主要用語説明 (第052~第164話)
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1 世界関連
・龍及び神獣
人が世界を治め始めた頃、魔物の脅威が大きいことを感じた神が、火・風・水・地の4龍を生み出し、魔物暴走の監視や、状況により対処する任務を与えて地上に送った。龍は魔物暴走多発地帯の近くで、自分の属性に合った場所に棲み、眷属である神獣を生み出し、監視などを行い、魔物暴走の兆候があると、近傍の人の集落に神獣を遣わせて警告する。人では対処不可能であると判断した場合は、自身の力を揮うことも許可されてはいるが、周囲への被害も甚大になることから、可能な限り人の手による解決を図っている。龍及び神獣には魂があり、精霊視を持つ。また、龍は精霊女王とも交流がある。龍や神獣は、浮遊したり飛行することが可能だが、これは神の恩寵に基づくもの。
2 地理関連
・ビースレクナ領
ロイドステア国侯爵領の1つ。魔物暴走多発地帯であるファンデスラの森の一部が領内にあり、魔物暴走が発生した際に即応する任を国王から受けている。森の影響で、領内では恒常的に多くの魔物が発生するため、冒険者が多く活動しており、領軍についても魔物対応が得意。ロイドステアにおける魔石の産地。
・ウェルスカレン領
ロイドステア国公爵領の1つ。領内にロイドステア国西部の主要な港を有し、グラスリンド帝国を中心とした貿易の拠点となっている。統治するウェルスカレン公爵は、各公爵領の位置関係から「西公」と称される。各種海産物、石炭や石灰、綿花栽培などが有名だが、フィリストリアの助言により、木材パルプ紙の生産も始まった。
・サウスエッド国
ユートリア大陸の南端に位置し、国土は大陸中最大。農業・商業が主体だが、物作りが得意な地人族の集落もあるため、工芸品の人気が高い他、建設や金属加工などの技術も進んでいる。国境にカラートアミ教本部のあるクェイトアミ山が隣接しているため、巡礼観光の人気も高い。赤道が通っており、気候帯は地球で言うところの熱帯が主体で、トウモロコシや芋類が主食となっているが、最近は小麦も生産している。サトウキビの生産も盛ん。
3 特殊能力関連
・新規開発された魔法
雷魔法、重力魔法、光魔法、熱湯魔法
・魔法強化
精霊術士や妖精族が、古の約定に基づく文言により精霊に願い、魔力を与えることで、一定時間、その精霊が実行した事象変化、即ち魔法の威力や射程が概ね3倍程度になる。この現象を魔法強化と呼んでいる。
・魔力波
フィリストリアが編み出した技。魔力の活性化が、脳波とシンクロさせることであると仮定し、アルファ波が強まった瞬間に体内の魔力を圧縮して一点から放出することで、強力な攻撃技となった。当初は発勁を取り入れようとして試行錯誤していたため、発勁(仮)と呼んでいたが「魔力波」と名付けた。
・荒魂
フィリストリアが魔力波を応用して編み出した技。和合して、属性のエネルギーを取り込んだ状態で、魔力波を放つと、属性のエネルギーと魔力が混ざり合った状態で放出され、絶大な威力を持つ攻撃となる。精霊課長の感想を元に連想して命名した。該当する属性を頭に付けて呼ぶ。(火荒魂、風荒魂、水荒魂、地荒魂)
4 その他
・ロイドステア国行政府
国王を補佐し、行政を司る組織。宰相が統括し、総務省、財務省、外務省、国防省、建設省、魔法省、農務省、商務省、法務省に区分される。各省の長である大臣は、3公5候の現当主や前当主、元王族の法服公爵や、伯爵などが任命される。省内は各業務担当課が存在し、課長は子爵級の貴族が任命される。「ステア政府」と略される。
なお、宰相・財務・外務大臣は3公当主又は前当主、元王族の法服公爵が持ち回り、総務・国防・建設大臣は5候当主又は前当主が持ち回りで就任、その他は16伯当主や前当主などが就任することになっている。任期は決まっていないが、5~10年勤務するのが通例で、大体は政治的な理由や身体的な理由で交代する。
・魔法省
ロイドステア国行政府の省の一つで、魔法に関連する各種事業において、国王を補佐する組織。長は魔法大臣。省内は、魔法に関する研究や教育を司る魔法課、魔法兵団の運用や育成を司る魔法兵課、魔道具の研究や資料収集、登録された魔技士の管理などを行う魔道具課、精霊に関する諸業務を司る精霊課、省の人事や施設の管理、その他省全体の業務などを行う総務課がある。なお、魔法研究所は魔法省の隷下組織である。
・精霊課
魔法省の精霊関連業務担当課。長は精霊課長。ここに精霊術士は所属し、精霊課付という役職になる。その他、資料班、運用班、警護班及び総務班がある。資料班は、精霊に関する資料収集及び管理、運用班は精霊術士の運用に関する業務、警護班は精霊術士の移動や警護に関する業務、総務班は他班が担当しない課の諸業務を担当する。
・ロイドステア国軍
ロイドステア国が有する軍隊。総司令官が長で、伯爵級の貴族が就任する。隷下には総司令部、騎士団、歩兵団、魔法兵団、海兵団がある。海兵団以外は、本部が王都ステアシードに所在する。有事には司令官を任命し、司令部を作るとともに各団の部隊を合わせて方面軍を編成し、作戦を行う。なお、国防省は、軍の基盤整備や、国軍と各領軍が連携する際の調整を行う。
騎士団・歩兵団・魔法兵団は大きく、本部、近衛及び4個部隊に分かれ、その他、騎士団と歩兵団には各伯爵領に常駐する分遣隊がある。海兵団は本部及び4個部隊に分かれている。近衛部隊は王都の防衛警備担当、第1~4部隊は各地で作戦する部隊。4個部隊である理由は、海兵団以外は、隣国が4つあることから、最大4個方面軍を作る前提で編制されたため。海兵団はそれに合わせただけの模様。
・神子
神 (アミユレート) から選ばれた預言者。神は代々の神子を神託で指名する。神子は何時でも神の言葉を預かっても良いように、基本的に教主殿に控えているが、神子が神託を受けた時、周囲の人間は全て、強制的に平伏してしまう。受けた神託は大司教を通じて関係国の為政者に伝達される。現在の神子はアドナーシェ・ユール・テムトック。ネルセーデル出身の神官兵から出世し、神子に指名された。なお、ミドルネームの「ユール」は、神子を意味する。
・カラートアミ教の組織構成
代々の神子(神女)が教主。カラートアミ教本部、即ちクェイトアミ山の神域内を統括するのは神域長で、各国の大司教より格上。本部には神学部(教義に関する研究や教育・伝道を司る)、浄財部(資産の運用や各国通貨発行の調整を司る)、神殿部(神域内施設や警備を司る)、神子付などの部署がある。
各国の支部は王都に大聖堂を配置し、大司教を支部長として運営している。国内の主要都市(領主在住の市など)には聖堂と司教が配置され、支部分局として機能している。町村には、基本的に教会と神官が配置されている。なお、布教の一環として、教育機関の無い町村では、教会が学校の代わりをすることが多い。
・トロスの役
ユレート歴1518年末、疫病の影響で陸の孤島状態となっていたアルカドール領を占領しようと、ノスフェトゥス国が、国軍の第1軍第1団によりアルカドール領に侵攻した紛争の事を指す。通常であれば本格的な戦争となりかねない事態であったところ、アルカドール領のトロス砦周辺の戦闘終了後、講和が締結された。フィリストリアの存在が強力な抑止力となったためである。本来は第5次アルカドール紛争と呼ばれるものだったが、早期に終結したため、砦名で呼称されるようになった。
・商工組合
大抵の国に存在する、商会や各種職人、各種販売店などを管理する組織。所属国の政府の認可を受けて運営されている。組合同士で連携を取り合っているものの、カラートアミ教の様に国家を超越した組織とはなっていない。しかしながら、多くの国では金融業も併せて行っており、かなりの発言力を有する。預金口座は、組合同士で協定を締結していれば、他国でも使えるが、本人と確認できるものが必要なので、実質貴族や有力な商人しか使えない。
基本的に本部は王都にあり、主要な都市に支部がある。なお、ロイドステア国では、商工組合関連事業は基本的に商務省管轄となっているが、魔道具に関しては魔法省管轄になる。
・冒険者組合
大抵の国に存在する、冒険者を管理する組織。所属国の政府の認可を受けて運営されている。組合同士で連携を取り合っているものの、カラートアミ教の様に国家を超越した組織とはなっていない。
基本的に本部は王都にあり、主要な都市に支部がある。また、冒険者の役割上、小さな村や集落にも、大抵出張所がある。失業者対策の一環として、国からも運営資金が出されているので、国営事業としての面がある。なお、ロイドステア国では、冒険者組合に関する事業は総務省の管轄になっている。
・冒険者
冒険者組合が管理している人材。各種団体や個人からの依頼に基づき、狩猟、探索、素材収集、魔物討伐、警護などを行う。元々は、魔物等に対抗するなどの理由で武装していた者達を、治安上野放しに出来なかったことから、各国で法整備された。立場的には、組合が官製の派遣業者、冒険者が派遣社員のようなものであり、一般的には社会的な地位が低く、犯罪者となる者も少なくないが、一応仕事に就くことができ、依頼内容によっては一獲千金を狙うこともできる。出自が貧民や孤児の者が多い。また、地方の村や集落などでは、狩猟により食料供給に寄与している者が多い。
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