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第145話 人材交流の状況を確認した

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

休日は雨だったので、午前中に室内で軽く鍛錬して、午後はお祖父様やお兄様とお茶を飲みながら話をしていた。


「フィリス、魔法兵団との協同訓練はどうだったんだい?陛下も視察されたらしいけど」


「お兄様、陛下が直接兵士や精霊術士を慰労された程ですから、大成功と言って良いと思いますわ」


「それは良かったね。……魔法学校の方も、魔法強化について授業に取り入れた方がいいのかもね」


「今の所、実技は現場に来られてからでも十分ですわね。来年以降の精霊概論には組み込む予定ですが」


精霊概論とは、私が担当した授業の課目名だ。多分来年以降も私がやることになるだろう。


「それでは来年も聴講しなければならないね。そう言えば、父上も来られるようなことを言っていたね」


「正直な所、恥ずかしいのでご遠慮して頂きたい所なのですが……」


「実際、子弟の入学中に領主が視察することは、あるからのう。まあ、クリスを喜ばせてやってくれ」


なるほど。領主になると、子供の授業参観を申し込めるわけね。仕方ない。


このような感じで、久しぶりにまったりした日を過ごした。




今日はサウスエッドに行く日だ。行くのはいいけど、茶会が面倒だ……。


転移門前で待っていると、王太子殿下と妃殿下がやって来たので、早速転移した。そして移動先には


「おおっ、婿殿とレイナ!体は大丈夫か?」


やはりと言うか何というか、既にサウスエッド国王が待ち構えていたよ。周りはドン引きだよ……。


「お父様、体は問題ございませんわ。それより周りの者が……」


「そ、そうであったな、すまぬ。では、向かおうか」


本当は謁見の筈なのだけれど、王太子妃殿下の体調を考慮し、省略された。王太子殿下達は王都の職人街などで働いている者達を確認して、王太子妃殿下は、城内の者を部屋に呼んで状況を確認するそうだ。私は王太子殿下に付いて行く。さて、こちらの交流先は、どのような感じなのだろうか。


研修者の配置先は、土木工事業者、鍛冶屋、工芸品店、料理店などだ。最初は橋を作っている所に来た。殿下が到着すると、研修者が集合した。殿下は激励の言葉を掛け、また、サウスエッドの技術について、感想を聞いていた。


「我々が作っていた橋とは、全く構造が違います。あのように少ない石で、強度が保てるのが信じられません。是非、仕組を学んで帰りたいと思います」


そう言えば重厚で弓なりに作られているロイドステアの橋に比べて、サウスエッドの橋は、軽量で平坦ながらもどこか芸術的な感じがするな。


報告を受けて、次の場所へ移動した。次は鍛冶屋だ。到着すると、やはり研修者が集合して、殿下が皆を激励し、感想を聞いていた。


「こちらには、見たこともない農工具がございます。是非作り方を学んで帰りたいです」


「こちらの炉は、ロイドステアのものと違い、爆風により鉄を溶融し、銑鉄を炉の下部から連続的に取り出しており、効率が段違いです。是非技術を学んで、ロイドステアを発展させたいです」


やはりサウスエッドの技術は高いらしい。良い交流になりそうで、良かったよ。


次は工芸品店だ。ここは、製品の取り扱いを学ぶ観点で、何名か配置されているが、その他、サウスエッドの文化を学ぶということで、文学や芸術、流行についても調査している。こちらは、激励と簡単な報告で終わった。最後に、料理店に向かった。こちらで報告と併せて、昼食を取ることになっている。


「王太子殿下、こちらで様々な調理法を学ばせて頂いております。特徴的なのは、香辛料や香味野菜、果物をふんだんに使っている点です。ロイドステアには無い食材も多いですが、ここで勉強させて頂き、帰国後は更に食文化を発展させたいです」


その後、サウスエッドの料理を頂いた。研修者は、まだ殿下に食べて頂ける程慣れていないということで、こちらの料理人が作った料理を食べた。これまでも何度か頂いているが、サウスエッドは南国だからか、前世で言う東南アジアやインドの料理に似ている感じがする。


色々な香辛料が使われていたし、私がいたからかもしれないが、ココナッツミルクらしきものもふんだんに使われていた。香辛料が継続的に入手できれば、カレーとかも作れるかもしれないな……米が無ければナンでもいいし……と考えていた所


「導師殿、何か考え事かな」


「いえ、殿下。香辛料を輸入して、我が国でこういった料理を食するのも良いかもしれない、と考えていたのですわ」


「そう言った話も度々出ているので、試しに取り寄せて、何品か王都の料理店で出したのだが、殆ど注文されなかったのだ。物珍しさで注文した者も、辛さが受け付けなかったようで、評判が芳しくない。そういう意味では、私は導師殿が平然と食しているのを見て、以前から驚いていたのだ」


「今回ですと、椰子の実などが入っておりますし、さほど辛くはございませんが……確かに人によっては驚かれるかもしれませんわね。辛さに馴染ませるのであれば、サウスエッドの料理を参考として、穀物や果物と合わせることで、甘みを持たせる類の料理を創作するのも宜しいのではないかと思いますわ」


「なるほど。まずは我が国の民が受け入れ易そうな料理を創作するのも良いかもしれないな。もしかすると、導師殿にも意見を聞くこともあるかもしれないが、その際は宜しく頼む」


「承知致しました」


何故か香辛料の話になったが、需要を増やせれば、大量に輸入しやすくなるわけだ。そうなるといいなあと思いつつ、サウスエッド城へ戻った。




城へ戻ると、侍従に案内され、談話室のような所に来た。既にサウスエッド国王と王妃、王太子妃殿下がいて、談笑していた。どうやら国王は、王太子妃殿下に会えて大層ご満悦の様だ。王太子殿下と私は、国王に礼を行った後、案内された席に座る。


「婿殿、様子はどうだったかな」


「はい、陛下。どの者もサウスエッドの技術力に感嘆し、それぞれ目標を持ち、励んでおりました。今後も宜しくお願い申し上げます」


「それは良かった。帰る際は、宮廷魔導師長を同行させて貰いたい。こちらも状況を確認したいのでな」


「承知致しました」


「それはそうと、一つ頼みごとがあるのだ。レイナの出産の際には、余と妃を呼んで貰いたいのだ」


「それは……国王に確認し、回答させて頂きます」


そりゃそうだわな。陛下に許可を取らずに決められる話ではない。出産予定は……確か2月だったかな。私が転移門で輸送支援をする場合、下手をすると巡回に引っ掛かるかもな……今の所運任せだな。


「もう、お父様、心配して下さるのは有難いのですが、あちらの御都合もあるのよ」


「しかし、エリナの時も行こうとしたら断られたのだ。せめてレイナの時くらいは立ち合いたい」


どうやらエリナというのは、第一王女のことらしい。確か公爵家に嫁いだと聞いている。


「それは陛下、公爵夫人が出産で大変な時に、陛下が行幸されては、出産の邪魔ですわよ」


王妃の冷静なツッコミが入る。そういう意味では、陛下達が対応できる分、今回は余裕があるわけか。


「……まあ婿殿、可能であれば、宜しく頼む」


「はい、国王と相談させて頂きます」


その後は歓談をした後、転移門まで移動し、宮廷魔導師長達とも合流した。相変わらず親馬鹿だった国王の見送る中、ロイドステアまで転移した。宮廷魔導師長は数日城に滞在することになっている。今日はそのまま部屋で休む筈だったが、呼び止められて少し話した。


「精霊導師殿、我が国の2名の精霊術士についてですが、来年来られた時に、こちらで勉強させて頂くことになると思います。詳細は明日、精霊課長殿にお話ししますが、宜しくお願いします」


「承知致しましたわ」


まあ、こちらだと、制度や態勢から始まり、業務の形態や鍛錬方法など、色々学べるわけだからね。あの2名も、さぞかしびっくりするだろうな……。


ということで本日の業務は終わった。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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