表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

194/414

第189話 ディクセント領の巡回助言を行った

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

今日は全体定例会議がある。本当は昨日省定例会議があったのだが、私はカウンタール領の巡回助言で不参加だったため、資料だけを現在確認中だ。


とりあえず、精霊課関連では、精霊術士が大量に増加しそうだという話が上がるようだ。まあ、今の調子だと50人くらいは増えそうだからね……。全員が魔法強化を使えるようになったら、かなりの国力増強が見込まれるだろうし、陛下の関心事項でもあるからね。


そんなことを考えながら資料を読んでいると、精霊課長と3名の精霊術士が入って来た。


「導師様、新たに3名の精霊術士が配置されました。皆、導師様にご挨拶を」


「て、テリーネ・カトルンです。……よ、宜しく、お願いします」


「アルテナ・ルケノスです!宜しくお願いしますっ!」


「フィズナ・レダントです……」


テリーネは水属性の12才で、結構緊張しているようだ。アルテナは火属性の10才で、元気だが少々力み過ぎかな。フィズナは風属性の11才で、人付き合いが苦手そうだ。テリーネはイストルカレン、アルテナとフィズナはウェルスカレン出身だ。


「皆様、魔法省へようこそ。改めまして、フィリストリア・アルカドールですわ。今後も宜しくお願いしますね」


新規配置精霊術士達に挨拶をして、引き続き、書類の確認などを行った。


午後には全体定例会議に参加した。会議の中で、精霊術士の大幅増加なども明るい話題として上がっていたが、一番の話題は、来月産まれるであろう、王太子殿下の第一子の件だった。警備が厳重になるのはもとより、王城に配置している医者なども臨時で増員され、あらゆる事態に対応できるような態勢を整えているそうだ。


また、出産の際には、サウスエッド国王が来るため、その対応についても準備しているそうだ。やはり大事になっているが、両国の友好のためのコストと思えば、悪くは無いのかな。ちなみに私は、サウスエッド国王達の輸送支援担当だが、巡回助言などと重なった場合でも、輸送支援を優先することになっている。無事に産まれて欲しいものだ。




週末、休日と、通常の日々が過ぎ、2月1日となった。この日は既に恒例となった、王都の合同洗礼式の場での精霊術士候補の確認があるので、家から大聖堂に向かった。今回は火属性の子が1人見つかり、精霊課長に連絡した。その日は、巡回助言の為の資料を読んで過ごし、業務を終えた。




今日はディクセント領の巡回助言だ。ディクセント家は、改革派であることや、年の近い方がいなかったため、これまで特に接点は無かったが、警戒だけはしておこう。助手のフェルダナ達と共に、王都ディクセント侯爵邸の転移門からディクセント領中心都市に転移し、行政官の案内で領行政舎まで移動した。


会議室には、ディクセント侯爵や次期侯爵のジルダロース様、その他行政官達がいたので、軽く挨拶をした後、ディクセント領の概要を説明して貰った。その中で


「領では最近、雨が不足しており、困っております。導師様のお力で、何とかならないものでしょうか」


という話があった。一度聞いてみるか。


「そうですわね……まずは原因を水精霊に確認してみますわ……ねえ、水精霊さん」


『少しその辺りの仲間に聞いて来るよ』


……暫くすると戻って来たので、話を聞いてみた。


『ここ最近、雨雲が低くて向こうの山で殆ど止まってこっちまで流れて来ないんだって。大精霊様も、詳しく調べるって言っていたらしいよ』


水精霊に礼を言って、皆にその状況を伝えた。


「なるほど……暫くは様子見という事でしょうか」


「ええ。ただし、当座の水不足を解消する手立ては必要ですわね……。では、井戸を掘るのに適した場所についても、今回併せて調査させて頂きますわ」


「そうして頂けると助かる。是非頼みたい」


「侯爵、承知致しましたわ」


それから、いつもの様に準備を行い、頭を風精霊と同化させ、風精霊達を呼び出し、いつもの調査項目に加えて井戸適地についても調べるよう頼み、各地に散って貰った。やはり今回も時間がかかったが、日が沈んだ頃には、領の東半分の情報をまとめ終えることが出来た。


集落周辺の井戸適地は22か所だった。井戸自体は場所さえ判れば、地と水の魔法士が数人いれば数日で1つは完成する作業量だそうで、後は基本的にお任せだ。




侯爵邸まで戻り、遅めの夕食を頂く。侯爵、侯爵夫人、ジルダロース様とその夫人と一緒だ。


「導師殿、今回は来て頂いて、本当に助かった。これまでも巡回助言の際に、水の精霊術士に依頼して適地を探していたのだが、領内全域を歩けるわけではないから、探索も限定的だったのだ」


「そう言って頂けて光栄ですわ。明日は西半分を調査いたしますので」


「今回の巡回助言、父の補佐をしていても気付かなかったことが多く、勉強になります」


「ジルダロース様は、普段どのような仕事をなされているのでしょうか」


「主に領内の耕作地の整備や開墾の指導ですね。やはり地に馴染むのが性に合っているようでして」


地属性だからね……指導の際には地魔法を使うこともあるだろうしね……重力魔法などは、どのように考えているのかな?


「そういえば……昨年末発表された、重力魔法については、こちらではどのように扱われているのでしょうか?」


「現在、私や主要な地魔法士で習得中ですが、新しい概念ですので、なかなか上手くいっておりません。そこで何名かを王都に派遣して、習得させようと考えております」


「政府の方でも、まだ様々な事項を検討しているようですから、その方が宜しいですわね」


ちなみに今週末には第1回目の検討会議が開かれる予定だ。当然私も参加する。帰った頃には事前配布の資料が来ているだろうから、読んでおかないとね……。




次の日朝食後、まずは精霊術士候補を確認するため、聖堂に向かった。いつもの様に確認を行い、今回は地と水各1名、計2名の候補を見つけることが出来た。その後は領行政舎へ向かい、昨日の続きを行った。やはり西半分もいつもより時間がかかり、昼をかなり過ぎて漸く終了した。行政舎の方で遅い昼食を頂き、侯爵邸に移動し、侯爵達と少し話をした。


「導師殿、今回は貴女に来て頂いて、非常に助かった。礼を言う」


「侯爵、私達は業務で参っておりますが……そう仰って頂けて、光栄ですわ」


「昨日の話からすると、また助力を頂く可能性があるが、その際はまた、魔法省の方に連絡させて頂こう」


「承知致しました。大臣にもそのように報告させて頂きますわ」


そのようなことを話した後、転移門で王都に戻った。警戒はしていたが、表面的には普通に接している様に見えたし、特に敵意や悪意も感じなかった。まあ、敵対の意思を見せない様にしていただけかもしれないし、水不足で困っていたのは事実なので、そちらを優先したのかもしれない。この件についても、暫くは様子見かな。


魔法省に戻り、大臣にディクセント領の巡回助言終了と、水不足の件についても報告した。


「なるほど。では、建設省にも情報提供しておいて下さい。ディクセント領から、支援要請があるかもしれませんので」


「確かにそのとおりですわね。承知致しました」


その後、精霊課長に候補2名の話をして、建設省には、ディクセント領の水不足と、井戸適地の調査を行った件を書面にして情報提供を行い、その日の業務を終えた。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ