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第181話 イストルカレン領の巡回助言を行った

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

さて、今週は東西公領の巡回助言がある。東公と係わるのは面倒な感じだが、仕事なので仕方がない。弱味を見せない様に、事前に資料などを読み込んでおこう……。


ミリナやルカ、ティーナは魔法学校に入学か……頑張ってほしいものだ。




今日から明日にかけて、イストルカレン領の巡回助言だ。何か色々画策されている可能性があるし、気を付けないとな。


今回の助手のフェルダナや精霊課員、護衛とともに、馬車でイストルカレン公爵の王都邸に移動し、家令らしき人に転移門まで案内され、転移した。転移先にいた行政官らしき人の案内で馬車に乗って、領行政舎まで移動した。


会議室らしき部屋に入ると、公爵と行政官達がいて、歓迎の挨拶をされ、その際は特に問題なく進んだのだが……何故か


「導師殿、相談なのだが……助言の後に、港の拡張工事を手伝って貰えないだろうか」


と、工事の支援依頼をされてしまった。まあ、現状を話しておこう。


「そういった工事支援については、建設省から話が無ければ、受けてはいけないことになっておりますの。実は以前、勝手に工事支援を行ってしまい、その後の調整が大変だったということがございまして……申し訳ございません」


以前治水工事でやらかしてしまったからね……まあ、アルカドール領では幾つか工事をやっているけど、自分の所だし、領主であるお父様の許可は頂いている。その上、休暇中だったからノーカンだ。


「そうか……では、仕方がありませんな」


「そう言って頂けると助かりますわ。では、助言の前に、簡単に領内の状況を教えて頂きたいのですが」


「そうですな。では、こちらの者に説明させよう」


公爵はそう言って1人の行政官を指名した。事前の資料の内容を思い出しながら、その行政官から話を聞き、今日の助言に使用する地図等の準備を終わった頃には昼前だったので、始める前に昼食を頂いた。


昼食を終了し、助言を開始することにした。今日は領地の東半分を行おう。早速風精霊と頭を同化させ、区画の数だけ風精霊を呼び出した。集まって来た数百体の風精霊に、フェルダナが怯えてしまったが、そこは気にせず進めよう。


これまでと同様に風精霊達に説明し、それぞれに担当区画を示して魔力を与え、出発させる。指示が終わって暫く待機していると、近くの区画の担当だったらしい風精霊が戻って来た。フェルダナが担当する番号だったので任せていると、聞こえた限りでは、特に問題は無かった様だ。私の所で再度魔力を渡すと、元気に帰っていった。


その後も続々と風精霊が戻って来たので、状況を確認して記録していく。詳細を聞く必要のない精霊は、その場で魔力を渡して帰って貰い、詳細な場所などを確認する必要のある精霊は、確認後魔力を渡して帰って貰った。




やはり公爵領だけあって広いため、半分だけでも色々確認事項はあり、聞くだけで結構疲れてしまったが、漸くまとまった。耕作地や道路、水路などの状況は、数は多いが是正は容易だ。ただ、今回確認した中では少々面倒な案件があった。


『変な人達がいた。嫌な感じがした』


と言う内容だ。場所はワンスノーサとの領境界に近い、北東街道に面した山林の中になる。近くにそれらしい集落がないことから、盗賊の可能性が高いと行政官達は判断したため、その近傍の領軍駐屯所に緊急連絡を入れて貰いつつ、私は感覚共有を行って、報告してくれた風精霊に案内して貰い、現場へと向かった。


10分程で到着し、周辺を探ってみると、確かに怪しい人達がいた。近くで話を聞いてみると


「毎年今頃は、雪で止まっていた人の流れが元に戻るから、結構いい荷物があるんだぜ」


「警戒の薄そうな隊商を探せ。貴族は狙うな。後が面倒だからな」


等と話していたので、盗賊で確定のようだ。会議室に一旦意識を戻して、その事を行政官に話すと


「やはり盗賊ですか。この時期はその近辺に多く出没するのですが、領兵や冒険者などに情報を収集させても、鼻が利くのか頻繁に拠点を移動していて、捕えることが出来なかったのです」


と、非常に悔しそうに言っていた。うーん、乗りかかった船だ、捕縛に協力させて貰おう。大して手間もかからないし。


「感覚共有した私が現地にいる今ならば、発見した盗賊達を行動不能に出来ますので、領兵達を派遣して頂ければ、簡単に捕縛できますわよ?」


「何と!今から出動させると……2時間もあれば現場に到着出来ます。是非協力をお願いします!」


ということで、私は感覚共有を維持したまま、その付近にいる盗賊の一味を確認した。案内の風精霊にも、もう暫く付き合って貰い、周辺を捜索したところ、盗賊は32名いた。殆どが、近くの洞穴に待機しており、酒を飲んだり、何かを食べたりしていた。捕まっている人などはいなかった。先程外で話していた盗賊達は、街道の監視係のようだ。盗賊達の動向を、逐次意識を戻して連絡していたところ


「導師様、そろそろ領兵が現場に到着する頃です」


と、先程の行政官が言ったので、ひとっ飛びして現場から少し離れ、街道を移動してみると、確かに領兵達がいたので、現場に戻って行動を開始した。今は風精霊と感覚共有しているので、威力は弱いながらも、雷を使うことが出来る。片っ端から気絶させていこう。とりあえず外にいる監視係を片付け、洞穴内に入って盗賊達を攻撃した。


「ぐわっ!」


「何だ?ぎゃっ!」


「敵か!ぎひぃっ!」


等々、恐らく盗賊達は何をされたか判らないうちに気絶し、次々と洞穴内に倒れていった。




結局、盗賊の捕縛が終わった頃には、夜中になっていた。


「導師殿、盗賊の捕縛に協力頂き、誠に感謝する」


「公爵、お役に立てましたようで、何よりですわ」


行政官からの報告を聞いて会議室にやって来ていた公爵から感謝の言葉を貰い、その日は公爵邸で休ませて貰った。


翌朝、公爵邸で朝食を頂いたが、食堂には、公爵の他、昨日は会えなかった公爵夫人のセラブリミア様と、ユディルナリア様がいた。本当はフェルダナも貴族待遇なので、こちらに居て良いのだが、他の精霊課の人達や護衛達と一緒に食事をしている。なお、男爵であるレイテアもそちらに逃げた。ぐぬぬ。


「昨日は立て込んでいて紹介出来なかったが、うちの末娘だ」


「フィリストリア様、初めまして。ユディルナリアと申します。宜しくお願いします」


「こちらこそ、宜しくお願いします」


「うちの娘は、器量良しですし、魔法や教養などについても、優秀な子ですのよ」


「どこに出しても恥ずかしくないように育てている。どうだろうか」


……恐らくお兄様の結婚相手として、という意味だろうが……私には何とも言えないので、曖昧に回答しておいた。いや、確かに可愛らしいし、所作も問題ない。話し方も利発そうな雰囲気だ。が、私が口出し出来る内容ではないからね……。




領行政舎に向かう前に、精霊視を持つ子を確認するため、聖堂に向かった。到着すると、20名くらいの少女達がいたので、早速いつもの様に判定すると、水属性の子が1人、反応したので鑑定して貰い、精霊視を持つことを確認した。12才だそうだ。さて、行政舎へ向かおう。


今日は西半分の確認だ。普通に終わって欲しいものだと思いながら、同化して風精霊を呼び出した。要領を説明して担当を割り振り、魔力を与えて確認に向かって貰った。暫く待機していると、近傍の担当からぽつりぽつりと戻って来たので、フェルダナと分担して報告を聞き取った。


今回は、大きな問題は無く、耕作地や水路、道路の是正をすれば良いだけだった。ということで領行政舎で昼食を頂き、王都に戻って来た。なお、捕縛した盗賊達については、後から概要を連絡してくれるそうだ。大臣や精霊課長にも、巡回助言の内容を報告し、その日の業務を終えた。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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