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第112話 ロイドステア国行政府魔法省精霊課付精霊術士 サリエラ・ワグノル視点

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

私は今、精霊術士として魔法省の精霊課という所で働いている。この国は、精霊が見える人を精霊術士と呼んで、いい給金で雇ってくれているのだ。精霊術士がいない国も多いらしいけど、この国には、精霊導師という凄い人がいたおかげで精霊術士が多いと、初等学校で教わった。その言葉通り、職場では私以外にも精霊術士が10人以上いて、楽しくやっている。


私は王都にある宿屋の1つ「精霊の憩亭」という所の娘で、家族は両親、祖父母、姉や弟がいて、小さい頃から宿屋の仕事を手伝っている。ある時、他の人に見えないものが見えていることに気付いた。それをじっと見たところ、話し掛けて来た。


それは、自分を精霊だと名乗り、よく見ると色々な所にいた。特に近くの公園にはたくさんいたんだけど、小さい頃から遊んでいた所に、こんなに精霊がいたとは思わなかった。それから公園は、私の一番のお気に入りの場所になった。


もちろん、両親には精霊が見えることを話したけれど、冗談だと思ったのか、信じて貰えなかったので、それ以来言っていない。宿の名前にもあるんだから、少しは信じてくれたっていいと思うけれど。


そんな中、私は10才になり、合同洗礼式に参加した。ここで、戸籍というものに登録されると言われた。大司教様が何やら有難い言葉を話して洗礼式は終わったが、2人の女の人が、精霊が見える人は前に出て欲しいと言ったので、前に出た。


その2人は精霊術士で、洗礼式に来た子供達から、精霊が見える子を探しているそうだ。それぞれ精霊がいる所を教えて欲しいと言ったので、私は窓にいる精霊を指さしたが、その精霊術士達は、火属性と水属性だったので、風精霊の存在は解らないと言われた。そんなのないよ!


その後は本格的に宿屋の手伝いを始めたけれど、精霊が見えるのに認めて貰えないことが悔しかった。だけど、その3か月後。次は風の精霊術士が来るかも、と思って合同洗礼式を見に行ったら、今回は、去年国から発表された、新しい精霊導師様が、精霊が見える子を探しに来ているようだ。


見ていると、全ての属性を調べ始めた。水の子が一人、精霊が見えると認められたようだ。私もきちんと見て欲しい、そう思って導師様に話し掛けた。導師様は快く見て下さり、私は精霊が見えることを認められたのだ。両親は、私の言葉を信じなかったことを謝ってくれて、頑張りなさいと言って送り出してくれた。




それから私は、精霊課で働くことになった。高そうな宿舎の個室に住めて、毎日の食事もただ。しかも物凄い給金を貰えるそうだ。私はいったい何をさせられるのか心配になった。あの日に認められたもう一人の子、ラクノア・ストラスも、同じことを思ったらしい。きちんと働けなかったら酷い目に遭うんじゃないだろうか。


それを、相談役のフェルダナさんに話すと、それはないと言ってくれた。フェルダナさんは無口だ。必要な事しか話さない感じだ。こちらから話しかけると、きちんと説明してくれるので、悪い人ではないようだ。こうして、不安に思いながらも、精霊課で働く日々が始まった。


まずは総務課?という所に行って、これから着る制服の大きさを合わせに行った。私は、同じ年の子の中では背が小さい方なので、小さい人用の制服になった。ラクノアは、私より少し大きいけれど、やはり小さい人用だ。もっと大きくなろうと2人で話し合った。


それから、精霊課長という人の所で、申告?をした。この精霊課長という人が、私達の上司らしい。暫くは色々勉強して貰うけど、早く慣れて欲しいと言われた。貴族様らしいけど、優しそうなおじさんだ。


その後は、フェルダナさんやラクノアと一緒に、魔法省の建物を案内して貰ったり、色々な本や筆記具を貰ったりした。私、あまり字を書くの、得意じゃないんだけど、大丈夫だろうか。それに、書いてある言葉が難しくて意味が解らない。暫くは、フェルダナさんに聞きながら、勉強しないと。




精霊課に来て3日目、私とラクノアは、導師様の部屋に呼び出された。何やら、魔力操作の事を教えてくれるそうだ。私はこれまで魔法を勉強したことがないから、不安だ。ラクノアも同じようだ。フェルダナさんに案内され、導師様の部屋に入った。導師様に挨拶をして、高そうな椅子に座った。


改めて導師様を見ると、物凄く綺麗だ。先輩達も美人だったけど、比べるのが悪いくらいだ。女の人がお茶を持って来たのに気づき、慌ててお茶を貰う。私は、導師様に見惚れていたらしい。気を付けないと。


それから、お茶を飲みながら、魔法と精霊、魔力操作について、導師様から説明があった。特に大事なことは、持って来た手帳に書いた。どうやら、精霊術士は、魔力操作を練習することで、しっかり精霊達と話をしたり、お願いを聞いてくれるようになるそうだ。確かに、今まではあまりお願いは聞いて貰えなかったな。これから毎日、練習するということなので、しっかり練習していこう。


あと、私達の話をしたり、導師様の話も少し聞いた。ラクノアはお父さんが近衛隊で働いているそうだ。導師様は、北にある侯爵家のお嬢様らしい。で、実は導師様は先月洗礼を受けたそうだ。つまり私やラクノアと同い年で、むしろ私の方が数か月年上という話を聞き、二人してびっくりしていた。お姉ちゃんより大人びているし、てっきり何才か年上だと思ってたよ。




それからは、勉強したり、魔力操作の練習をしたりして過ごした。4人の先輩達が帰って来たのでにぎやかになった。本当は、暫く帰れなかったそうなんだけど、導師様が、工事を全部終わらせてしまったので、帰って来れたそうだ。正直想像が出来ないけど、導師様がとても凄い事は、先輩達の話で分かった。


勉強するものの中には、礼儀作法もあった。精霊術士は、貴族と接することも多く、必要なのだそうだ。あと、平民でも、爵位を貰って貴族の人の所にお嫁に行くことも多いそうだ。先の話だけど、やっぱり、精霊術士って凄いなあと思った。


フェルダナさんは、魔力操作の練習の時は、元気がなさそうだったのだけれど、ある時から他の人にもやり方などを聞いて、頑張るようになった。そのためだろうか、暫くして、魔力操作がきちんとできるようになったそうだ。私もフェルダナさんを見習って、もっと頑張ってみよう。




7月の休日に、新しい精霊術士が来た。パトラルシアさんという子だ。聞いた話では、導師様の家の近くに住んでいたそうで、友達らしい。同じ地属性ということで、エナさんが相談役になった。最初は大人しい子なのかと思っていたけど、案外はっきり自分の考えを言う子だった。魔力操作もしっかりできていて、規則や精霊の勉強なども、どんどん覚えている。私も負けない様に頑張らないと。


パティさんが、領での導師様の話を教えてくれたんだけれど、ノスフェトゥス軍の撃退の話、領の産業振興の話、氷魔法の話など、とても同い年の子の話とは思えない事ばかりだった。それでもパティさんは、導師様のことを、大切な友達として見ているようだった。恐れ多いとか、怖いとか、思わないか聞いたら、そう思う所をとっくに過ぎてしまって、どうでも良くなったと言っていた。


パティさんは王都に来たのが初めてということで、前から王都に住んでいる私達が、今度の休日に目ぼしいところに案内しようという話を、ラクノアと一緒に進めていたら、偶然導師様が私達の様子を見に来たので、ついでに導師様をラクノアが誘い、4人で出かけることになった。ラクノアと相談し、工芸品店、服飾店、料理店と、うちの家の近くの公園に行くことになった。




休日になり、侯爵家の馬車で導師様がやって来て、相談した通りに回った。途中、馬車の中で色々と話したが、導師様とパティさんは本当に仲が良いんだなと思った。


行く先々の店で、導師様をみんな見ていた。これまでは護衛とか邪魔だと思ってたけど、あれを見ると、やっぱり護衛は必要なんだなと思った。あと、導師様の護衛は女の人だけど、武術大会で優勝した人らしい。やっぱりそういう凄い人が護衛に付かないと駄目なんだろうなあと思った。


それはそれとして、私は以前から気になっていたおもちゃを買ったり、気に入った服を買うことができた。給金を貰えるっていいことだなあと思った。食事も美味しかった。


その後、公園で精霊と遊んでいると、財布を落としたらしいお婆さんがいて、導師様が多分精霊を使って財布を探したようなのだけど、パティさんが見えたようだから地精霊を使ったのだろう。宙に浮いた財布を見てお婆さんは驚いていたけど。




その後、導師様は感覚共有ということが出来るという話を聞いた。それを使うと、精霊を操って、遠くの景色を見たりできるそうだ。それに、遠くの精霊術士の所へ行って、話ができるらしい。導師様は、その力を使って、パティさんと良く話をしているそうだ。


試しに一度風精霊でやって貰った。導師様が操ると、普通は緑色の風精霊の瞳が黄金色になるのが、特徴だそうだ。洗礼式の時にこれをやっていたことを思い出して聞くと『その通りですわ』と、風精霊の方からも声が聞こえた。




精霊術士は、普通の人には見えない精霊が見えて、話ができる。その分、色々面白そうなことを知ることができると思う。けど、それ以上に、導師様を見ていると面白い。こういうことを言っては失礼だけど、いつも何かをやらかしてくれそうな気がする。これからも面白いことが色々ありそうだし、ここに来れて本当に良かったよ。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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