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第021話 テトラーデ領での滞在 2

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

その日の夕食は、叔父様一家やお祖父様、お祖母様と一緒に頂いた。もうテーブルマナーも慣れたもので、何ら問題はない。あと、食事は変わった食材を使っているわけではなかったが、何だか洒落ている感じがした。


聞いてみると、ここの料理人は、王都の店で働いていたらしく、腕のいい方だそうだ。うちは何というか、田舎だから素朴な料理が多いんだよね。特に不満はないが、王都に近くなるとやっぱり違うなあと考えさせられた。


あと、今後の予定なども話題に挙がった。とりあえず明日は屋敷の中を案内してくれるそうだ。また、数日後にはペアレム市街に連れて行ってくれる予定だそうだ。父様達にお土産を買わないとね。




次の日、伯爵家家令のブラウスターさんが兄様と私に屋敷の中や庭を案内してくれた。母様は叔母様と知人への挨拶回りに行っている。ブラウスターさんは母様が子供の頃からテトラーデ家に仕えており、屋敷内での母様の思い出を語ってくれた。小さい頃はヤンチャで我儘だったそうだが、お祖母様が厳しくしつけたため、立派な令嬢に成長したそうだ。丁度、今の私の立場だったということか。私が立派な令嬢かはともかくとして。


庭の花壇には、水仙が咲いていた。水仙は母様も好きな花だそうだが、アルカドール領は寒いので水仙を育てるには適さない。そういう意味でも里帰りできたのは良かったかもしれない。


昼食の後は、図書室の本を自由に読んで良いという許可をもらったので、家に無かった本を借りて来て部屋で読んでいた。貝の養殖に関する本だったのだが、テトラーデで養殖している貝は、イラストを見る限り牡蠣だった。真珠貝は養殖していないようだ。牡蠣の旬は、恐らく冬だろうから、丁度今頃が美味しいのだろうな……と考えていたところ、夕食に焼き牡蠣が出て来た。非常に美味しかった。




その後数日間は、部屋で本を読んだり、うちの護衛達の鍛錬に混ざって体を動かしたりしていたのだが、その様子を従弟のアレクが見て、目を丸くしていた。ちなみにアレクはまだ5才なので、本格的な鍛錬にはまだ早いということで、剣術の教育は受けていない。


兄様の剣術の教育も7才に入ってから本格化したので、特におかしいとは思わなかったのだが、アレクは女の子である私が既に鍛錬をやっているのだから、自分もやりたいと言い出した。ちなみに私の場合、名目は剣術ではなく、身体強化なので、魔法の勉強に入る。少し状況を説明しておこう。


「アレク、私が今行っているのは、身体強化の実践、つまり魔法の授業の一環なのですよ」


「えっ?フィリス姉さまは、先ほど護衛の方と剣を打ち合っていましたが……」


「アレク、私は兄様と違い、こんなに非力なのですよ?身体強化が出来るからこそ、大人の方々と剣を打ち合えるのです。アレクは、身体強化が出来るのですか?」


「……いえ、僕はまだ魔法はできません」


「では、兄様みたいに、ある程度体が出来てからでないと怪我をしてしまうわ。兄様は、7才から剣術を始めたのだけれど、それでも最初の方は非常にお辛そうでしたもの」


「そうなのですか……フィリス姉さま、ごめんなさい」


「分かればいいのよ。そうだわ、アレクにいいことを教えてあげましょう。今から体を鍛えて丈夫にしておけば、剣術の授業が始まったら、すぐに上手くなるわ」


そういって、幼児にもできる簡単なトレーニングメニューと、我が家で広めた体操を教える。


「叔父様や叔母様の言いつけに従って、怪我をしないように頑張って頂戴ね」


「フィリス姉さま、ありがとう!僕、がんばってみるよ」


アレクは去って行った。その後、メニューが怪我なく簡単にできるものであったため、特に問題なく許可が下り、毎日少しずつ頑張っているらしい。




テトラーデに来て数日経った夕食後のこと。お祖父様から、明日ペアレム市内の見物に行かないかというお誘いがあった。兄様と私は勿論了承し、母様も知人への挨拶は終わった様で、見物に行くことになった。

次の日準備を整えて玄関へ行くと、お祖父様、お祖母様とアレクがいた。午前中は市場や職人街、昼食の後、郊外の景色の綺麗な場所に行くということらしい。


市場にやって来た。朝一番の頃よりは落ち着いている筈だが、それでもまだ人は多い。私は兄様と手をつないで歩いた。セイクル市の市場とは、品ぞろえが結構違っていた。セイクル市は根菜が多かったが、ペアレム市は野菜がメインだ。また、セイクル市では見なかった茶葉が市場で普通に売っていた。平民もお茶を嗜んでいるとは、流石お茶の名産地だ。あと、柑橘類らしき果物が売っていた。


そんな感じで歩いていると、私の後ろの背後霊ならぬ精霊達が、変な視線を感じると警告して来た。おおよその方向を教えてもらい、同行しているレイテアを呼んで警戒を頼むと、暫くして不審者を捕まえたそうで、近くにいた警備隊に引き渡したらしい。よくある話なので、特に予定の変更はなく、職人街に向かった。


お祖母様が懇意にしている、工芸品と魔道具を扱っている店に入った。品ぞろえが豊富なので、ここで土産を買っておこう。先日茶会に招いた4名の令嬢には、水仙が描かれた木製の栞を買った。父様とお祖父様には、風と火の精霊の意匠が飾られた羽ペンを買った。兄様も土産を買ったようだが、特に被ってはいないので一安心だ。


昼食は、母様曰く予約主体で営業しているので、静かに食事が出来るレストランで食べた。美味しかったのだが、山葵らしきものが和えられていた牛肉を食べたアレクがせき込んでしまう場面があった。子供に山葵は危険でしょ。私は好きだけど。


その後、郊外に出て少し丘を上がった所に出た。ペアレム市が一望でき、良い景色だった。春以降になると、山の方で茶の栽培が始まるので、また違った風景が見えるそうだ。暫く休憩して、屋敷に戻った。


なお、引き渡された不審者は、可愛い少女、つまり私を見かけて、気になるあまりに後をつけてしまったと言っていたそうだ。衝動的なもので背後関係はなく、まだ犯罪とは言えない段階だった為、厳重注意で釈放されたらしい。母様からは、いい気分はしないだろうけれど、警戒を忘れないために知っておきなさい、と言われた。気を付けます。




テトラーデの暮らしに慣れて来たある頃、叔父様から話があった。


「姉さん、カイやフィリスを連れて、ハトーク分領までちょっとした旅行に行ってみないか?丁度俺がハトークに視察に行くことになっていてね。」


「あらマーク、私はいいけど、大丈夫なの?」


「せっかくテトラーデに来たのだから、色々見せた方がいいだろう。カイとフィリスはどうだい?」

「叔父上、有難うございます。お言葉に甘えさせていただきます」


「叔父様、私も連れて行って頂けるのですか。有難うございます」


「父上、それなら僕も行きたいです」


「子供が3人だと、先方が対応できるか判らないので聞いてみるが、対応可能なら連れて行こう」


「父上、ありがとうございます」


セディは話が良く解らなかったようで特に反応しなかった。まあ、そんなものだろう。先方に確認したところ、アレクも連れていけるそうだ。出発は5日後、楽しみだ。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


(石は移動しました)

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