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第172話 家族会議に参加した

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

豆腐の試食の後片付けが終わって暫くして、私はお父様に談話室に呼び出された。行ってみると、家族全員がそこにいた。何事だろうか。


「お父様……一体何のお話をされるのでしょうか?」


「フィリス。現在の国内の派閥の状況について、認識共有をするため、皆に来て貰ったのだよ」


お父様はそう言って、話し始めた。どうやら、お祖父様が王都で入手して来た情報や、最近のお父様に対する働き掛けを考えると、そろそろ大きな動きが出てきそうなので、方針を定めたり、対策を練るために集まったようだ。


「アルカドール家として、特に注意しなければならないのは『改革派』からの働き掛けだ。我が家の基本的な立ち位置は『容認派』だったが、ここ数年は『体制派』と各家には見られている」


要するに、アルカドール家は元々、一応現体制を支持するが、領政優先のため、変に締め付けがないなら中央は勝手にやって貰っていいよ、というスタンスだったのだが、私が精霊導師になり、現体制に一致協力していると見られたために、我関せずといった態度は取れなくなったらしい。皆様、巻き込んですみません。


私が落ち込んでしまったのを察したのか


「……フィリス、気にするな。お前だけに責任を負わせるなどあってはならない。家族なのだから当然だ」


「お父様……有難うございます」


「話を戻そう。改革派の中心がイストルカレン家なのは変わりないが、容認派の方で変化が起こっている」


「容認派だったウェルスカレン家を、フェルドミナーク殿下が継がれるからですね」


「そうだ、カイ。現在、改革派は巻き返しを図ろうと考えている様だ。特に、旗頭となりうる存在であるオスクダリウス殿下を取り込むこと、また、改革の原動力となりうる我が家、特にフィリスを取り込むことを画策する可能性が高い」


「……でしょうね……1年も経たないうちにあれだけの功績を上げたのですもの」


「ただ、イストルカレンが直接フィリスを取り込むことは現状困難だ。従って、改革派の侯爵家であるカウンタールかディクセント、恐らくカウンタールからの働き掛けが強まるだろう」


「解りました。注意致します」


「フィリス……今お前は、重力魔法関係で、オスクダリウス殿下と結構会話しておると思うが、それを他者が見た場合『殿下とお前が仲が良い』と見えるらしいのじゃが……これを知った改革派は、結構焦っておるようじゃ」


「……何故でしょうか?」


「改革派は、オスクダリウス殿下を、単なる飾りとして、取り込みたいのじゃ。つまり、下手に力を持って貰っては困るのじゃよ。仮に、お前と殿下が婚姻したとすればどうなるか。意のままにならんどころか、下手をすれば新勢力誕生じゃよ。現改革派の敵になるかもしれんのじゃから、許せるはずがない」


「たかだか会話程度で……想像逞しいですわね……」


「当人としては馬鹿らしいと思うじゃろうが、奴らはそれだけ必死なんじゃよ。故に、フィリスを取り込めんかった場合、下手をすると何らかの手段で排除しようと画策する可能性もあるのじゃ」


「私を……ですか。非生産的ですわね。協力すればより良き領・国家が作れるでしょうに」


「周りが全てお前のような人間ではないのだ。高みを目指すより、人を妨害して結果を出そうとする者はいくらでもいる。そういった者は、特にお前のような力のある人間を攻撃することが多いのだ」


「……気を付けます……。ところで、未然に防いだり、反撃などを行う態勢は現在どのようになっているのでしょうか?」


「その辺りは現在王家と連携しているので、今の所は問題ないだろう。反撃についても、大義名分を準備出来れば、王家も動くことになるから、家格の差を気にしなくて良いだろう」


「クリス、この場合、王家もあまり信用すべきではないじゃろう」


「父上、それはどういうことでしょうか?」


「ロイドステア王家は、成立の経緯から、潜在的に精霊導師という存在を恐れておる。王家の敵となるか、王家より上の立場になるようなら、積極的に排除するじゃろうからな。つまり、王家に後始末をさせるという考えは危険じゃ」


「つまり、王家は名義貸しとして期待する程度にした方が良い、ということですね」


「そうじゃ。まあ、困った時は儂らに何でも相談してくれると、助かるのう」


「勿論相談させて頂きますわ」


こんな感じで私への注意は終了した。改めて思ったが、体制派の公爵・侯爵は、セントラカレン、ビースレクナとうちになる。セントラカレンは建国当初から王家に寄り添っている感じだし、ビースレクナは王家の出身地なので、代々親王家なわけだ。


容認派は、ウェルスカレンとイクスルード、どちらも我が道を行く感じだったが、ウェルスカレンは、体制派への協力を進める可能性がある、と。伯爵家は、王都周辺は体制派が多く、イストルカレン領周辺は改革派が多く、後は容認派が多いらしい。今度、全ての領を見て回るので、気を付けないといけないな。弱味を見せると、脅迫されたりするかもしれないし。


「あと、カイにも、働き掛けは行われる可能性が高い。特に学生生活には、色々隙が出来るからな。カイ、現段階で、お前に近づいて来ようとする伯爵家の子女はいるか」


「話す程度なら何人かおりますが、今の所は体制派と目される家の方ばかりですね」


「把握できているならば良い。あと、お前の婚姻の話なのだが、状況が変わるかもしれん」


「……それはどういうことでしょうか?」


「どこかの伯爵家との縁談を考えていたのだが……公爵家からの申し出があった」


つまり……セントラカレンはありえないから、イストルカレンか、ウェルスカレンか、あるいはその両方から申し出があったわけか。それを断って伯爵令嬢と結婚するなら、確かに相当の理由がいるよね。ちなみに侯爵家だと、お兄様に年齢が釣り合う令嬢はミリナしかいない。既にかなり家同士仲が良いので、敢えて結婚する必要はないわけで。両思いにも見えないし。


「どちらから申し出があったのか、伺っても宜しいでしょうか?」


「ああ、東西両方からだ。先程の件もあるから、選ぶなら西だろうが……暫く様子を見る」


えーと、つまり、チェルシー様がお義姉様になるのか?5年以上先の話だな。お兄様に好きな人が出来たりしたら、今の段階ならまだ断れそうだし、様子を見る、というのはそういうことかもしれない。


「……承知しました」


流石のお兄様も、かなり戸惑っているようだった。お兄様がそれなりの方と結婚して跡継ぎを作るのは義務なので、可能な限り気の合う相手と結婚して欲しいものだとは考えているが、今の所、お兄様には浮いた話は全く聞こえて来ない。一番親しい女性と言った場合、該当するのは実は私ではないだろうか。あまり兄妹仲が良すぎるのは、将来の義姉にとっては面白くないかもしれないし、気を付けないといけないかもね……。


「ところでフィリス、東西公の令嬢二人について、お前はどう思っているかね?」


突然お父様に、二人についての感想を聞かれた。まあ、義姉になる可能性が高いわけだから、現段階での印象を確認しておこうということかな?


「そうですわね……チェルシアーナ様は、天真爛漫な方で、気分屋な所はございますが、特に素養に問題はなさそうでした。精霊術士集中鍛錬の際は、非常に仲良くさせて頂きましたわ。ユディルナリア様は、聡明な方であるという噂は伺っておりますが、お会いしたことはございませんから、それだけですわね」


率直に感想を述べた。チェルシー様は、三女ということでかなり奔放に育てられたように見受けられるが、実際に話してみると、意外と状況を弁えているようだった。普通に話していても楽しいから、結構長話になったりしたものだ。クリフノルド様の妹にあたるユディルナリア様は、私より2才下で、これまでに特に接点はなかったが、今度東公領に行った時に会えるかもしれないな。


「なるほど。まあ、二人の情報については、今後も聞くことがあると思うので、気を配っておいてくれ」


「承知致しました」




そのような感じで、新年早々の密談?は終了した。私に対しても色々仕掛けられる可能性が高いらしいので、もう少し周囲に関心を持って行こう。親しい人達を巻き込んでしまう恐れがあるし。


それはさておき、明日からドミナスに行くので、服とかの準備を行った。今度はお祖父様を除き、家族で行くことになる。今度の視察は、私にも特別審査員としての役割がある。皆がどれだけ技量を上げたか、結構楽しみだ。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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