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第213話 精霊概論の講義で、魔法強化を試してもらった

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

暫くの間は、大きな仕事が無いので、個人的に色々研究を進めておこう。とりあえず、空動車の外側をもう少し考えたいのよね……今のように、魔法銀製でも構わないけど高いから、普通に鉄を使いたいけど、前世のように強くて堅い加工は出来ない上に塗装技術も低いから、錆びやすいんだよね……。


いっそのこと、金属だけじゃなくて、樹脂なんかも使えればいいのだけれど、まだ石油の活用法すら見えない現状では、難しいだろうな……。炭素繊維とかなら、構造が分かればいけるかもしれないけど、専門で勉強したわけではないので、今のところは保留にして、魔法銀製で作ることにした。




魔法兵団と精霊課の協同訓練が行われていたので、風精霊と感覚共有して見に行った。今回はどうやら、初めて雷魔法と氷魔法を取り入れた訓練を行っているようだ。見た感じでは、雷魔法は集団の敵を一網打尽にする時に特に有用で、氷魔法は移動の阻害なども可能な上に、騎兵を一撃で倒したりもできるので、騎兵部隊に対して使用する方向で検討しているようだ。


ちなみに、数人で雷魔法を広範囲に撃ち、そこにリゼルトアラが魔法強化をしたところ、範囲が数倍になった上、威力も増大して、結構な地域の表面が黒焦げになっていた。一瞬驚いたあと、やっぱり高笑いしていた。


そういえば、魔法学校で精霊概論の講義が来月にあるので、今のうちに魔法強化をどう講義に取り込むか、考えておかないとね……。




大聖堂から魔力循環不全症の治療に関して連絡が来たので、大司教台下に会いに行った。今後の治療については、定期的にクェイトアミ山のカラートアミ教本部に患者を集めるので、そこに私が行って施術を行うということになるようだ。


第1陣は、10月末に計画されているということなので、今から4か月後か。月末の御前会議の場でも、その件が話され、ロイドステアの国際的な地位を高める行為だということで、陛下からもお褒めの言葉を頂戴してしまった。




7月に入った。魔道具課長が私の所にやって来て、重力魔法の魔道具第1号が完成したと報告に来た。今回は単に、物を浮かせるだけの物だそうだが、この構造を参考にして、地の魔技士達に普及教育を行い、今後色々発展させていくそうで、来月にある重力魔法活用会議の場で良い報告が出来ると喜んでいた。私も来週にある人員輸送分科会に顔を出して、車体のサンプルを提出しておこうかな。


最近は殆ど身長が伸びなくなったようなので、導師服の最終的な身長合わせを行って貰おう。それと、あまり身体にぴったり合わせすぎないようにして貰おう、別に太ったわけではないのだが、動いていると一部に引っ掛かりを覚えるのよね……前世では無かった感覚だが……お母様の遺伝だろうか。


次の日には、要望通りに導師服や他の付属品の調整が終了していた。いつもながら素晴らしい技術だ。




色々やっている間に、魔法学校の講義の日がやって来た。今回も大教場での講義になるが、今回は魔法強化の展示も行うため、時間を少々多めにとって、途中で屋外の魔法練習場に移動する予定だ。


さて、今回は主な受講者である1学年以外にも、他の学年や教官達など、多くの人達が聴講に来るそうだが……以前言っていたように、お父様も視察と称して聴講に来る。手紙が来ていたから、仕方なく転移門を使用して迎えに行ったよ……。


ついでにお母様もこちらにやって来た。聴講に来るわけではないが、重力魔法関連の情報を聞きに行くそうだ。まあ、うちからも魔技士が王都にやって来て、魔道具の研究に参加しているからね……。




講義が始まるまで、学校長と歓談をして、大教場に移動した。教壇に立ったところで、昨年同様主任教官から紹介を受けた後挨拶して、受講者達を見てみた。確かに1学年っぽい人達が主体のようだが、最前列にはやはりお兄様がいるし、高位貴族の学生は大抵いるようだった。そして、後ろにはお父様もいるし、授業参観を受けるようだよ……。


ミリナやティーナは普通にいる。講義を楽しみにしているようだ。ルカは……一瞬目が合ったが、特に不穏な感情を出していなかったので、例の件は吹っ切れたのだろうか。なら、こちらも気にするのはやめよう。


講義を開始した。当初は昨年と同様、精霊の存在を説明する。まあ、多くの人にはおさらいでしかないけれども。ただし、今回も精霊達を見せたのだけれど、多くの人達が驚いているようだ。まあ、これは普通に受けるよね。


その後、精霊術に関する一通りの話をした後、魔法練習場に移動した。観客席のように座席が配置されており、聴講者には座って貰うとともに、魔道具で音声を拡声しながら、講義をすることにした。


まずは、去年もやったように、火属性のエネルギーを集める基本的な魔法を、火精霊の姿を見せつつ行うことで、魔法と精霊の関係を説明した。これも、結構受けた。さて、次は魔法強化の説明だ。


『それでは、多くの方々が興味を持たれているでしょう、魔法強化について説明しますわ。魔法強化とは、精霊が事象を変化させる際に、より強い力を使うことによって、魔法が通常の数倍の威力になる現象を指します。これは、精霊と妖精族との間で交わされた約定が根源となっているそうですが、特に妖精族に限定する内容ではありませんでしたので、人間の精霊術士にも使うことが可能だったようです』


皆、私の事を真剣な表情で見て、内容を聞いているようだ。続けよう。


『魔法強化は、精霊術士が定められた文言を唱え、それを聞いた精霊が精霊術士の元にやって来て、精霊術士が精霊に一定の魔力を譲渡することで発現します。効果は、一定の範囲内における魔法の威力を、一定時間、増加させることです。これは、特定の人物を指定するものではなく、精霊及び精霊術士を中心とした、一円の地域で発現するものです。当然、精霊の種類によって強化される魔法は異なりますし、また、精霊術士の能力によって、範囲や持続時間は異なっています。その辺りは、現在研究中ですので、今後判明次第、公表されるでしょう』


皆、真剣に聞いたり、メモを取っているようだ。さて、少々体験実習を行ってみようかな。


『では、皆様にも魔法強化された魔法を体験して頂きましょう。的が3つありますので、それぞれの属性で3人ずつ指名します。では、まず火属性から……そことそことそこの方、前に出て来て下さいな』


素早く挙手をした3名を指名する。その中には、ルカもいた。


『では、まず通常の状態で、属性弾を放って下さい』


私がそう言うと、3人は火属性弾を的に放った。威力はそれぞれだが、特に驚く威力でもない。


『では、次に私が魔法強化を行った後に、同じ魔法を放って下さい』


そう言った後に、私は火精霊に姿を見せる様指示してから、魔法強化を行った。火精霊は、強い光を放ち、聴講者が驚きの声を上げる。更に、3人が同様に魔法を放ったが、先程より明らかに大きな火属性弾が、物凄い速さで的に当たり、大きな音と光が発生した。特注の的を準備して貰っていたので、壊れることはなかったが、通常の的だと、危なかったかもしれないな……。


大きな拍手が起こり、3人は私に礼を言って席に戻っていった。ただしルカは


「気持ちの整理は付きましたわ。ご心配頂き、有難うございました」


と小声で言って、去って行った。やはり、大丈夫のようだ。


その後、他の属性でもやって貰ったのだが……学生であるお兄様はまだいいとして、お父様は遠慮して下さい。後でやってあげますから……。


質問時間となったが、今年は無難な質問が続いたため、精霊課長も特に問題なく「○」を出したので、普通に回答した。講義は終了し、学校長からお礼の言葉を貰って、精霊課長と一緒に魔法省に戻った。


その日の夕食は、久しぶりの家族揃っての夕食だったが、当然話題は私の講義の事だった。抗議したい気分だ。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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