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第168話 令嬢達に色々教えた

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

今日は外出予定はないが、リーズがレイテアに剣術を習いに来たり、午後にはルカやネリスが来ることになっている。とりあえずは早朝鍛錬の後、朝食を取って、さて午後の準備でもやろうか……と思った所


「お嬢様、アプトリウム家の方が来られました」


と、クラリアが呼びに来た。おお、かなりやる気だな。早速談話室の方に行く。


「リーズ様、ごきげんよう。それが鍛錬時の服装ですのね」


「フィリス様、ごきげんよう。このような機会を頂き、有難うございます!」


「では、早速レイテアの所に参りましょう。こちらですわ」


屋内鍛錬場に案内し、軽く運動をしていたレイテアに紹介した。


「レイテア、こちらが昨日話した、リーズメアラ・アプトリウム子爵令嬢ですわ」


「リーズメアラ・アプトリウムです。騎士志望です!ご指導宜しくお願いします!」


「リーズメアラ嬢、レイテアーナ・メリークルスです。親しい人はレイテアと呼んでいます。短い間ですが、騎士学校に入学するために必要なことを教えていきますので、そのつもりで」


「はい、宜しくお願いします!」


それからまず、リーズの剣術の腕前を見た……が、まだ型が身についていないし、体力もあまりないようなので、体操を教えることになった。ただ、見て気になったのが、魔力循環だ。一般的な滞留と呼べるものはないのだが、循環全体が活発でない。どうやらそのせいで、常に動作に支障が出ているようだ。体力もまだ不足しているようだし。体操を一通り教え終わって、反復練習させている時に、レイテアがやって来た。


「お嬢様、リーズメアラ嬢をどう思われます?」


「最近剣術を始めたように見えますわね。ですから、基礎の重要性をしっかり理解させる事が大事ですわ。体操以外は、型を覚える事と、体力をつける事。それと、魔力操作の練習もさせた方が良いですわね。何にせよ、ここでレイテアがやることは、剣術を教えるというより、どちらかと言うと動機付けでしょうね。あと、気になるのが、魔力循環があまり活発でない所でしょうか」


申し訳ないが、今はレイテアが剣術を教えるレベルにない。自分で基礎鍛錬をして貰う方が良いだろう。


「やはりそうですか。ご意見有難うございます」


それからレイテアは、まずは健康を維持する事、これは体操を続けることで基本的には可能であるとして、それを前提に、型を身に付け、体力を付けることが必要であると説いた。また、魔力操作を練習することで、身体強化も上手くなるので、今後絶対役に立つ、と力説していた。


「やはり今の私は駄目なのですね……でも、努力すれば騎士になれるのでしょうか?」


「それはやってみなければ解りませんが……努力しなければ騎士にはなれません。どう致しますか?」


「いえ、やります!だって、やっと剣術を習う許可を頂けたんですもの!」


それから、リーズはこれまでの自分の境遇を語り始めた。どうやらリーズは、小さい頃から体が弱く、よく寝込んでいたが、一念発起して、やれる運動を続けて何とか剣が振れるレベルまで体力を向上させ、最近漸く剣術を習う許可を得たそうだ。そこまで聞いたところで、気になったのでリーズに聞いてみた。


「リーズ様、体調を崩される原因を伺っても宜しいでしょうか?」


「ええ、お医者様から説明を頂いた事があります。内容が難しかったのであまり理解はできませんでしたが、魔力に関して何らかの支障があるようだ、ということは解りました」


「やはりそうですか。私の目には、リーズ様の体内の魔力循環は、普通の方より弱い様に見えますわ。魔力循環が滞ると、体が不調になり易いのです。ですからリーズ様は、まず魔力循環を良くする努力をされては如何でしょうか?」


「フィリス様は、そのような事までお分かりになるのですか?お願いです!魔力循環を良くする方法を、教えて下さい!」


「そもそも魔力循環は、魔力操作にある程度習熟すれば、自身で調節可能ですわ。試されてみては?」


と言って、リーズにやって貰ったが、あまり変わらない。恐らく、この状態に慣れてしまっているため変化させられないのだろう。ならば、少々荒療治だが、普通の状態を知って貰おう。


「リーズ様、少し横になって頂けますか?私が一度、魔力循環を補助致しましょう」


通常、人の体内の魔力を他人が操作するのは難しいらしいのだが、私の場合、全属性で魔力お化けだから、同調させると、ある程度他人の魔力を操作できる。それを利用してみよう。


「体を楽にして下さい。驚くかもしれませんが、呼吸を一定に保って下さい」


リーズの呼吸が落ち着いた所で、リーズの丹田に手を当て、魔力を同調させ、魔力循環を強めた。


「わっ、わわわわ」


「大丈夫、魔力の流れを受け入れて下さい。どうですか?体が温まって気持ち良くなりませんか?」


「……はい、何だか気持ち良くなって来ました。それに、体が軽くなって来ました。いつもは体が重くて、気合を入れないと動けないのに、今は体中の枷が取れた気分です!」


「健康な方の魔力は、この位の勢いで循環しているのです。これを覚えて、自分の力で調節すれば、恐らくは体の調子も良くなると思いますわ。試しに一度ご自身で調節してみましょう」


「はい……………………はぁ、はぁ、少しなら出来るようになりました!これを続ければいいんですね!」


「リーズ様、いきなり長時間操作するのは逆に疲れますから、まずは体操や柔軟を行う時に、意識的に魔力循環を強めてみましょう。慣れてきましたら、徐々に機会を増やしましょう。あと、アンダラット法を習得すると、魔力循環も行い易くなりますから、魔法の先生から教わった方が宜しいですわね」


「はい、有難うございました!頑張ります!」


「レイテア、リーズ様は、型より体力の向上を優先した方が良いですわね。その方がご家族も安心されると思いますわ。あと、諸手態勢崩しなども併せて行うと、体幹を鍛えられて更に良いと思いますわ」


「なるほど。今日はその辺りの紹介を行いましょう。私もお嬢様程ではありませんが、魔力の流れは確認できますので、ある程度把握して、助言することは出来ると思います」


「では、後はお願いしますわ。もし困った事があったら呼んで頂戴」


二人を残し、私の方は午後の準備に取り掛かった。幸いにして呼び出されることはなく、準備を終えた。


「お嬢様、リーズメアラ嬢はお帰りになりました。暫く自分で頑張ってみるそうです」


「そう、暫く時間を置いてから、一度確認した方が良いわね」


「はい、こちらの予定を伝えておりますので、王都に戻る前には来られると思います」


無茶さえしなければ、徐々に体力は付いてくる筈だ。健康第一。




昼食後、ルカとネリスがやって来たので、談話室に集まって貰った。


「まず、光魔法の理論について説明致しますわ」


そして、これまで検証して来た結果に基づいて理論を話した。ただし、レーザー関係は除いたが。


「光には、そのような性質があったのですね……道理で誰も魔法としての使用が出来ない筈ですわ」


「流石フィリス様ですわ……私、必ず光魔法を習得して、魔道具を作ってみせます!」


あとは実際に魔法を使うことで、習熟して貰おう。二人を連れて庭に出た。


「これから光魔法を実演し、その後軽く練習をして頂きますが、その前にこちらをお渡ししますわ」


異空間から特製のサングラスを取り出し、二人に渡した。


「光魔法は、目に悪影響を及ぼす危険性があるので、習熟度が低い時には、必ずこの色眼鏡を掛けた上で行って下さい。また、知らないうちに目に負担が掛かっている可能性もありますので、練習した後は、必ず目に魔力を流して疲労を軽減して下さい」


二人はサングラスを受け取って掛けた。私も自分用のサングラスを掛けよう。


「では、まずは特に方向を指定せず、火属性の力が持つ熱を全て白い光に変えてみましょう」


私は右手に火属性のエネルギーを集め、それを光に変えた。手から光が溢れ、周囲を照らした。


「これが、火属性の力を光に変える魔法……」


「凄い光……フィリス様から頂いた色眼鏡が無ければ、さぞ目が痛いでしょうね……」


「光の色は白以外を出すことが出来ます。概ね、想像した色を出すことが出来ますわ」


私は、集めた火属性のエネルギーを、少しずつ様々な色の光にして放射した。


「また、光を出す方向を指定することが可能です。このように、指向する方向を想像すると可能ですわ」


最初は右半分に、次は上半分に、また、前世でいう回転灯の様に照らす方向を周回させたりした。ついでに、掌だけでなく、自分から離れた所にエネルギーを集め、光らせたりもした。


「ネリス様の言葉ではございませんが、色々活用出来そうですわね。私達に教えるより、魔法研究所に研究して頂いた方が宜しいのでは?」


「本来であれば、ルカ様の仰る通りなのですが、とある事情で、光魔法については暫くの間、使用者を限定したいのです。そこで、お二方だけにお教えすることに致しましたの」


しっかりレーザーの対策が出来そうなら、もっと広めても問題ないとは思うが……。私だけなら、予め異空間に大きい鏡を準備しておいて、殺意を感じたら取り出せばいいのだけれど、一般的な対策が出来ないと、世界中で暗殺し放題になってしまう。今回二人に教えるのは、私だけではなかなか対策が思いつかないという理由もある。何とかならないものかな……。


「では、私達はフィリス様に信頼され、選ばれたと言うことですよね!何と光栄なのでしょう……」


ネリスが陶酔モードに入ってしまったが……あと一つ実演をしておこう。


「あとは、危険性についてですわ。これは光ではありますが、元は火属性の力です。束ねると、それなりの威力を発揮しますので、注意をお願いします」


そう言って、20クールくらい先にあらかじめ作っておいた岩に、頭くらいの大きさに集めた火属性のエネルギーを、ただの赤色光に変換し、集束して当てた所、岩の一部が溶けていき、穴が開いた。二人は驚いたようだ。


「このようなことも出来ますのね。回避できる敵への使用は難しいですが……覚えておきますわ」


「また、光は鏡などで反射いたしますわ。あらかじめ的や周囲を確認して練習なさって下さい」


その後、二人に光魔法を練習して貰ったが、今日の所は成功しなかった。二人は、引き続き自分で練習すると言ってくれたので、今後の習熟を期待しよう。ネリスは難しいけど、ルカなら今後は王都で暮らす筈だから、色々相談に乗れるし。できれば、私の思いつかないような使い方を考えてくれると助かるなあ。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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