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第171話 豆腐を作ってみた

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

さて、今日から1月2日までは基本的に何もない。ということで先日手に入れたにがりを使って、豆腐を作ってみようかと思っている。とはいえ、この時期なら大豆は1日ほど水に漬ける必要があるので、実際に作るのは年明けかな。まあ、とりあえず料理長に相談してみるか。


……大豆の使用と、実際の調理も了承されたが、当然のことながら、調理時は数名が付き添うことになった。私が怪我したらまずいということらしい。一応貴族令嬢だからね……。まあ、何とか大豆を入手できそうだ。


あとは、豆腐の作り方を思い出して、紙に書いておこう。一応お母さんに教わってたんだよね……。




時間が少し空いたので、地精霊と感覚共有して、パティの所に遊びに行った。パティは刺繍をやっていた。


『パティ、元気?』


「あら、フィリス。私は特に変わりないけど……セイクル市がかなり変わったので、驚いてるわ」


『ええ、甘味研究所に行ってみたのですが、様々な甘味が販売されておりましたわね』


「そうなのよ!手頃な値段で美味しい甘味が売っているから、何度も買いに行ったわ!」


よく見ると、パティの机の上には、クッキーが置いてある。


『まあ、食べ過ぎないようにすることと、歯を磨くことを忘れないのであれば、結構ですが』


「販売所にもその注意書きがあったわね。でも、歯磨きはともかく、ついつい食べてしまうのよね……」


『王都に戻った時に制服を作り直すのは、勘弁して下さいね……』


その他、王都に戻る時に、3名の精霊術士候補を併せて連れて行くことなどを話した。同郷の精霊術士が増えるので、パティも喜んでいた。




今日は今年最後の日だが、せいぜい身の回りを片付ける程度で、あとはいつも通りだ。市内はお祭り準備だが、基本的にこちらの新年のお祭りは飲み食いして騒ぐだけなので、特定の準備をする必要が無い。まあ、歌とか踊りならいいけど、乱闘紛いの祭りとかでなくて良かったよ。


ということで、午前中は普通にレイテア達と鍛錬をして過ごした。午後には、お母様が年明けに行う重力魔法の教育について、相談に乗っていた。あと、大豆が手に入ったので、明日の朝から漬け始めようかな。




今日は1521年1月1日、新たな年が始まった。日本だと初日の出やら初詣などがあるが、ロイドステアは基本的に東は山脈で、いい初日の出が見えないからか、そういう風習が無い。これがサウスエッドとかなら綺麗な初日の出が見えるのだろうけれどね……。


年最初のお祈りも、普通は家でやる。何故なら聖堂も3日まで開いてないから。ということで、朝食時に家族で神様にお祈りをして、お父様の「新たな年を祝おう」という言葉と共に、縁起物の料理を頂いた。お父様とお母様は、昼から市の主要な人達と簡単な挨拶会があるが、お兄様や私は未成年なので、特に出る必要はない。というか私の場合、出歩くのは目立つので今日は外出禁止だ。しかし暇なので、風精霊と感覚共有して、市内を見物に行った。


広場などが飾り付けられ、屋台なども出て、多くの人が飲み食いして騒いでいた。クッキーなどのお菓子を食べている人もいた。また、屋台でかけそばを売っていた。結構な人気のようで、何だかんだと定着しているようだった。他にお祭り向きのお菓子や軽食を考えてもいいかもね。


とりあえずは今年から品種改良種を作るじゃがいもを使いたいところだ。じゃがバターとかフライドポテトとか。それと、甘い物だと、現状作れそうなのは、クレープや回転焼き辺りかな。たい焼きとかも作れないことはないけど、いきなり魚の形にしても意味が解らないから却下だ。


祭りの様子をひとしきり楽しんで、家に帰って、感覚共有を解いた。




夕食には、お父様もお母様も帰って来ており、お祖父様も一緒に家族全員で食事をした。定番の料理の他に、そばとうどんも出た。料理長達は更に腕を上げた様だ。王都では食べられないから、本当に有難いよ。なお、そばが結構食べられているのは、以前の新年のお祭りで、私が喜んでそばを食べたかららしい……年越しそばならぬ、年明けそばですか……。


「そう言えばフィリス、大豆を使って何かを試そうとしていると料理長から聞いたが?」


「はい、お父様。先日頂いた精塩の残りを使った新しい料理を試そうと考えております」


「あれを料理に使うのか?苦いだけではないのか」


「あれには、大豆などの汁を固める効果があるのです。これまでとは違った大豆料理になりますわ。あと、製作途中に出来る大豆の残りについても、健康に良い食品ですわ」


「あら、そうなの?どういった効果があるのかしら」


「栄養価が高い上、食物繊維も多いので、整腸効果なども期待できますわ。あまり野菜を食べられないアルカドール領の方々には、うってつけだと思います」


「美容に良さそうな料理なのね」


「はい、明日試作してみますので、宜しければ試食されますか?」


ということで、豆腐やおからの料理を、昼食に出す事になってしまった。




2日は朝食後から調理場で豆腐などを作っていた。昼食のメニューになってしまったから、必然的に料理長達も手伝ってくれることになった。力仕事も頼めるから有難い。ちなみに豆腐箱やざるなどは、いつもの通り自作した。


……何とかにがりの量なども間違えずに豆腐が出来た。この辺りは料理長達に良く教えておこう。とりあえずはしょうがなどを乗せてそばつゆなどをつけて食べて貰おうかな。後は焼いて貰ったり、揚げて貰ったりすればいいだろう。それと、おからの方は、卯の花にすればいいかな。


こうして豆腐料理の試食会のようなものが始まった。まずは冷や奴を出してみる。


「ほう、これは大豆の味が濃厚だ。あの苦い残り塩に、このような使い方があったとは」


「あっさりした感じで、前菜には丁度いいわね」


悪くない反応だ。次は揚げ出し豆腐のあんかけを出した。


「ふむ、なかなか食感が楽しい感じだな」


「油にも結構合うんだね。さっきのより食べた気になるよ」


成長期のお兄様にはこちらの方が良かったか。次は、アルカドールの郷土料理の一つである、牛肉などの煮込みに豆腐を入れたものだ。


「ほう、隠れているだけかと思ったが、しっかり主張しておるわい」


「肉とも卵とも違う食感だね」


確かに他の食材と食感が違うのが判る料理だから、面白いのかもしれない。最後は卯の花だ。


「うむ、少々食べ辛いが、意外と味わいがあるのう」


「これが健康に良いという料理ね。粉っぽいからもっと違う使い方もありそうだわ」


おからはもう少し使い方を考えた方がいいかもしれない。いっそのこと、クッキーとかにするのもいいな。


ついでに、豆乳も出してみた。


「これが、とうふ……という食べ物の元となる大豆の汁か。見た目は牛乳に似ているな」


「はい。あちらでも『豆乳』と呼ばれておりました。これはそのまま飲んだり、汁物に入れるなどの食し方がございましたわ。こちらも栄養があり、体質上牛乳を飲めない方などは、好んで飲んでおりましたわ」


「解った。とうふ料理についても、商工組合に調理法を渡してみよう。我が領でも多く生産している大豆を、より利用できるようになる上、残り塩を有効に活用出来るというなら、良い事だ。郷土料理との相性も悪くないし、馬鈴薯の様に定着するかもしれん」


「承知致しました。調理法は料理長達に教えておりますし、紙に記載しておりますから、それを商工組合にお渡ししましょう」


こうして、豆腐の製法についても、商工組合に教えることになった。今回作らなかった豆腐ハンバーグや麻婆豆腐なども、ついでに教えておこう。本当は豆腐の味噌汁が飲みたかった所だが、そもそも味噌がないし、一緒に食べたいご飯もない。味噌は、どこかで作ってると有難いんだけど……まあ、無い物ねだりをしても仕方がないので、鰹節などを使った吸い物で我慢しておこう。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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