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第018話 初めての茶会開催 2

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

「こちらの葉は、……テトラーデのものでしょうか」


「あらルカ様、よくお分かりになりましたね。母の実家から送られてきますの。美味しいのもそうなのですが、飲みやすくて温かみを感じられて、気に入っておりますの」


ルカはしっかりしている子のようだ。社交も私より慣れている感じがする。


「テトラーデは国内有数の茶の産地ですし、冬でも暖かいそうですね。一度行ってみたいですわ」


「私は領から出たことはありませんが、セレナ様は港からどちらかに行かれたことはございますか」


「実は1度両親に連れられて東公領から船に乗ってサウスエッドに行き、そこからクェイトアミ山に巡礼に行ったそうなのですが、小さい頃でしたので、記憶がないのが残念ですわ」


セレナは割と出歩くのが好きそうな気がする。


「こちらの甘味は蜂蜜の程よい甘さで美味しいですね~。食べ過ぎてしまいそうです」


「あら、ティーナ様のお気に召したようで、用意した甲斐がございましたわ」


ティーナはやっぱりマイペースだなぁ。


みたいな感じで、とりとめなく話をしながら皆の為人を観察していたのだが、たまにパティの視線が変なところ……というか、私の後ろを見ている時がある。ちなみに私の後方にはメイリースが控えているが、微妙に方向が違う。仮に何かを見ているのであれば……、後で確かめた方がいいな。




そんなことを考えつつも、話は進んで、兄様の話題になった。やはりルカ、兄様を狙っているのか?


「カイダリード様のような素敵な方がお兄様で、フィリス様が羨ましいですわ」


「そうですね。剣も魔法も先生方からお褒めを頂いておりますし、自慢の兄ですわ」


「ちなみにフィリス様、今の所、カイダリード様の婚約者の選定など、どのような状況ですの?」


直球で切り込んできたよ!ちなみに私は何も聞いてない。親しい女の子もいないと思う。


「申し訳ありませんが、私は存じませんの。ただ、次期侯爵夫人となる方ですもの。父や母は慎重にお考えになっていると思いますわ」


「そうですか、残念です。……ちなみに、フィリス様ご自身は如何なのでしょうか?」


「え?……私ですか?……両親からは、全く伺っておりませんね」


ルカ!いきなり何言い出すのよ!平常心が一瞬吹っ飛んでしまったよ!


「あら、そうですの。噂で、セントラカレン公爵のご子息と親しいと伺いましたので」


「そうですわね、昨年セイクル市に来られて、こちらに半月ほど滞在されましたから。アンダラット先生の所に魔力操作の話を伺いに来られたのですよ」


「はい、そうです~。父がそのように申しておりました」


「あと、滞在期間中に、ミニスクス執政官がセイクル市を案内されていましたわ。その際には、私も同行させて頂きましたの」


「……はい、父からそのような話を、昨年伺いました」


「そうでしたの。ここだけの話、セントラカレン公爵のご子息は、どのような方でしたの?」


いやそれ、どう考えてもここだけで終わらんでしょ!まあ、無難に答えておくか。


「容姿や所作は、流石公爵家の方、高貴なものを感じさせる方でした。兄ともたまに剣の鍛錬をなさっていましたが、年上ですので一日の長を感じました。魔法については、先ほどお話ししました魔力の活性化要領を、5日で習得されましたので、少々の魔力差なら挽回できる才能をお持ちだと思いますわ。今も兄や私と手紙をやり取りしていますが、来年の魔法学校入学に向けて日々努力されているそうですわ」


「まあ、素晴らしい方ですのね。フィリス様はどう思われていますの?」


「良い友人でありたい、と思っておりますわ」


まあこんな所だろう。この辺で打ち切って別の話題に移るか。


「魔法で思い出したのですが、アンダラット先生が魔法研究所に招かれていると伺いましたわ」


「その様ですわ~。私も、今ではありませんが、数年後には王都で暮らすことになりそうです」


「先生は優秀ですものね。ただ、先生の後に来られる方を探すのが大変そうですわ。父が悩んでいるようでしたもの」


「私達と同じ年頃のセイクル市在住の貴族子女は皆、アンダラット先生に魔法を教わりましたからね」


「そうなのですか。私は最近までプトラム分領におりましたので、魔法は父から教わっていたのですが、なかなか上達できませんでしたの。王都に行かれる前に少しでも教わりたいですわ」


大人気だな先生!知識は豊富で教え方も上手いからね。研究熱心でもあるから、王都でも頑張ってね。


「ところで~入口にいらっしゃるあの方は、フィリス様の護衛でしょうか?」


父親の話が面映かったのか、ティーナが話題を変えた。あの方とは、念のためテラスの入口に配置しているレイテアのことだ。まあ、女性の護衛は珍しいからね。


「その通りですわ。少し前に私の専属護衛として採用しましたの。女性ですが向上心があり、当家の護衛に鍛えられていますから、実力もじきに申し分ないものとなりますわ」


「そうなのですか。実力のある女性に護衛して頂けるなら安心ですね。正直なところ、外出の度に護衛とはいえ男性に傍にいられるのは、緊張するものですから」


セレナがそう言った。まあ、女性同士の方が有難い時って、結構あるからね。そういう意味でもレイテアは、有為な人材だと言えるだろう。私は運が良かったよ。




そんなこんなで1時間ほど話し、挨拶をして玄関まで見送り、4人は次々と馬車に乗って退出していく。当然序列順なので、最後に残るのはパティだ。ここで、パティを呼び止めて内緒の話をしてみる。


「パティ様、もしかして何か、私に変なものでもついていましたかしら?」


「っ、ええっ!」


「お静かに。少々お時間を頂けないかしら」

空き部屋の1つを使い、少し話をする。


「先ほど、パティ様が何もない私の背後をたまに見ていらしたので……私が何か粗相をしてしまったのかと思いまして、内密のお話とさせて頂いたのです。申し訳ございません」


「っいいえ、フィリス様におかしなところなどございません!精霊っ」


「精霊?」


「っ何でもございません!失礼いたします」


逃げようとするパティ。やはりこの子も、精霊が見えるようだ。地属性だから地精霊かな。ちなみに最近、体の成長に伴い魔力がとんでもなく増えて、数種類の精霊が私の背後を漂っている。背後霊か!


「パティ様!……お一人で抱え込まれるよりも、大事になる前に、ご両親に相談された方が宜しいですわ。きっと、嫌がられることなどございません。貴女の為に最善を尽くして下さりますわ」


「……そうですね。親に相談するのも、良いかもしれません。有難うございます」


パティはそう言って帰って行った。ちなみに、呼び止めたのはドレスを手直ししたことにしておいた。その後、こっそり隣の部屋で様子を窺っていた母様からは「最初にしては」及第点、という評価を貰った。今後も定期的に茶会を開いたり、積極的に参加して、場慣れするように言われた。


あと、父様には、もしかするとミニスクス執政官から、パティの件で相談があるかもしれない、ということをこっそり報告したところ、怪訝な顔をされたので、状況を説明した。私の事をパティに気取られる可能性もあるが、その際は仕方がないので口止めはするように、と注意された。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


(石は移動しました)

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