表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

108/414

第105話 甘味の作り方を教えた

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

その後暫くは、通常の業務を行いつつ、光魔法の検証やお菓子のレシピの補完などを行い、休日となった。


今日は朝から本邸に戻り、うちの家の料理人も何人か連れて、商工組合に出向いた。そこには、お菓子作りを始めようとする料理人が集まっていた。数名、パン職人も呼んでいる。


「では、これから甘味を紹介しますわ。説明を聞きつつ、適宜作業を手伝って下さいな」


その後、レシピを使用しながら、クッキー、ホットケーキ、プリン、パウンドケーキ、ベイクドチーズケーキについて説明していった。途中昼食をはさみつつ、説明を終了すると、夕方になっていた。


「申し訳ありません。まだ説明が足りませんので、来週また時間を取って頂けないでしょうか」


「何と、まだ紹介して頂けるのですか?今日の分だけでも甘味の店が開けますぞ」


「いえ、本日説明できたのは、簡単に作れそうなものばかり。来週説明する分も合わせ、今後皆様が工夫を重ね、我が領の砂糖を生かした甘味に育てていくのです。選択肢は多い方が宜しいですわ」


「承知しました。来週も全員集まりましょう。この調理法を書いた紙は頂けるのでしょうか」


「勿論ですわ。ただ、私も精霊から聞いて作りましたので、皆様で改良して頂けると助かりますわ」


「必ずや、お嬢様や領民達に、美味しいと言って貰える甘味を作りましょう」


「楽しみにしております。ただし、2点注意事項があります。1つ目は、甘味を食べ過ぎると太ります。2つ目は、甘味を食べた後、歯を磨かないと歯が痛くなるかもしれません。周知して下さいな」


「承知致しました」


ということで来週もこちらに来ることにした。




今日は省定例会議に参加したが、今回は御前会議前の会議ということで、3か月先までの業務の概要と、ここ3ヶ月分の業務の成果の概要なども話された。今回、精霊術士集中鍛錬についても議題に上がり、その目的や今後の構想について、認識が共有された。あと、サウスエッドとの人材交流について、受け入れ先の一つに魔法省が挙がっているので、その準備についても意見交換が行われた。


次の日、御前会議に参加した。形式はほぼ同じだが、やはり陛下がいると雰囲気が全く違う。魔法省関連では、雷魔法の話と、精霊術士集中鍛錬について報告された。雷魔法については、希望する魔法士に普及する態勢を作るよう仰られた。


そういえば、陛下も風属性なので、誰かに教わるのかな。精霊術士集中鍛錬については、今後の精霊術士の運用を変えるかもしれない大切な事業なので、手抜かりが無いようにと仰られた。私も成功させられるよう頑張りますよ。


その他、サウスエッドとの人材交流の話なども報告されていた。技術や文化を取り入れて、更に発展させるのはとても良い事だ。




会議以外は通常の業務だったので、空き時間に、お菓子用の調理具を増やしたり、重力?魔法を見に行ったり、光魔法を練習しているうちに休日になり、お菓子作りの説明の続きのため、本邸に帰り、商工組合に向かった。既に前回いた料理人達は揃っている。早速教えることにした。


とりあえずスポンジケーキを作りつつ、野イチゴのジャムやこしあん、生クリームやカスタードクリーム、そしてアイスクリームを作った。


「氷に塩を入れると、とても冷えますから、それを利用しておりますの。少々かき混ぜるのが大変ですが、それに見合う美味しさですので、是非作ってみて下さいな」


「確かにこれは、苦労してでも作りたくなる美味しさですな」


「果汁や果肉を砂糖と一緒に煮詰めて作ったものは、野苺だけでなく、色々な果物や野菜で作れますわ。小豆を良く煮てこして、砂糖を混ぜたものも、大豆や南瓜、栗などでも作れます。それらを色々組み合わせて、美味しい甘味を作って下さい。そういえば、甘味と麺麭の相性も良いですから、麺麭に入れるのも宜しいですよ。それと、果物を甘味に混ぜるのも美味しいですわよ?あと、果物を砂糖漬けにするのも良いですわ。そのままでも頂けますし、他の甘味に混ぜるのも面白い味になりますのよ」


「承知しました。今回お嬢様に教えて頂いた様々な知識を生かすため、我々は甘味研究所と、完成した甘味を販売する店舗を準備中です。ここにいる者を中心に、甘味作りの腕を磨く所存です」


「素晴らしいですわ。最終的には、一般の家庭でも、様々な甘味が作れるようになるといいですわね。あと、酵母や加熱以外の方法で、甘味などを膨らませる方法を教えますわ。これは味の調整が難しいですので、甘味作りに慣れてから、参考として挑戦して下さいな」


「承知致しました」


「まず、この石をご存知でしょうか?この付近でも採れると思いますが」


「……それはあぶく石ですな。温泉に漬けると泡が出るので、よく子供が遊んでおります」


「実はこの石は、加熱したりすると気体を出すのです。これを利用して膨らませる方法があるそうなのですが、私も細部は解らなかったのです。しかし、何かに使えるかもしれませんので、お教えした次第です」


そう話して、これを重曹にする方法を展示した。ぶっちゃけ、水に溶かして、そこに風魔法で二酸化炭素を突っ込んで、溶けるよう一定時間念じて、水を魔法で蒸発させれば重曹の出来上がりだ。かなり強引な気もするが、出来てしまったものは利用しよう。確か粉の1%が基準だったかな。


「総量に対し、この程度で良いのです。また、これを入れることで苦みが付きますので、酸味のある柑橘類などを併せて入れると良いかもしれません」


「今の我々ではこの知識を活用は出来ませんが、何時かは挑戦致しましょう」


「期待しております。そうそう、今回の甘味作りで使用した調理具を、皆にお譲りしますわ」


「お嬢様、有難うございます。我々一同切磋琢磨し、最高の甘味を作ります」


このような感じで現在私が伝えられそうな知識を伝え、王都に戻った。




7月に入った。いつもの魔力操作の練習をやっていたが、漸くフェルダナもアンダラット法を習得できたようだ。工事から帰った4名のうち、マリーとエナも、流石に貴族令嬢として魔法教育を受けて来ただけの事はあり、概ね習得出来たようだ。故に、最近は誰かのヘルプに入ることも無くなっている。良い事だ。


数日経ち、今日は午後から魔法研究所だ。いつもの様にビルゲルード室長の重力?魔法を見ている。もう少しで発動できそうなので、感じを掴んでもらおうと、今日も私が空中浮遊や飛行をさせている。


「……想像が具体的になった気がします。……やあっ!」


まだ無理だった。そうこうしているうちに、殿下がやって来た。


「今度は私に教官を浮かせる魔法を掛けさせて貰えないか?」


ということで殿下がやってみた。……結構上がったな……ん?様子がおかしい……拙い!落下してる!

とっさに私が魔法をかけ、地面への激突は避けることが出来た。


「教官、俺の魔法の制御が甘かったようです。フィリストリア嬢、教官を助けてくれて有難う」


「……い、いえ、導師様のおかげで助かったのですから、気になさらないで下さい。それよりも、一度落ちてみて、自分が大地に引かれていることが、良く解りました。今なら出来そうな気がします」


そう言って室長は、目の前の小石に魔法を掛けた。浮いている、成功だ!


「おめでとうございます!……しかし、何と申しましょうか、怪我の功名というものでしょうか?」


「導師様のおかげで怪我はございませんがね……。しかしこれで論文作成が進みそうです!」


今後は論文作成をするとともに、室員に重力?魔法を習得させてみるそうだ。




一息ついたところで、殿下が話し掛けて来た。


「そういえばフィリストリア嬢、来週学校に来るそうだな。皆楽しみにしているぞ」


「あら、もう広まっておりますの?嫌ですわ、まともに講義が出来るかどうかも分かりませんのに」


「いや、君の教え方は解り易い。相手が理解できるように、言葉を選んでくれるし、理解度を量りながら、次に何が必要かを考えてくれる。正直、以前俺の家庭教師だった者達に見習わせたいくらいだ」


「お褒め頂き光栄に存じますが……先生方の悪口を仰ってはいけませんわ?」


「そうだな、今更言っても仕方がない。それに、自ら学ぶ姿勢が一番重要なのだからな」


「その通りでございますわ。教師がどのような事を教えても、それを生かすのは、結局学生ですもの」


そのような話をしたり、重力?魔法の練習に付き合ったりして、その日は終了した。




夕食時、お兄様に学校で私の講義に関する噂を確認してみた所


「勿論私も講義を聴講させて頂くよ?当然じゃないか」


「あら、お兄様は学年が違うではありませんか。それに、その時間本来の授業はどうなさるのです?」


「大丈夫だよ。その時間は実質自習だから」


どうやら、本来は魔法の実習の時間らしいが、お兄様は高度な氷魔法を習得しているため、教えられる教官がいないそうだ。なので、私の話が出たところで、教官に掛け合って自習にして貰った、と。


「それでは、お兄様のご期待に沿える講義が出来る様に、頑張らないといけませんわね」


「それは有難いのだけれど、ますますフィリスの虜になる者が増えそうで、心配だよ」


「まあ!そのような不真面目な学生は、こちらからお断り致しますわ」


「では、講義の前に、皆にそう伝えておくよ」


2人して笑いあった。




週末になり、夜に本邸に帰って来た、明日はパティを連れて王都に移動することになっているからだ。ということで、パティの様子を見にやって来た。


『パティ、移動の準備は終わったかしら?』


「あら、フィリス、今回はわざわざ有難う。準備は終わっているわ。でも、私の王都への移動だけでなく、荷物まで異空間収納で運んでくれるなんて。商会の人がこれを聞いたら、目の色を変えるわよ?」


『ええ、だからあまり人のいる所では使っていないのよ。それよりお父上、心配されてない?』


「それが聞いてよ、父ったら、ここ数日、私を見るだけで泣いてるのよ。年末には帰ると言っているのに」


『まあまあ、それだけ愛されているのよ。私みたいに頻繁に帰れるわけでもないし』


「確かに領主様、フィリスが帰れなかったら、荒れそうよね」


もしかしてお父様、どこかの国王みたいに、領民に親馬鹿認定されてないか?大丈夫だろうか……。


それはともかく、準備は出来ているようなので、予定通り明日の昼過ぎに、こちらに伺うことになった。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


※ 麺麭:パン

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ