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第019話 ミニスクス男爵令嬢 パトラルシア・ミニスクス視点

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

私はアルカドール領セイクル市の執政官の娘だ。執政官は、領主様を補佐して領政の中枢である領中心都市の行政を行っているので、一応貴族の一員になっている。家族は両親の他、兄が2人いる。兄さんたちはよく大通りなどに遊びに行くのだが、私はどうも騒がしい所が苦手で、自然の中にいる方が好きだった。


両親は私に対しては、あまり勉強をしろとは言って来ないが、礼儀作法に関しては、よくお母さんから教わっている。魔法については、隣の屋敷に住んでいるティーナのお父さんに教わっているが、私は魔力量が多くないらしいので、魔力操作を中心に教えて貰っている。




5才頃から、変なものが見えるようになった。外見は茶色い人形のような感じで、歩いたりふわふわ浮いたりしていた。じっと見ていると、話しかけて来る子もいた。どうやら、地の精霊だったらしい。周囲を良く見てみると、地の精霊は様々な所にいて、家の中でも見かけることがあった。精霊達は可愛らしく、自然についての色々な話を聞かせてくれるので、私は大好きになった。


兄さんたちは、私が精霊とのんびり話していると、何故か邪魔をして、街などへ強引に連れ出そうとするので正直うっとおしい。ティーナは、精霊が見えるわけではないようだが、私が一人でいるといつの間にか寄って来るので、仲良く遊んでいる。


ただ、私は誰にも、自分には精霊が見える、と言ったことは無かった。精霊術士という人たちがいることは知っていたし、昔話の精霊導師様には憧れもあったが、他の人と違うということが怖かったので、言い出せなかったのだ。




6才になって暫くして、お母さんから今度領主様の娘さんが開く茶会に参加するよう言われた。貴族社会で生きるには、茶会に慣れることが必要だからだそうだ。正直嫌だったが、お母さんが悲しそうな顔をするので仕方なく参加することにした。


最初だし、うちは下級貴族なので、そんなに凝った盛装は準備する必要はないと言われたので、お気に入りの黄色い盛装を着て行くことにした。ただ、失礼なことをしないように、礼儀作法の勉強時間が増えた。特に、練習とはいえ、領主様の娘であるフィリストリア様に無礼を働いてはならないと、両親からは強く言われた。そんなことは言われなくても分かってるってば。


お母さんにフィリストリア様について聞いてみると、私と同い年で、可愛いし優秀だけど、あんな子供がいたら落ち着かないから私の方がいい、と言われた。意味が解らなかったので、お父さんに聞いてみたら、私と同じくらい美人だぞ、と言われた。


ついでに、同じく招待されているティーナに聞いてみた。ティーナは何度か会っているらしく、可愛い子だけど、偉ぶった性格ではないので、特に気にせず話したら?と言われたので、何とかなるかな、と思った。あとは、他の子達とどう話すかだけど、うちより上位の子爵家だから気にしないといけないけど、どうせ私は目立たないだろうし、何とかなるだろう。


……と思っていたのは、領主様の屋敷に到着し、庭園に案内されるまでだった。私は末席だから最初に来て、次にティーナが来たのでお互い挨拶し、マールセレナ様が来たので椅子から立って礼、上位者であるマールセレナ様から挨拶があった後こちらも挨拶して着席、次に招待者の中では一番序列が高いティルカニア様にも、3人で同様に挨拶した。ここまでで、既に帰りたくなってしまった。


暫くして、1人の少女が女中に案内されて入って来た。恐らくフィリストリア様だろう。すぐに席を立ち、深く礼をした。フィリストリア様が挨拶をしたので顔を上げたところ、ものすごい美少女が目の前にいた。見惚れていると、他の人達が着席したので慌てて座った。とりあえず、お母さんの言った事は正しかった。お父さんが親馬鹿であるということが解ったので、今後気を付けよう。ティーナ、貴女って大物だわ。


その後、フィリストリア様から、愛称で呼んで欲しいと言われたけれど、慣れるのは大変だわ。何か盛装も褒められたけど、貴女と比べると私は雑草よ。お茶や甘味は、高そうだったけど、正直味など判らなかった。


暫くして、フィリス……様を正視するのは心臓に悪いので、少し視線を外すことを覚えた。これなら何とか耐えられそう……と考えていたら、フィリス様の後ろに精霊が浮いているのに気が付いた。精霊を見つめてぼうっとしていると、隣に座っていたティーナが、隠れて私の盛装を軽く引いて注意してくれたので、我に返ることができた。ティーナ助かったわ。


とは言え、何でフィリス様に精霊が付いているのかが気になって、何度かちらちら見てしまったのだけれど。そうしている間に、私にも何度か話しかけられたが、何をしゃべったか覚えていない。ただ、気になった話題があった。ティーナのお父さんが、王都の魔法研究所に招かれるという話だ。確かに活躍されていたのは知ってたけれど、そんなことになっていたとは知らなかった。ティーナも数年後には王都に引っ越すらしい。仕方ないとはいえ、友達と別れるのは寂しい。


初めての茶会は、全然楽しくなかったけど、やっと帰れることになった。まあ、序列が末席の私は、最後にお暇するのだけれど。ティーナも帰って、さあ帰ろうと思った時、フィリス様が小声で話しかけてきた。変なものってまさか、精霊のこと?どうして分かったの?


驚いて大声を上げてしまった私とフィリス様は空き部屋に入り、そこで少し話をした。どうやら、私の視線がたまに泳いでいたので、何かあったのか、確認したかったようだ。確かにそれは変な子だわ。ただ、フィリス様が何か誤解をしている様だったので、説明のため思わず精霊のことを口に出しそうになった。それで取り乱してしまい、フィリス様から逃げようとしてしまった。引き止められなかったら本当に逃げてたと思うけど、流石に失礼だから、止まれて良かったわ。


そして、何故だか判らないけど、悩みがあったら両親に相談してみてはどうかと言われた。とりあえずお礼を言ったら帰して貰えた。うちの御者が、私が突然フィリス様に連れていかれたので青い顔をして待っていたのだが、フィリス様が、私の盛装の腰についた帯飾りを結び直したのだ、と言ってくれたので特に問題なかった。


馬車の中で、フィリス様は、何故私に悩みがあると思ったのかを考えていたが、やっぱり判らなかった。帰ってから、両親にはとりあえず失礼なことはやらなかったと思う、と報告した。その時、今後も定期的に茶会は開かれるそうで、礼儀作法や様々な知識についての勉強の時間を増やすと言われた。仕方ないとはいえ、落ち込んでしまう。


兄さんたちからは、ティーナ以外の令嬢たちについて聞かれたが、正直、フィリス様の印象が強烈で、他の方は殆ど覚えていないので、適当に答えた。どうせうちの兄さんたちは相手にされないからいいでしょ。


部屋に帰ると、精霊が窓から入って来たので、話をしていると、ふと気づいた。何だか最近、精霊やティーナとしかまともに話せていないな、と。しかし、ティーナとはそのうち別れることになる。これはもしかせずとも、まずい状態なのではなかろうか。精霊達は大好きだが、精霊がいれば生きていけるわけではない。私は人間なのだから。


そういえば、私は今後どのように生きるのか、誰にも相談したことはなかったし、考えたこともなかった。いずれはどこかに嫁ぐにしても、何かしらの方向性は持たないとね……。というわけで、ここはフィリス様の言う通り、一度両親に相談してみよう……。




後日、お母さんに自分の将来について相談してみた。その中で、うっかり精霊が見えることも話してしまったが、逆に安心されてしまった。最近私が一人で喋っていることがあるので、心配していたそうだ。


お父さんも一緒になって話し合い、精霊術士になることを前提に、勉強していくことになった。その時お母さんからは、精霊の状態について、今後は判る範囲で教えて欲しいと言われた。それは人と精霊を結ぶ存在である精霊術士の仕事で、そういったことに慣れていくことも必要だからだそうだ。


確かにフィリス様の言う通り、両親は私のことを真剣に考えてくれている。あの時の発言はこういうことだったのかな、と考えた。次に茶会に呼ばれた時にでも、お礼が言えれば、とは思うけど、正直あの方とは住む世界が違うのよね……と、この時は思っていたのだけれど、ねえ……。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


(石は移動しました)

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