表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

111/414

第108話 お母様は新魔法に興味深々

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

無事講義も終了し、休日となった。お父様を迎えに、本邸へ帰った。


「フィリス、何度もすまんな。これが献上品の砂糖だ」


「分かりました。とりあえず収納致しますわ」


砂糖入りの壺を詰めた箱が何個もあったが、全て収納した。


その後、プトラムから地魔法と水魔法を覚える者達が来たので、魔法を展示する。


「このようにして、塩水から濃い塩水と水を分離できます。その後、濃い塩水を蒸発させます」


「おおっ、溶かした塩が、同じ量だけ取り出せるとは!」


「こちらの瓶に残ったものは、確かに水です……」


「なお、この塩を、更に重さで選り分けます。確認をお願いします」


「なっ、全く味が異なっている!」


「これらは、さほど難しくない地魔法と水魔法で行えます」


そして要領を教えたところ、この場である程度覚えてしまった。これなら大丈夫だ。


「なお、蒸発させる水の量が多い場合は、できれば風魔法で換気を行うようにした方が良いでしょう」


一応注意事項なども言っておいたが、こまめに蒸発させるなら、いらないかもしれないけどね。




ということで、午前中で用件は済み、昼食を取った後、お父様が言った。


「フィリス、例の魔法を見て貰えないか」


「では、習得されたのでしょうか?」


「一応的に放つことは出来るようになった」


「それは確認させて頂かなければ」


「あら、2人で何をするのかしら?」


と、お母様が話に入って来た。そういえばお母様には言っていなかったな。


「実は、フィリスに新しい風属性の魔法を教えて貰っていたのだ」


「まあ、そのようなことを私に言わずに進めるなど。是非見せて頂かなければね」


ということで、お母様も一緒に、鍛錬場へやって来た。他にも人はいたが、一応離れて貰う。


「では、始めよう。……はあっ!」


お父様が雷魔法を使った。右手から稲妻が放たれ、大きな音がして的に命中した。成功だ!


「お父様、おめでとうございます!」


「まだフィリスのような威力は出せんので、今後も鍛錬が必要だがな」


「……雷魔法……凄いではありませんか!流石は私のクリスだわ!」


雷魔法を初めて見たであろうお母様は、非常に感激しているようだ。……そのまま二人の世界へ行きそうだったので、一応制止しておいた。まあ、人の目のない所でやって下さい。


……お母様が、何故か私を見た。何だろうか。


「クリスには雷魔法、カイには氷魔法を教えて、私には何もないのかしら?」


ああ、この目は微妙に拗ねた感じの目だ。うーん、新しい魔法を教えて欲しいということか?


「い、いえ、お母様を仲間外れにしたわけでは、ございませんよ?」


「ということは、新しい地属性の魔法があるのかしら?」


「実は今、研究中の魔法なのですが……私以外にも使えることが先日判りまして」


「それはどのような魔法なの?」


「物を浮かせたり重くする魔法ですわ。攻撃にも使えますが、移動の補助や生活用にも幅広く使えますわ」


そう言って、落ちていた石に重力?魔法をかけ、空中で静止させる。


「あら、石を移動したり、石礫で攻撃する魔法とは微妙に違うわね……」


「はい。これは物に含まれる地属性の力を操作するのではなく、大地と物の間に働く力を操っているのです。石の浮遊だけではなく、このようなことも出来ますわ」


そう言って私は空中に浮かび、鍛錬場内を飛び回った後、元の位置に戻った。


「このように、人を浮かせることも……お母様?!」


「素晴らしいわ、フィリス。是非私にこの魔法を教えて頂戴!」


お母様は私の肩を掴んで、言った。教えます、教えますってば。


「分かりましたわ。少々お待ち下さい」


再びモデルフィアースを作って、重力の関係について、説明した。


「確かに世界は球だと聞いてはいるけれど、そのようになっていたのね」


「はい、この魔法は、フィアースと我々の間に働く地属性の力を操るものなのです」


「有難う、フィリス。私もこの魔法を習得してみせるわ。アンダラット法も先日やっと習得出来たし、やることが出来て、丁度良かったわ」


お母様はそう言って、早速練習し始めた、まあ、気長に、気をつけて練習して欲しい。


「フィリス、この魔法は、他の地属性の者にも習得させて良いか?非常に有用な魔法だ」


「現在は魔法研究所が研究しておりますので、あちらから公表されるまでは、内々でお願いします。あと、他の者の中には、魔技士の方も含めて頂いた方が宜しいですわね」


「そうだな。まずはエヴァに習得して貰い、皆にも普及させよう。ただ……」


「お父様、何か心配事でもおありでしょうか?」


「今後この魔法の魔道具を作れるなら素晴らしいのだが、材料の魔石が我が領では入手できんからな」


魔石は非常に貴重だ。世界でも産出が限られている。魔道具が高価なのはそのせいだ。


「そうですわね。我が国では、魔石を産出するのはどの辺りなのでしょうか?」


「我が国では、ビースレクナ領だな。ファンデスラの森周辺でたまに入手できる筈だ」


「では、叔父様や叔母様とお話ししてみては如何でしょうか?」


「そうなのだが、魔石は肉親とはいえ、簡単に譲れるものではない。何らかの取引をせねばなるまい」


「では……ビースレクナ領にも産業振興の話に乗って頂くというのはどうでしょうか?」


「そうか……産業振興の手段を教える代わりに魔石を融通して貰うという話なら、何とかなりそうだな」


「ええ。主要産業は……森で得られる物以外は、うちとさほど変わりませんから、品種改良した甜菜をあちらにも作って頂く、というのはどうでしょうか」


「ふむ……甜菜なら、あちらでも育つだろう。ビースレクナならば、私達と敵対することにはならんから、協力体制を作るにはうってつけだ。それに、砂糖を独占的に販売すると、国内に敵を作る可能性があることも、気になってはいたのだ。生産地を分散させることで、それもある程度防げるだろう」


そのようなことをお父様と話した。今後はビースレクナも巻き込む方向だけど、基本的にはWinWinだから大丈夫だよね……。とりあえず、交渉はお父様次第という所かな。




何だかんだと話しつつ、お父様を連れて王都に戻って来た。明日の謁見については、既に通達を受けている。午前中に私が王城に砂糖を届け、午後にお父様が謁見する算段だ。それは良いのだが、夕食時に、私が魔法学校で講義を行った件が話に上がり……。


「父上、昨日のフィリスの講義をお見せしたかったですよ。素晴らしい講義でした」


「何と!そのようなものがあったとは。何故私を呼ばなかったのだ!」


「お父様……どのようにして魔法学校の講義を聞くおつもりですか」


「視察と言えばいつでも見に行けるではないか。来年は行くからな」


うーん、やはり親馬鹿度が上がっている気がしてならない……。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ