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第196話 各領巡回助言が終了した

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

3月に入った。27日にはフェルドミナーク殿下とペルシャ様との結婚があるので、ウェルスカレン領の公府ウェルナードに行かなければならない。有難くも転移門を使用させて貰えるので、前日と翌日の移動で、計3日間の所要だ。これが馬車なら、移動だけで片道3日はかかるからね……。


とりあえず、残りの巡回助言を終わらせるべく、2週半かけて、8伯爵領の巡回助言を行った。




ノーナイスト領は、改革派ということもあって警戒していたが、大きな問題無く終わった。




デカントラル領は、通常の助言に加え、山林が多いためか、潜伏している盗賊の情報が精霊から得られたので、イストルカレン領の時と同様、捕縛に協力した。デカントラル伯爵や、首席行政官のボルドバーム子爵(メグルナリアのお父さんだ)に、非常に感謝された。




エルステッド領は、領主のエルステッド伯爵が、直属の上司の魔法大臣でもあるため、視察を兼ねて巡回助言に同行された。エルステッド領には、一大観光地となっている風光明媚な大きい湖があり、王家をはじめ、有力な貴族の別荘があったりする。エルステッド家は体制派なので、たまにその別荘近辺で体制派の会合も開かれているそうだが、今回は特に関係がない。巡回助言自体は、大きな問題無く終了した。


また、以前から話があった、魔力循環不全症の患者の施術も行った。5才になる行政官の息子さんで、中程度の症状らしいが、訪れた際には体調を崩しており、このままでは長くはないと感じさせる状況だった。これまでと同様、キュレーニル研究員と協力して施術を行ったところ、病状が改善したため、行政官夫妻に非常に感謝された。




サウルトーデ領は、国軍総司令官のサウルトーデ伯爵が領主だ。こちらは、巡回助言に合わせて領に戻っていたようだ。巡回助言自体は大きな問題無く終了したが、それとは別に、昨年の海兵団の件で、セクハラ関連の改善策の案を近々精霊課に持って来てくれると言っていた。トップがしっかり考えてくれるなら、意識も徐々に変わってくれるのではなかろうか。


それと、異状ではないのだが、サウルトーデには油田があるらしいことが判った。石油は火属性らしく、火精霊が、領内のとある地域の地下に、油が沢山あると教えてくれたのだ。石油の存在は、外国において確認されているけれど、前世の様に様々な分野で使用されているわけではなく、単に植物油と同様に、ランプの燃料に利用されている程度らしい。


当然サウルトーデ伯爵にも油田の存在は伝えたが、当面は利用方法を研究するだけにとどめるようだ。あまり環境破壊をされても、こちらが困るから、有難いのだけれども。




ちなみにこの3領については、精霊術士の多くが魔法兵団との協同訓練に参加したため、助手はフェルダナで固定だった。またリゼルトアラが高笑いしながら魔法強化しているのかな? とか考えると、見に行きたくなったが、今回は残念ながらその時間が無かった。




リーデカント領は、改革派ということで、やはり警戒していたのだが、今回も大きな問題無く終わった。ここでも、魔力循環不全症の軽度の患者1名に施術を行った。なお、今回の助手であったラフトリーザは、ここの出身であり、行政官の一人のイノウザンド男爵の娘さんだったのだが、巡回助言の合間に会話しているのを傍で聞いていた。正直、初めてまともにラフトリーザが人と話しているのを見たよ……。それはそれとして、親子仲も悪くなさそうなので、ラフトリーザは改革派側の可能性が高い。心にとどめておこう。




テトラーデ領は、お母様の実家であり、マーク叔父様達とは手紙でやり取りしている仲なので、特に気負わず巡回助言を行うことが出来た。また、以前私が助言した幾つかの事業についても、色々話して貰ったり、昼食にはうな重の様な食べ物も頂いたりした。


蒲焼きは、鰻の甘辛焼きと呼んでいるようだ。ご飯は大麦を炊いたものなので、米の様に柔らかくはないが、これはこれで味わいがある。食べ方は、当然箸は無いのでスプーンを使って食べた。今回の助手のサリエラも一緒に食べたのだが、初めて食べたうな重? に感激して、また食べたいと帰りの馬車の中でも言っていた。


真珠の養殖事業についても順調で、恐らく来年頃には収穫が可能のようで、それに合わせて、職人などを呼び寄せようとしているということだった。寒天については、アルカドール領の甘味研究所が、かなりの量を注文しだしたそうなので、今後は甘味作りで連携していくようだ。またハトーク分領に行きたいところだが、別の機会を作らせて貰おう。




ペンタデウス領は、体制派であり、警戒の必要性は低い。領主のペンタデウス伯爵は、法務大臣であるが、王都の隣領なので、わりと軽易に領に戻れるようだ。通常の巡回助言の他、ペンタデウス領には、歩兵団第4歩兵隊約1万5千人が駐屯する、国王直轄地のフルホークがあり、他の直轄地と同様に悪意の確認を行ったが、今のところは問題無かった。まあ、こちらは王都から近いせいか、羽目を外す者があまりおらず、周辺とのトラブルは少ないと言っていたからね……。


また、ペンタデウス領にはアルカドール領におけるプトラム分領や、テトラーデ領におけるハトーク分領のように、漁港などを統括して治めるための分領がある。そのクラスト分領の太守が、水の精霊術士のマリーのお父さんであるアクラスター子爵だそうで、今回の助言に合わせて挨拶に来てくれた。


ついでということで、簡易的な茶会も行われたのだが、その中で気になる話があった。ペンタデウス領は、ウェルスカレン領の公府ウェルナードに出稼ぎに行く者が多く、その殆どが他国との交易のために遠洋航海を行う船の船員になるそうだが、そういった人達が、ある病気に罹り易いということだった。


怪我もないのに出血したり、髪や歯が抜けたり、酷い場合には死に至るらしい。感染症ではないが、原因不明なので困っているということだ。話を聞く限りでは、壊血病のように思えたので「確実な事ではありませんが」と前置きして、ある種の栄養が不足しているのが原因と説明し、治療や予防のために、柑橘類などの摂取を奨めておいた。


とは言え、現在この国で作っている柑橘系の果物は、シトラスと金柑が混ざったような感じで、ビタミンCは豊富そうだけれど皮はあまり厚くないから、長期間の保存も難しそうなので、皮が厚くて長期保存が可能なレモンのようなものを、品種改良して作った方がいいかもしれないな。




最後にヘキサディス領の巡回助言を行った。ヘキサディス家自体は容認派なので、強い警戒は不要だが、昨年の件があったためか、逆にあちらの方が私を強く警戒していた。ただ、今回の助手には当然リゼルトアラが来ており、私と一緒に業務を行っている様を見て、ヘキサディス伯爵達は、少し安心したようだった。


また、ヘキサディス領はカウンタール領の隣で、アブドームとも接しているためか、最近カイコガの原種らしき毒蛾が増えて来ていたそうで、こちらもカウンタール領と同様の処置を行った。ただ、毒を除くことが出来た場合の話を少ししたところ、ヘキサディス伯爵は毛嫌いせず、少し興味を持った様だった。




あと、精霊術士候補の確認だが、ノーナイスト領では風1名、デカントラル領では地2名、エルステッド領では水1名風1名、サウルトーデ領では地1名火1名、リーデカント領では水1名、テトラーデ領では水1名、ペンタデウス領では風1名水1名、ヘキサディス領では地1名風1名が確認できた。


それぞれ準備を行った後、王都に移動して精霊課に配置されるわけだが……今回の各領巡回助言で新たに41名の精霊術士候補が発見できたわけか……。巡回助言の合間に多くの新人精霊術士から挨拶して貰ったけど、今後はしっかり鍛錬して貰って、力をつけて欲しいものだ。




これで各領巡回助言は終了し、問題無くペルシャ様の婚姻式と宴に参加出来そうで、良かったよ。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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