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第152話 重力魔法発表の反響は物凄かった

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

暫く通常の日々が続いた。とは言っても、幾つかの変化事項があった。まずはフェルドミナーク殿下が臣籍降下して、ペルシャ様と婚姻式を挙げる日が決まった。来年の3月25日だそうだ。当然西公府ウェルナードにおいて、祝宴が行われ、王家をはじめ、主要な貴族は招待されている。


私も招かれているので、災害が起こらない限り、行く予定だ。それと、帝国の方からも、誰かが参加するという話があるらしい。


また、12月の半ばに王妃殿下が茶会を行うらしい。これは、年末の恒例行事で、年末年始は故郷に帰って会えない人が結構いるので、その頃に行っているそうだ。こちらも私は参加する。当然ドレスも注文済みだ。


その他、イストルカレン家の長女のエルミナリア様が、他国の公爵家に嫁ぐそうだ。確かティロケープ国だったかな。サザーメリド国同様、イストルカレン家が貿易を取り仕切っている相手国だ。王太子殿下との結婚の線が無くなった時点で、色々調整していたらしいが……幸せになって下さいな。


そういえば、先日レイテアへの結婚の申し出を、シンスグリム男爵が行ったらしい。レイテアが条件を付けてから、申し出が増減した中の1件だったわけだけれど、レイテアはそれを見て「本気なのでしょうか……?」と、疑問視していた。まあ、騎士団長の言葉通りなら、本気だと思うが……実際に見て決めるのはレイテア自身なので、何も言うまい。




魔道具課の支援では、氷魔法の魔道具は完成し、王家に献上されるとともに、魔法学校などにもサンプルが配られた。また、希望する水属性の魔技士には、基本的な氷魔法の魔道具の作成法を教えるらしい。これで冷蔵庫やクーラーが出来たりするかは判らないが、アイデア出しの機会があればやっておこう。


雷魔法の魔道具については、基礎的なことは出来たようだが、実際の形になるのはあと少しかかりそうだ。その間にも、ヴェルドレイク様が私の所に質問に来るので、計算機の話を色々教えている。それだけなら問題ないが、好意も向けて来るのは、正直持て余し気味だ。こういった所は、魔力波会得の弊害……になるのだろうか?実際の所、そんなに困っていない気もするが……どうなんだろうね。




今日は書類を片付けたところで、回覧されて来た重力魔法の論文を読んでいる。省宛てに配布された文書は、大臣や私が読んで、各課回覧されるが、今回は各課にも配布されているので、私が読めば省の書庫で保存される。雷魔法の論文の時も同様の処置だった。ということで、じっくり読ませて頂こう。内容は解っているのだけれど、何となくだ。


読みながら、重力魔法の展望などを色々考えた。そもそも、前世にも重力を制御する技術は無かった。そういった意味では、前世を超える文明になってしまう可能性もあるが、基礎的な科学技術は前世の方が高いのは、言うまでもない。今後も、私の知っている範囲で、助言が出来る点があれば行おう。とはいえ、重力魔法については、魔石も少ないわけだし、ボチボチやっていく感じになるだろうな。


ならば、とりあえずは私の現在の生活で、重力魔法を使って何をやるか、という視点で考えてみよう。私のこれまでの行動で、結構注意を受けているのが、単独行動だ。まあ、急ぐ時は単独行動にならざるを得なかったから、そこまで厳しくは言われていないが、周囲が心配していることに変わりは無い。


そこで、重力魔法の魔道具として、乗り物を作ることを思いついた。イメージとしては、浮遊する自動車だ。これなら、私が操縦して、助手席や後ろの席に護衛を乗せれば、大丈夫だろう。基本的に、車体を作っておけば、魔道具本体部分を付ければ浮遊させられるから、魔石と魔道具が何とかなれば、作るのは難しくない筈だ。


タイヤの代わりにそりみたいな足にして、内装は馬車みたいな感じでいいかな。車体は基本的には木だと心もとないから、金属製にしよう。どうせなら、魔法銀を拾って作ってもいいな。窓の部分は、石英ガラスで作ってみよう。


そのようなことを考えているうちに、時間が過ぎて行った。今後は時間を見つけて、魔法銀集めや車体の製作もやっていこう。




翌日、書類業務を終わらせて、とりあえずじゃがいもを増やそうと思っていた所、魔法課長と魔道具課長がやって来た。はて、何だろうか。


「導師様、実は、地属性研究室の発表した、重力魔法の論文を拝見したのですが、我々の課の地属性有志にも重力魔法を覚えさせようと思いまして、お力添えを頂きたく、参りました」


魔道具課長が言った。魔法課長は、無言で頷いている。


「それは構いませんが……基本的には地属性研究室にお話しすべき内容では?」


「はい、その通りなのですが……実は昨日地属性研究室に問い合わせた所、基本的に、今月末の予算審議に向けて準備中で対応が難しいこと、また、あの論文を読んだ各所からの反響がすさまじく、当面はそちらの対応に追われること、あと、新しい概念なので、導師様がお作りになったという模型を作って頂いて、学習した方が理解が早いだろうという助言を頂きまして、参った次第です」


なるほど、今あちらは非常に大変なわけだ。まあ、あの論文を読めばねぇ……。それなら、魔法省内の人員の重力魔法習得に関して、協力するのも仕方がないかな。


「状況は理解致しましたが、私は何を行えば宜しいのでしょうか?」


「はい。「重力」という力の概念をご教授頂きたいのと、その際に、模型を2つ、作って頂きたいのです」


「その程度で宜しければ、承りますわ。何時頃が宜しいでしょうか?」


「はい!……ご都合が宜しければ、明日は如何でしょうか」


「明日ですか……午後であれば問題ございませんわ」


「有難うございます!課の者も喜びます。場所は魔法課の会議室で行います」


「どうしさま……ありがと……ございます」


ちょっとした講義が入ってしまった。一応ニストラム秘書官に講義の件を伝えた後、モデルフィアースを2個作りに行った。ついでに飛行車?の材料集めも少し行った。




今日は午後から重力魔法の講義を行うので、書類業務を片付けて、準備を行った。午後になり、魔道具課長が私を呼びに来た。課長に案内されて、魔法課の会議室に行くと、結構な人がいた。というか、どう見ても地属性以外の人もいるのだが……。


「申し訳ございません。導師様が講義を行うと言った所、後学の為に参加したいと多くの者が申しまして」


……視線を感じた限りでは、勉強以外の目的の人も結構いるのだが……まあ、こういうのをいちいち気にしても仕方がない。さっさと始めよう。


とりあえず、論文に書いてあることを、モデルフィアースを取り出して、説明した。また、この力は、大地と物質の間だけではなく、物質間にも発生しているが、存在の大きさによって強弱が出て来る(と、敢えてぼかした)ので、物質間の力は通常無視できるが、これを強めたり弱めたり反発させたりする力は、従来から使われている、土を石に、石を土に変える魔法の中でも一部使われていることを伝えた。一見イメージは異なるのだけれど、同じ力というね……精霊は凄いわ。


その後、モデルフィアースを両課に1つずつ渡すとともに、希望者には実際に重力魔法で浮遊して貰ったりした。論文にも、実際に浮遊すると感覚が掴みやすいと書いていたが、注意事項も記載されている。当然私も、この練習方法を行う際には、安全に留意するよう、重ねて注意した。


こうして、魔法課と魔道具課でも、重力魔法の習得が始まった。そして魔道具課の場合、習得後には更に魔道具を開発するという仕事が待っている。こちらは魔法の習得とは異なる難しさがあるので、気長に待つことにしよう。


あと、どうやらこの論文、各領主にも配布するよう、陛下からのお言葉があったそうだ。当然異例の事であり、印刷所の方でも大忙しだろう。今は予算審議に向けた資料の印刷でただでさえ忙しいらしいが……重要な知識を領主に伝えなかったら、王家への忠誠心が下がると考えたのかもしれない。


何にせよ、この国を大きく変える論文になったことは間違いないだろう。それを証明するかのように、省定例会議の話題は、今後重力魔法をどう活用するかという話題で盛り上がった。現在のメインは魔法課と魔道具課だが、ある程度形になったところで、魔法兵課も戦場でどのように活用していくか、国防省や国軍総司令部、魔法兵団と共に、検討組織を作るそうだ。明らかに戦場の様相が変わりそうだからね……。


場合によっては、魔法兵だけではなく、通常の歩兵にも習得させて使用するかもしれないそうだ。まあ、移動手段に使えるだけで全く違う。各種障害が無効化され、空を移動して背後に回り込まれたら、ひとたまりもない。もしかすると、当分の間は、他国に教える事を禁止する法律が作られるかもしれない、ということであった。


自分で開発しておいてなんだけど、本当に大事になったなあ……。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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