表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

172/414

第167話 領の茶会に参加した

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

今日は、午前中に聖堂に行き、精霊視を持つと自己申告のあった少女達の判定を行うことになっている。午後には、お母様がセイクル市内の貴族夫人やその令嬢達を集めて、茶会を開くそうなので、そちらに参加する。ということで、聖堂にやって来たのだが……やけに人が多い。というか、男の子や大人も結構いるし、どういうこと?


「お嬢様、あの子達の大半は、貴女を一目見ようとやって来たのです。お騒がせして申し訳ございません」


「これは司教様、そういうことでしたか……では、まず判定を行ってしまいましょう」


私が鑑賞対象になってしまっていることは、流石に理解出来ている。淡々と進めさせて貰おう。


「お集まりの皆様の中で、精霊が見えるかもしれないという方は、前に出て下さい」


私が言うと、5人しか出て来なかった。えらく少ないな……。まあいいや、いつもの通りやるとして……前に出なかった子の中にも、いるかもしれないから、後ろの方も回っておこう。


火……早速1人いたよ。後ろは……いない。風……いない。後ろもいない。水……いない。後ろは……ん?一人挙動不審な子がいるので話し掛けると、恥ずかしくて言い出せなかったそうだ。地……2人いた。後ろには……いないな。よし、4名発見。


「今、精霊の声が聞こえた4名の方は、司教様に鑑定を受けて下さい。司教様、宜しくお願いします」


4名の子を司教様に見て貰う……が、他の子達は、4名をかなり羨ましそうに見ている。後でいじめとかにならないように、一応フォローしておこう。


「あの4名の方々は希少な才能を持ち、国の為に働いて頂きますが、貴方達も、自身で出来る事を頑張って下さい。それぞれ立場は違ったとしても、その志に優劣は無く、素晴らしい事なのですから」


私がそう言うと、不満そうな視線は減ったが、近くにいた男の子が言った。


「でも、あの子達は導師様と一緒の所で働けるんでしょ?羨ましいな」


「ふふ、そのように思って下さるのは嬉しいですわ。私はこのアルカドール領と、領に住む皆様が大好きで、領の為に何かをしたいと常々思っておりますわ。貴方達も、そうではありませんの?」


「……うん、僕も好き!」


「なら、私と貴方達は、住む場所は違えども、同じ考えを持っていますわ。一緒に頑張りましょう?」


「……へへ……仕方ないな……僕も頑張るよ!」


どうやら納得してくれたようだ。司教様の鑑定結果を確認し、聖堂を後にした。とりあえず、結果をお父様に報告した。


「ほう、4名も精霊視を持つ子がいたか」


「ええ、ただ、一人は9才でしたので、精霊課に勤務するのは、来年の洗礼以降になりますわね」


火の子は11才、水の子は10才、地の子は一人が11才、もう一人が9才だった。まあ、他の領でも10才前後で集めるので、似たような感じになるかもしれない。3名は、基本的には年が明けてから私と共に、王都に行くことになる。精霊課長には、手紙で連絡しておこう。


「それと……直接関係はございませんが、今回、判定以外の目的……と申しますか、私を見に来た子が大半を占めておりましたわ」


「……それは仕方がない。お前は、非常に領民に慕われているのだ。下手に規制して不満を高めるより、実際に姿を見せた方が良いだろう。流石に子供に紛れて暗殺を企てる者もいないだろうが、警戒態勢は取っているので、今後も機会があれば領民と触れ合ってくれると助かる。それとも、不審な者がいたか?」


「いえ、皆私の言う事を聞いてくれる素直な子達でしたわ」


……まあ、爆弾等は、この世界には無いし、私に危害が及ぶ魔法や魔道具は精霊が発動させないので、民衆を巻き込んだテロなどは無いと思うのだけれど……とりあえずこういう時は、精霊にも監視して貰おうかな。


そのような感じで、精霊視の判定は終了し、午後の茶会に備えることにした。




茶会の時間となった。私とお母様は、会場のテラスに、最後に入場する。ドレスは、形がお母様とお揃いで、お母様が赤、私はピンク色だ。いつの間にか王都のいつもの店で注文されていたというね……。


「まあ、やはりフィリスは何を着ても可愛いけれど、今回の盛装も可憐な感じが良く出ているわ」


「お母様は、お美しいのは勿論ですが、全てを平伏させるような威厳が感じられますわ……」


まあ、二人して一緒に入るので、入り口前で互いを褒め合っていたわけだが、お母様は真面目な話、王妃殿下も斯くやといった感じだ。実際に口にするとアレなので、婉曲的に表現したが。


入場し、お母様と私が会場の前に行くと、皆が席を立って礼をする。主催者であるお母様から


「今回は、娘のフィリストリアが王都から帰省しましたので、この場を設けましたのよ。皆で歓談し、見聞を広めて下さいな」


という簡単な挨拶があった。とりあえず、お母様の隣に座る。こちらは、婦人テーブルだ。ルカやセレナ、パティやネリスのお母さんがいる。その他、行政官夫人が数名いるが、小さい頃に家庭教師をして頂いた方もいるので挨拶をしたが、お子さんに年の近い女の子がいないので、それ以外はあまり交流が無い。こちらで暫く歓談した後、令嬢テーブルに行く予定だ。


こちらでは、基本的には産業振興の話が中心になっていた。特に、砂糖やお菓子が領内に普及し出したのは影響が大きい様だ。今回の茶会でも、甘味研究所が販売したレシピを元に、幾つかのお菓子が出されていた。


「このような甘味が気軽に頂けるようになり、本当にフィリストリア様には感謝致しておりますわ」


「恐縮でございます。しかし、行政官の皆様や、砂糖生産に携わる方々、甘味研究所の方々が励まれたからこそですわ。昨日伺いましたが、近々新作が出るようですから、期待されて良いと思いますわ」


「まあ、それは嬉しいですわ。でも、食べ過ぎてしまうのが困りものですわね」


そのような感じで和やかに話をした。後は、王都の流行の話などをしたり、重力魔法の話や、今後は精霊術士が魔法強化により、活躍の場が増えることなども話した。パティについても


「パトラルシア様など、いち早く魔法強化を成功させ、魔法兵団との協同訓練に参加して、陛下からも直接お褒めの言葉を賜っておりますわ。今後も各所でご活躍されますでしょう」


と言ったところ、パティのお母さんが感激していた。さてはパティ、自分の話をあまりしてないな……。


その他、幾つか話をしたところで、キリが良さそうだったので、令嬢テーブルへ移動した……のだが


「ああっ、フィリス様はますますお美しくなられて……その上、洪水、火災、疫病など、様々な災害の被害を抑えただけでなく、腐敗した海兵団までお正しになられるとは……まさに至高のお方ですわ!」


……何やら、ネリスが私を見て、非常に感激しているようだが、私はどう対応して良いか判らないのでとりあえず席に座った。周囲を見ると、どうやら他の人も、私同様引き気味だった。まあ、一応主催側なので、この雰囲気を払拭せねばなるまい。私はネリスに話し掛けた。


「ネリス様、そのように思って頂けるのは嬉しいのですが、皆様との久々の語らいですから、落ち着いて話しましょう?私は、皆様のお話が伺えるのが、楽しみでしたのよ?」


と、ネリスに懇願してみると、ネリスの動きが止まり、呆けているような感じになったが、表情を見ると、喜んでいる……のか?周囲を見ると


「放っておきましょう」


と目で訴えかけていたので、暫く様子を見ることにした。


「皆様、ごきげんよう。ルカ様、セレナ様とネリス様はお久しぶりですわ。パティ様は王都でもお世話になっておりましたが……そちらは、セレナ様の妹君でしょうか?」


セレナの隣に、初めて見る令嬢がいた。まあ、話には聞いていたのだが、最初の挨拶はしておかないとね。


「は、初めまして!アプトリウム子爵の次女、リーズメアラと、申します!こ、今後とも、宜しく、お願いします!」


リーズメアラは、席を立って礼をして、そう挨拶した。かなり緊張しているようだ。気合が入り過ぎているが、一生懸命な感じで、好感が持てた。


「フィリストリアですわ。今後とも良しなに。私の事はフィリスと呼んで下さいな」


そう言って微笑むと、リーズメアラは動かなくなった。隣のセレナが慌てて


「ふぃ、フィリス様、妹が大変失礼を!ほら、リーズ、大丈夫?」


横からセレナが声を掛けると、リーズは再起動したかのように動き出し、暫くして、状況を把握したのか


「も、申し訳ありませんでした~!フィリストリア様のあまりの美しさに、放心してしまいました!」


……そのように言われても、こちらは反応に困るが、嘘ではないようだし、悪い子ではなさそうだ。


「その辺りは、慣れて下さいな。ところで、リーズメアラ様は、何とお呼びすれば宜しいでしょうか」


普通は、こちらから言い出すことではないが、話を元に戻すため、敢えて水を向けてみた。リーズメアラはピンと来なかったようだが、セレナがこっそり呟いたようで、暫くして


「は、はい!私の事はリーズと、お呼び下さい、フィリス様!」


「ええ、リーズ様。改めて、宜しくお願い致しますわ」


そう言って微笑むと、リーズはまた放心してしまった。どうやら慣れるのには暫くかかりそうだ。




その後は、復活したネリスも交え、色々話したのだが……何でそんなに王都での私の活動に詳しいの?パティは噂話を積極的にはしない方だから、パティ以外にも情報源があるのか?聞いてみよう。


「皆様、王都でのお話ですのに、お詳しいですわね。何だか恥ずかしいですわ」


「いえいえ、どれも素晴らしい業績ですわ!領民は、フィリス様のご活躍を誇らしく思っておりますのよ。私も、毎月の会ほ……っ、王都の知人達からの手紙を楽しみにしておりますの」


?、今言いかけた言葉は何だ?……まあ、ネリスは王都にも知人が多いから、そこから色々聞いたのかな。


「そうですわね。アルカドール領の名を高めるためにも、ますます励まねばなりませんわね」


私の事ばかり話しても何なので、とりあえず新顔のリーズについて聞いてみた。確かレイテアのファンだと聞いているが……?


「実は、私は騎士を目指そうと考えておりまして、レイテアさんのようになりたくて、現在剣術を学んでいるのです。と言っても、まだ基礎の段階ですが」


「現在王都では、レイテアの活躍もあって、女性騎士の価値が見直されておりますのよ?騎士学校の教育要領も改正されますから、さしあたって、騎士学校への入学を目指して頑張ってみては如何?」


「は、はい!頑張ります!」


「ふふ、良い返事ですわね。……そうですわ!もしご両親のお許しが頂けるのでしたら、私がこちらにいる間はレイテアにも教わってみては?と言っても、私がこの屋敷にいる時限定となりますが」


「ぜっ!是非!お願いします!」


リーズはやる気満々だ。セレナの方は……歓迎はしていないが、反対でもない感じだ。なら大丈夫か。


「では、明日私は屋敷におりますので、いらして下さいな。レイテアには伝えておきましょう」


そうだ、ルカとネリスにも、光魔法を教えようと考えていたんだよね。この際明日呼ぼうか。


「ところで……ルカ様、ネリス様、実は私、新しい火属性の魔法を考案したのですが、もし宜しければ、お教え致しましょうか?」


「そ、それは、どのような魔法ですの?物凄い攻撃用の魔法なのでしょうか?」


「……今の所は、便利な魔法ですわね。光魔法ですのよ?」


そう言って、誰もいない壁に光を当てた。最初は白色光、続いて赤、橙、黄、緑、青、藍、紫に色を変えてみた。皆は驚いているようだ。続けて説明しよう。


「基本的には、暗所を照らす時に使いますが、今の様に色を変えて、信号や芸術方面への利用も出来ますわね。また、襲撃された際には、目眩ましとして使うことも出来ますのよ」


本当は、強力な攻撃魔法にもできるが、伝えるかどうかは、様子を見させて貰おう。……さて、どうかな。


「うちの分領には、非常に有用な魔法だと思いますわ。是非教えて下さいませ」


「フィリス様に教えて頂けるなら何だって!それに……実は私、魔技士を目指しておりますの。この魔法で魔道具を作った場合、大きな需要がございますわ!」


成程。ドミナスは、鉱山の坑道などで使えるからね。あと、ネリスが魔技士を目指していたとは知らなかったが、光魔法で照明用の魔道具を作ったら、これまでの火魔法の照明とは段違いで明るいから、間違いなく売れる。そういう方向に活用してくれるなら、こちらとしても有難い。


「では、宜しければ明日の午後、こちらにいらして下さいな。理論と実演を交え、お教えしましょう」


ということで、明日2人に光魔法を教えることになった。その後、魔法の話から派生して、重力魔法や雷魔法の話、ティーナの近況の話などをした。なお、ティーナはルカやセレナとたまに手紙のやり取りをしているようで、私に教わって雷魔法を習得したことを伝えていたらしい。まあ、異なる属性なので、単純に優劣は付けられないが、魔法学校に入学したら、切磋琢磨して下さいな。


色々話は尽きない所ではあったが、時間が来たので茶会は終了した。皆を見送った後、お母様から


「あの光を出した魔法は何かしら?私達の席でも皆驚いていたわよ?」


と言われたので、謝った後、光魔法について説明して、納得して貰った。あと、レイテアにリーズの事を話すと、快く引き受けてくれた。臨時とはいえ、現役の騎士学校教官でもあるから、嬉しいのだろう。


その後は、光魔法を教える準備をしたりして過ごした。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ