた。


【我が魂の同胞たる火精霊よ。我と共に在れ】


和合を完了した。水の大精霊から和合のコツを学んだことで、更に力が増しており、いい感じだ。素早く周囲から火属性のエネルギーを集めつつ、火荒魂を放つ体勢を取った。エネルギーは十分集まった……あとは脳波を感じつつ、魔物達が近くまで来るのを待つ……今だ!



「はっ!!」



火属性のエネルギーと魔力の赤い奔流が、激しく光りながら魔物達を飲み込み、吹き飛ばした! 光が収まった後、火荒魂が通過した所は荒れ地と化し、森林の端は炎が上がり、魔物達はことごとく黒焦げになって倒れていた。自分がやったとは言え、酷い状態でげんなりするわ……。


魔物の群れはほぼ殲滅出来たので、和合を解いて、改めて両手を火精霊と同化し、森林の炎を消火に向かった。その際に、まだ森の奥に一部残っていた魔物を見つけ次第レーザーで仕留め、協力した証拠の一部として、死体を収納しておいた。




森の消火を終え、目に付いた魔物も片付けてから、戻ろうとした時に、何となくそこにあった沼を見てみた。その沼の周辺には、前世の記憶にある、稲に何となく似ている植物が生えていた。もしや! と思って、近くにいた地精霊に聞いてみると、詳細は不明だが、穀物ではあるらしい。


この付近にしか生えていないそうなので、人の世には広まっていないらしいが。それなら、幾つか持ち帰って、品種改良してみよう! もしかすると、米が手に入るかもしれない!


米の原種かもしれない植物を手に入れ、浮かれそうになるところだったが、仕事中なので気分を切り替えて砦に戻り、王太子に報告に行った。


「……た、大儀であった」


王太子は、明らかに私に怯えていた。まあ、仕方ないが……でも、貰うものは貰わないとね。


「お褒めに与り、誠に有難く存じますわ。では、この証明書に署名を頂きたく存じます」


異空間から証明書を取り出し、さっさと署名をさせる。これで任務完了だし、帰れるかな?


「では、私については、帰国致しますので、ご案内をお願いします」


「そ、それは困ります! 王都で行う、魔物暴走終息を祝した閲兵と宴に参加をして頂かねば!」


王太子の隣にいた、文官らしき人が言った。そう言われてもね……。


「協定書には、必要最小限の接遇を超える金品は頂かないよう記載されております。大々的な祝宴などに参加致しますと、私が国に疑念を抱かれてしまいますわ」


必要以上にサザーメリドと私が懇意になるような状況が起きないよう、協定書に記載している辺り、流石は宰相閣下だわ……。


「そ、それでは仕方ないが……魔物の掃討は本日中に終了するため、今夜は砦でささやかな宴を行うのだ。その程度ならば良かろう?貴女も疲れているだろうし、その後ゆるりと休まれよ」


「……しかしながら、昨日の様な事もございましたので、やはり、帰国させて頂きたいと存じます」


「あ、ああっ、部屋は貴女の要望通り、通常の部屋に変更した。そちらの事情も考慮せねばな。ただ、昨晩の様に不用意に外に出られると警護上問題があるので、基本的には部屋で休んで貰いたい」


「そこまで仰るのであれば、本日はこちらで休ませて頂きますが……私に怯える者も多いでしょうから、食事は一人で頂きますわ。御前失礼します」


これ以上何も言うことは無いので、その場を離れ、通常の部屋とやらに案内して貰った。なお、案内役は昨日のメイドではなく、別の人だった。察するに、責任を取らされたのだろう。指示した者の責任なのに、酷いものだ。




テーブルとベッド、化粧台などが置いてある、窓のない部屋で一息つきながら、精霊達に周辺の異状の有無を確認して貰ったところ


『愛し子~、そこに何か変なものがあるよ?』


と言われたので、化粧台を重力魔法で動かしてみると、その後ろに、香炉のような魔道具? が置いてあった。念の為、異空間に収納しておこう。精霊達には、その後も周囲を警戒して貰った。私はとりあえず、感覚共有して周囲の状況を確認していた。


兵士達が僅かに残った魔物達を討伐していたが、確かに魔象は強かった。それでも兵士数十人がかりで、遠距離から魔法を一斉に放ち、弱った所を槍で一斉に攻撃してとどめを刺していた。私が出る必要もなさそうだ。


昼食と夕食については、部屋に持って来て貰ったものの……やはり何かしら変なものが入っていたようで、精霊が警告して来た。やはり証拠品として収納しておいて、自分で持って来た食事を食べ、食器の回収に来たメイドには「別の者が回収しましたわ」と言っておいた。回収したのは私だけど。




夜になると、確かに兵士達が騒ぐ声が聞こえて来たが、それなりに疲れていたし、気にせず寝た……のだが


『愛し子、起きて~。この部屋に良くない感じの男が近づいて来たよ』


と、精霊が警告して来たので起きた。導師服のまま寝ていたので、そのまま対応可能だ。


一旦風精霊と同化して、姿を消しつつ部屋の隅にこっそり移動した。部屋の外で、何やら話し声がした……と思ったら、扉の鍵が外側から外され、静かに扉が開き、誰かが部屋に侵入して扉を閉じ、鍵を掛けた。


その侵入者は、私が眠っていたベッドの方へ近づいて行ったが、私がいないことに気付き、足を止めた。


「何故いない? 窓は無いから昨夜の様に外に出ることは出来んし、夜になれば作動する眠りの香を仕掛けておいた筈だが……?」


ああ、あれ、眠り薬系の仕掛けだったわけね。さて……明確な敵対行為だし、事情を聞いてみますかね。


とりあえず、近付いて姿を現し、威圧したところ、こちらを見て驚いた表情をして、ブルブルと震え出した。五月蠅くされると面倒なので、部屋の外に音が漏れないようにした上で、私は質問した。


「王太子殿下、何故ここにいらっしゃいますの? 理由をお聞かせ願えませんか?」


「な、何故、突然、あ、現れた? そ、それに、眠く、ない、のか?」


「伺っているのはこちらですわ。このような不埒な行為、協定以前の問題ですわ。さあ、話して下さいな。それとも、あの魔物達のように、黒焦げになってみますか?」


更に強く威圧したところ、王太子はその場にへたり込み、股間から液体が流れた。汚いから、さっさと聞いて部屋から出よう。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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