表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

145/414

第142話 協同訓練の様子を確認した

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

今日も精霊課は協同訓練主体で動いている。課長は半日程度訓練場に見に行っているようだ。私の業務は通常通りだが、今日の分は午前中に終わらせたので、午後に入った所で風精霊と感覚共有して、訓練場に様子を見に行ってみた。


魔法兵団は、魔法兵団長以下、魔法兵団本部、近衛魔法兵隊と、第1~第4魔法兵隊があるが、今回は近衛魔法兵隊と第1~第4魔法兵隊を属性毎に分けて訓練しているらしい。各隊は属性毎に分隊を作っているそうなので、それぞれの分隊を同属性同士でまとめて訓練しているのだろう。


訓練場に到着し、訓練地域を見てみると、確かに色々な所に的が並べられていて、魔法兵団の人達が的に向かって魔法を放っている。どうやら今は、魔法強化されている時とされていない時の威力や射程の検証を行っているようだ。まあ、そうしないと使えないし、危ないからね……。


それと、どうやら一体の精霊がどの範囲まで魔法士の魔法を発動させるのかも見ているようだ。言い替えれば、精霊術士一人で魔法士何名まで魔法強化が出来るか、の検証なのだろう。


魔法については、同じ地域において複数の人が同じ魔法をほぼ同時に発動した場合、精霊が一度にまとめて事象改変を行ってしまい、威力が上がることが多い。逆に、非常に多くの人が同属性で別々の魔法を同時に発動すると、精霊が困ってしまって魔法が発動しないことがある。


魔法兵団は、集団で魔法を使うわけだから、その辺りは特に重要視するだろうな……。そういえば、魔法兵団の人は、基本的に全員アンダラット法を習得しているようだ。まあ、当然だろうけど。




おっ、あそこに動く的がある。結構速く動いている。……近くにパティ達がいるな。見に行こう。


「なるほど、この動く的は騎兵が突進してくる様を模擬しているのですね」


「はい。私達地魔法分隊は、こういった騎兵の突進を阻止するために、土で拒馬を作るのです」


「拒馬……馬を通れなくするための障害物でしたね」


「はい、騎兵の突撃を見越して作りますので、その際には強化をお願いします」


なるほど。魔法をどういう時に使うのか、教えて貰っているのか。確かにそういった事が解っていないと、肝心な所で魔法強化ができない可能性もある。


「こちらの的は、密集体型で槍を突き立てて突進してくる歩兵隊の模擬です。こちらの場合、拒馬ではなく、前に落とし穴を作ることが多いです。これは、倒す為ではなく、動きを止めて矢や魔法で攻撃するためのものですね」


「そうなのですか。先程の的との違いは何でしょうか?」


「こちらは、移動速度が人の歩行速度と同じですので、すぐに判ります。まあ、実戦ならば、一目瞭然ですがね。あと、この的は落とし穴を超えて来ることがあります。この際は壁を作って一旦下がります」


他の動く的の説明か。地魔法は基本的に突進の阻止や防御を担当しているのかな。他の属性の所へ行ってみよう。




えーと、あそこにロナリアがいた、水属性の集団かな。


「では、先程説明した要領で、散兵的を水属性弾で一斉に攻撃しますので、宜しくお願いします」


水属性の魔法兵が分散した。なるほど、これで範囲を確認しているわけね。ロナリアが精霊に魔力を与えてお願いした……魔法士の攻撃が始まった。なるほど……確かに精霊から離れていると、強化されていない人がいるな。強化範囲は大体半径30クールくらいか。次はその範囲内に全員入って攻撃した。今度は全員強化されている、なるほど……。


今度は強化担当をマリーに交代して行うようだ。マリーの場合は……範囲が半径50クールくらいありそうだ。これは魔力か何かが影響しているのかな?まあ、これは今後も鍛錬して大きく変化するなら、魔力以外の要因もありそうだけど、要検討かな。




さて次は……何だかうるさいな。見に行ってみよう。


「撃ち方やめーーっ!……いやー、本当にあの距離の的まで届くとは、思いませんでしたよ」


先程まで火属性弾を一斉に放っていた所には、当然だがラズリィがいた。


「さっきは近い的までしか届かなかったから、魔法強化した意味はあったみたいだね」


「火属性弾は、威力はあれども射距離が弓矢より短いのが難点でしたが……素晴らしいことです」


こちらは射距離の検証を行っているようだ。見た所、近い的・中間の的・遠い的と並べてあるようだが、遠い方にも届いた様だ。近い的は大体50クール、遠い的は150クールくらいありそうだ。弓矢での攻撃が精々中間の的くらいまでしか届かなかった筈だから、この距離の差は非常に有利になる。


これ以上の距離を攻撃する魔法は、レーザーくらいしかないだろうな……公表はしないけど。火魔法分隊は、どうやら暫く遠距離の的に向かって魔法を放つ訓練を行う様だ。最後に、風属性の方を見てみようかな。




リゼルトアラ達の所に来てみると、風魔法分隊は、何だか色々なことをやっていた。風魔法は攻撃も支援も防御もやり易いから、様々な仕事があるのだろう。3組に分かれて検証していた。


どうやら、一斉につむじ風を起こすことで竜巻化させようとしている組と、恐らく馬上の人間に突風を当てて落馬させる組と、飛んで来た矢を防ぐ組に分かれているようだ。それぞれ、リゼルトアラ、サリエラ、フェルダナが担当していた。


「これまでは、かなりの人数でないと竜巻を起こすことは困難だったのですが、この人数で簡単に起こせるとは……」


「おーっほっほっ、私が強化するのですから、当然ですわ!」


ふむ、数人で一斉に同じ魔法を使うと威力が増すけど、そこを更に強化したわけか。なるほど。


「かなり遠くでも強い風を起こせるようですね。次はもう少し遠くに起こしてみます」


「解りました。精霊さん、もう少し頑張って下さいね」


こちらは、火属性の所でもあったが、通常より遠くに風を起こせるようだ。


「何だか面白い様に矢が落ちていきますな。おーい、どんどん射てくれー」


「ほ、本当に大丈夫ですよね……いくら練習用の矢と言っても、当たったら痛いのでは……」


矢って、単に風を発生させるだけだと、方向によっては案外飛んで来るのよね……実際当たったし。だからしっかり防ぐには、空気の壁のようなものを作るしかないらしいんだけれど、範囲が限定される上に、矢は沢山飛んで来るからね……。ここまで完璧に防げるなら、矢は怖くないだろうな……。


なお、運用班と資料班の人達も各精霊術士達の近くにいて、色々メモを取っていた。




皆の様子を見ることが出来たので、魔法省に戻り、感覚共有を解いた。何だかんだと、結構生き生きと訓練をやっていたな。まあ、戦場には出て欲しくないけれど、やれる事があるのなら、出なければならないこともあるだろう……。案外、その辺りは、日本で暮らしていた私より自覚があるかもしれないな。


今回は氷魔法や雷魔法は使っていなかったようだけど、今後はその検証も行っていくのかな……。恐らくは威力や射程が大きくなるだろうけど、ただでさえ強力な魔法が、更に強くなると一体どうなるのか……。抑止力として働いてくれればいいけど、軍拡競争とかになったら嫌だな……。


その場合、手っ取り早いのは、各国でも精霊術士を育成することだ。今の所、いても数名くらいなので、あまり軍事的脅威にはならないだろうけれど、ロイドステアの様に数十名規模になると、相当な脅威だ。


精霊術士を生む方法を研究する所も出て来る……というか、既にどこかで行っているだろうし、それが出来ない場合は、敵国の精霊術士を暗殺したり拉致するという可能性もあるわけだ。まあ、真っ先に暗殺対象にされそうな私が心配するのもおかしい気がするが……。


精霊視の獲得条件については、実はある程度予想している。精霊術士や赤子を実験材料にしたりする必要があるし、そもそも前世にあったような機材が無いから検証できていないだけだ。恐らくは、赤子の頃に精霊に頻繁に接することで、何らかのホルモンが分泌されるようになり、精霊視を獲得できるのだろう。


で、それが女性特有の臓器から生成されるというのが、基本的に女性のみが精霊術士になる理由だと、私は考えている。皆から話を聞くと、大抵は自然が豊かな場所で育っているし、貴族令嬢も、生まれた時から魔力があまり大きくなかったため、精霊の入れない部屋では過ごしていないそうだ。


私については、精霊女王様から監視するよう言われていたらしいから、部屋から出た後は頻繁に精霊達が様子を見に来ていたようだし、恐らくそのせいだろうな……と思っている。まあ、他にも何らかの要素はあるだろうけれど。あと、妖精族については、無条件で男女関係なくそのホルモンが分泌されるように進化したのだろうね。


……とりとめもなく、そのようなことを考えているうちに、業務の時間は終了した。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ