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第106話 パティが精霊術士になった

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

午前中には、お父様と色々話をした。砂糖については、現在王家に献上する分を準備中らしい。恐らく次の休日には準備できそうなので、私がお父様を迎えに来ることになった。次の日に謁見できるよう、既に申請しているそうだ。王太子妃殿下、喜ぶかなあ。


また、塩の製造について、製造工場の建設地を選定し始めたらしい。このため、次の休日にこちらに来た際に、例の魔法を教えることになった。あれはさほど難しくないだろうから、すぐに覚えるだろう。


それと、これは年末に帰って来た時でよいそうだが、セイクル市周辺以外の所も、品種改良した甜菜に切り替えたいという要望が多いため、従来の甜菜の種を品種改良することになった。品種改良種だと家畜も喜んで食べるので、畜産という観点からも是非、と言われているらしい。甜菜の種子は生産に2年を要するらしいので、来年にも品種改良が必要だそうだが、やらせて頂こう。


あと、お父様の雷魔法の習得状況だが、電子を集めるのは何とかなったらしいが、通り道のイメージがしづらいらしい。私などは配線をイメージするとすぐ反映されたのだが、やはり電気という存在を知らないと、イメージが難しいようだ。そこで、私は電子を水に喩え、話してみた。


「お父様、雷の素は高所に貯まる水のようなものなのです。ここで、水路を作り、堰を開放しますと、水が流れて行きます。このような形で雷の素を想像すれば宜しいと思いますわ」


「なるほど、水路か。それで試してみよう」


来週帰って来る頃には習得できるかな?


午後になり、ミニスクス邸に馬車で移動した。ちなみに、一応制服を着ている。パティやミニスクス執政官、その他家族や使用人達が集まっている。見送りのようだ。


「お嬢様、此の度は娘の為にご足労頂き、誠に有難うございます」


「執政官殿、精霊課からの依頼という形をとっておりますので、気にしないで結構ですわ」


「導師様、こちらに荷物を集積しておりますの」


「承知いたしました。ではこちらを収納します」


大量の荷物を一度に収納したので、周囲は一瞬驚くが、事前に話していたためか、すぐ収まった。


「では、出発準備は整いましたわ、パトラルシア嬢、参りましょうか」


「ええ、導師様。お父様、お母様、お兄様達、皆さん、行って参ります」


皆口々にパティへ挨拶をする。執政官など、涙目だ。挨拶が終わると、パティを連れ、馬車に乗った。パティが馬車に乗った後、少し泣いていたのは、見ないふりをしておこう。


そのまま本邸から、王都邸に転移した。パティは王都に来たのは初めての筈なので


「ここが王都ステアシード……セイクル市とは全然違う……」


かなりのギャップを感じるよね……うち、田舎だし。


「今から宿舎に案内致しますわ」


パティを家の馬車で宿舎へ連れて行く間、王都の大まかな配置や主要な建物について説明した。


「へー、あそこが王城で、その横がステア政府の区域で……あれが大聖堂……魔法研究所は端にあるのね」


「魔法研究所は危険な魔法を扱うこともありますからね……今は大丈夫だと思いますが」


そのような事を話し、宿舎に到着した。そこには管理人とエナがいた。


「導師様、そちらが新しく来られた、パトラルシア・ミニスクス様でしょうか」


「その通りですわ、管理人殿。パトラルシア嬢、そちらが管理人殿と、当座相談に乗って下さるエナスジェラ・バンケルメス嬢ですわ」


「お初にお目にかかりますわ。パトラルシア・ミニスクスと申します。宜しくお願いします」


「パトラルシアさん、初めまして。エナスジェラです。エナとお呼び下さいな」


「こちらこそ、パティとお呼び下さい、エナさん」


エナは同じ地属性だし、男爵令嬢なので、話しやすいだろうということで相談役になって貰った。その後、パティの部屋に行き、収納していた荷物を出した。間取りは事前に連絡しているので、収納に困らない程度の量にしたそうだが……家族が色々持たせたかったようで、断るのが大変だったそうだ。


「この後は荷物整理と、この宿舎の説明となります。明日はまず総務課に行って制服を合わせます。その際に鑑定結果を渡すことになっていますので、忘れない様にして下さい」


「はい、エナさん」


「制服を着たら、精霊課長に申告です。申告内容はこちらに記載しています」


「有難うございます」


「その後は私が魔法省を案内しますね」


エナは親身になってくれているようだ。妹が出来たような感覚なのかもね。後は任せて大丈夫だろう。


「それではエナさん、パティさん、私は失礼致しますわ」


「導師様、今日は有難うございました」


「夜にでもまた伺いますわ。では、ごきげんよう」


ということで送迎任務完了、と。家に帰り、軽く汗を流したりして過ごすうちに、夜になった。




地精霊と感覚共有して、宿舎のパティの部屋に行くと


『あら、パティ……とエナさん、今晩は』


「本当に導師様なのですか?パティさんからお話を聞いた時は信じられませんでしたが」


『そう言えば、皆様には感覚共有のことは、直接お伝えしておりませんでしたわね』


精霊課長や資料班の人達にはきちんと言ってますがね。他の人には言う機会が無かっただけなのよ。


「エナさん、フィリスは領にいる時は、夜になると度々やって来て、私の所で話し込んでいたんですよ」


『私としても、気兼ねなく話せる方がいるというのは有難いのです。今では一番の友人ですわ』


「そういう所を見ると、親しみが持てるのですがね……」


「聞いたわよ、フィリス。こちらでも色々やらかしているんですってね」


内容自体は悪くない筈なのに、やらかしに分類されているのは何故だろうか。


まあ、一応心配になったので来てみたが、この分なら問題無さそうだ。良かったよ。




次の日出勤して、毎朝の練習にエナさんがいなかったので、恐らくパティに付き添っているのだろう。その後、執務室で書類業務をしていると、制服姿のパティが入って来た。


「導師様、着任の御挨拶に参りましたわ」


「あらそれはご丁寧に。どうですか。皆様とは上手くやって行けそうでしょうか」


「はい、エナさんをはじめ、皆様に親切にして頂いておりますわ」


「業務の方については、精霊課長から説明を聞かれましたか?」


「はい、当座は精霊課の方達や規則などに慣れつつ、来月の精霊術士集中鍛錬の成果を見て、各業務への支援をすることになるそうですわ」


「パティさんは、精霊術士の中では魔力が高いようですから、期待されているでしょうね」


アンダラット法を習得すると、魔力が上がり易いというのは、こういった所にも現れている。


「それにしても、精霊術士が他者の掛ける魔法を強化することが出来るとは思いませんでしたわ」


「ウォールレフテ国大使殿から頂いた書物の中に、そのような記述がございましたの」


精霊術士が、精霊に魔力を与えて頼むと、魔法の効果を高めてくれるということだ。


「人と精霊との仲立ち、という曖昧な仕事だけでなく、魔法の強化という目に見える仕事ですと、判り易いですし、やりがいもございますわ。今後は精霊術士として、頑張っていく所存です」


パティもやる気になってくれているようだ。一緒に頑張っていこう。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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