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第164話 年末の茶会に参加した

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。


更新時期に関するお知らせ

今後の話については、3日に1回更新させて頂きます。

今日は王妃殿下主催の茶会に参加するため、休みを取っている。朝から何だかんだと準備をして、昨日帰りに受け取ったドレスを着て、王城に向かった。参加者は前と殆ど変わっていないが、ペルシャ様が参加していたり、エルミナリア様が他国の家に嫁いだため不参加となったりしていた。さらっと状況を見た限りでは、お菓子が前より豪華で量も増えている。王太子妃殿下の趣味だな……。


とりあえず公爵夫人達と挨拶をした後に、王妃殿下と王太子妃殿下が入場し、茶会が開始された。


「フィリストリア、最近頑張っているようね。色々な所で話を聞くわよ」


「王妃殿下、お耳汚しでございます。しかしながら、私などを気にかけて頂き、恐悦至極にございます」


「ただ、貴女は既にこの国にとって重要な身なのですから、気を付けるのですよ」


「勿体なきお言葉です。しかと、この身に刻みましてございます」


恐らく、先日の暗殺未遂の話を言っているのだろう。素直に心配して下さることを感謝しよう。


「そうですわよ。うちの領はフィリストリア様のおかげで新しい紙製造事業を興すことになりまして、各所から問い合わせが殺到しておりますもの。単なる商いの域を超えて、行政や文化面でも、国に貢献できそうですわ」


「こちらも、フィリストリア様がいち早く処置して下さらなかったら、隣領で疫病が発生して、私はこちらに参加するどころではございませんでしたわね。本当に、感謝しておりますのよ」


「今度うちの領にも来て下さいな。相談させて頂きたいことがありますのよ」


「皆様、勿体ないお言葉ですわ。それと、来年は私が全ての領の巡回助言を行いますから、一度は皆様の所にお邪魔させて頂きますので、その際は宜しくお願いしますわ」


「本当にフィリストリアは頑張っているのね。もしかすると、2月頃に急に仕事を頼むかもしれないけど、無理だったら断っていいですからね」


「王太子妃殿下、勿体ないお言葉でございますが……今はご自身のお体のことを第一になさって下さい。それこそ我が国の将来を担っていらっしゃるのですから」


流石にもうお腹はかなり大きい。動けないわけではないから別に参加しても結構なのだが、やはり周りは気を使うよね。ちなみに、前世では結構見られた、赤ちゃんの性別についての言及は、こちらでは生まれるまではマナー違反となっている。政治的な話もあるし、何より王太子妃殿下に負担が掛かるからだ。まあ、周囲の声は気にせず、元気な赤ちゃんを産んで下さいな。


「心配してくれて有難う。ところでフィリストリア、この子の属性って今の状態で判るのかしら?」


「少々お待ち下さい」


後ろの精霊達に聞いてみると、お腹の近くに行けば、同属性の精霊には判るそうだ。


「精霊に確認した所……判るようですが……何故お知りになりたいのでしょうか?」


「父が、属性に合わせた贈り物を考えたいのですって。そんなの生まれてからでいいわよって言ったのだけれど、貴女なら判るのでは?と言ってね……どうかしら?」


王妃殿下を見ると、頷いている。ならば、やらない理由は無い。


「では、確認致しますわ」


4体の精霊達に、王太子妃殿下のお腹の近くに行って貰い、確認して貰ったところ……


「……風精霊が、自分と近しい存在がいると申しておりますので、風属性ですわね」


「フィリストリア、有難う!父に伝えておくわね」


「お役に立てましたこと、誠に有難き幸せにございます」


なお、本当は、性別も分かってしまったのだが……彼の事を言及するのは、生まれるまでやめておこう。




その後も、色々話をしていたが、やはりお菓子の話だと、王太子妃殿下が文字通り食いつきが良い。


「甘味が、以前より種類が豊富になったように感じますわね」


「サウスエッドからこちらに来た職人が、ロイドステアの食材を利用して色々試作しておりますのよ」


「まあ、それは今後も楽しみですわね」


確かに、ロイドステアとサウスエッドは作っている農作物が全く違う。まあ、地理的には前世でいうと日本とインドネシアみたいな位置関係で、温帯と熱帯だからね。サウスエッドはとうもろこしや芋類が主食だけれど、ロイドステアは小麦や大麦、豆類が主食だから、当然お菓子も小麦などから作れるようにした方がいいわけだ。果物も、あちらではパイナップル、マンゴー、パパイヤなどを食べたが……とりあえず、簡単な所から始めるのがいいと思うよ。


「当初は、果物を利用されるのが手軽だと思いますわ。サウスエッドですと、乾燥させると甘さが増す果物が多いようですが……こちらの果物ですと、そのまま使うのも良いですが、砂糖漬けにしたり、砂糖と共に煮詰めたものを使うと、甘味に利用し易くなりますわ。そういった手頃な所から慣れていけば、面白い甘味も増えるのではないでしょうか」


「そうなの?職人に伝えておくわね!」


「レイナルクリア、試食はほどほどにするのですよ」


「……お義母様……勿論ですわ……」


王妃殿下から一瞬殺気を感じた。王太子妃殿下、食べ過ぎたら出産後に体型が変わるから、気を付けてね。




その後、席を離れての自由歓談ということになったが、王太子妃殿下はそのまま座っていた。しかし、すぐに御婦人方に囲まれてしまった。まあ王太子妃殿下と話す機会は積極的に作りたいわな。さて、私は何処へ行こうかな……おお、ご成婚直前のペルシャ様も囲まれてるな、話を聞きに行こう。


「先日もウェルスカレン領においでになったのですが、少しでも領の事を知ろうと、父や私だけでなく、行政舎の者などからも熱心に説明を受けていらしたのですわ」


「まあ、お噂通り向学心に溢れる方ですのね。確か、魔法学校では公務もございましたのに、素晴らしい成績だったとか。ウェルスカレン家の将来は安泰ですわね」


やはり、フェルドミナーク殿下絡みの話で盛り上がっている。外見は、線の細い感じの美少年だし、少し話した感じだと、温厚で誠実な人柄のようだ。しかしながら、改革派の旗頭として祭り上げられそうだった所を「私は兄の治世を支えていきますので」と各所でやんわりと断り続け、改革派の貴族の動きを抑え込んだ、実は切れ者という噂のある人だ。結婚後、引き継ぎ期間が終われば、若き公爵として領を経営することになるのだから、優秀であるに越したことは無い。……少し会話が途切れたので、挨拶でもしておこうかな。


「ペルシャ様、改めましてご婚約おめでとうございます。お幸せそうで何よりですわ」


「まあ、フィリス様。有難うございます。昔から婚姻に関する物語を読んで参りましたが、いざ自分のこととなると、また違ったところがございますわ。色々勉強になります」


やはり本好きで勉強熱心なところは健在のようだ。良い公爵夫人になりそうですな。


「ますますウェルスカレン領が栄えそうですわね。ところで、チェルシー様はお元気でしょうか」


特例参加の私が言うのも何だが、今回は原則として成人のみ参加だから、チェルシー様は不参加だ。


「チェルシーは相変わらず元気ですわ。もっと王都にも頻繁に行きたいと言っておりましたわね」


まあ、好奇心旺盛な方だからな……。とはいえ、何だかんだ言って、ウェルスカレン三姉妹は、タイプは違えど、皆好奇心旺盛な所がある。レナ様も、魔法関係は特に食いつきが良いけど、それ以外でも興味深そうに聞いて来るしな……。話し上手は聞き上手と言うけど、そういう所は私に欠けているかもな……。


「2年後をさぞ心待ちにされているでしょうね……。そういえば、レナ様はご卒業されたのですわね」


「ええ。ただ、あの子はもう少し学校……というより王都に残るようでしたわね。魔法研究所の知人を訪ねて、雷魔法を習得したいと言っておりましたわ。領でも習得は可能でしょうに」


「……こちらの方が習得は容易ですから、暫くは様子を見られては如何でしょうか」


まあ何かを持って帰りたい気分なのだろう。あと、変わった自分をアピールできるという所もある。


「ふふ、そうですわね。でも、私など、領で一から重力魔法を学ばねばなりませんからね……今回の茶会と併せて、魔法研究所を訪れてみたのですが、正直な所、理解が追い付きませんでしたわ」


「私の母は、嬉々として重力魔法を練習しておりましたわね。領民にも普及させるようですわ」


「……そうですわよね……貴族たる者、魔法に及び腰ではいけません。帰ったらしっかりと論文を読み返しましょう」


まあ、出来る所から努力すればいいと思うよ。


その他、幾つかの所で話の輪に入ったりして過ごし、茶会は終了した。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


なお、明日明後日に、登場人物と用語の説明を投稿させて頂きます。


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