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第103話 塩と砂糖と重力?魔法

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

塩に関して案を検討したと連絡したところ、教えて欲しいということだったので、私は休日に本邸の方に戻り、お父様とプトラム担当者に、新しい塩の製造法について話している。


「つまり、塩の濃縮を、地魔法で行うということですね?」


「その通りですわ。あと、濃縮後の鹹水を、水魔法で水分を飛ばすことも検討されては如何でしょう」


「これならば、天候に左右されずに塩を作ることが出来るかもしれんな」


その後、概略の製造施設のイメージを伝えた。


「まず海水を少し高い所に汲み上げる……この労力がかかるところを、風車を利用することで軽易に行うとは……素晴らしいです!これならば、少し高い岬などを利用すれば、建設可能です」


「海水を一旦中腹に貯め、そこで地魔法で塩水を分離し、残りを海に戻す、か。フィリス、この残りは塩分のない水なのか?」


「その通りですわ」


「これを応用すれば、海に近いが水源が無い地域の飲料水確保にも役立つな」


なるほど。そういう観点もあるな。流石はお父様だ。


「一度、元になる魔法について、ご確認頂きましょう」


水を入れた樽、空の桶と塩の袋を準備して貰い、樽に塩を溶かした後、地魔法で桶に濃い塩水を移動させ、桶の水分を蒸発させた。うん、塩は全てこちらに集まっている。


「おお、本当に溶かした塩が元通りに集まっている!」


「確かに樽の水に塩は残っていない。これは色々な地域で役立てられそうだ」


「そういえば、あと一つお話ししたいことがございますの。実は、現在使われている塩は、色々な物が混ざり合っている状態です。特に、塩辛いものと、苦いものが混ざっているのです」


「その通りだが……それがどうした?」


「これを、塩辛いものとそれ以外に分けることも可能なのです」


そして、集まっていた塩を粉々にして、重いもの、つまり塩化ナトリウムを選り分けた。


「本当だ!左側は塩辛く、右側は苦い」


「この選り分けも簡単な地魔法です。こうして選り分けた後の塩辛い方を、特別な塩として販売するのは如何でしょうか。ちなみに残った方も、別の使用方法がございますが、そちらは改めて確認します」


「そうだな。この混ざり合った塩だと、食材によっては苦みが邪魔をすることがあった。単純に塩辛い塩があると、調理法の幅が出るだろう」


こうして、プトラム担当者は、明日以降早速プトラムの商工組合などと話し合うと言って帰った。


そういえば、今作っている砂糖は、不純物が多いため茶色だが、塩の作り方を応用すれば、もっと精製できるかもしれないから、検討して貰おうかな……。


その後、お父様とは、雷魔法の状況や、パティの移動の件について話した。また、精霊酒の宣伝の機会があるかもしれないので、数樽分を貰っておいた。そして、甜菜を収穫してある程度の砂糖が製造できる2週間後に、また本邸に帰ることなどを調整して、王都に戻った。




さて、また通常勤務の合間に、課題を検討してみよう。今度はお菓子か。とりあえず、現在どんなお菓子があるのか、商工組合の輸入業者から情報を入手してみるか。


帰宅時に輸入業者に寄って、注文用のカタログのようなものを買って来た。まずこれを読んでみたが、まあ輸入するから基本的に焼き菓子が主体だよな。ただ、自邸で作れるお菓子のセットのようなものもあり、その中には、ホットケーキやプリンのようなものがあった。ここら辺は簡単だから、うちの領でも作ろうと思っていたのよね。飴もあるけど、私には作り方が判らないから今回はパスだ。


クッキー、ホットケーキ、プリンは確定として、生クリームやカスタードクリーム、餡やジャムなども作り方を教えておくと、色々発展するだろうし、良いと思う。スポンジケーキも必要だな。パウンドケーキ辺りも作り方が楽だし、候補に入れておくか。うちの領はチーズも多く作られているから、チーズケーキは外せない。


……等と考えたところで、ふと重要な事に気付いた。この世界、酵母はパン作りに使っているからあるのだが、酵母では前世であったようなふんわりしたお菓子は殆ど作れない気がする。スポンジケーキやパウンドケーキはベーキングパウダーがなくても作れるが、その他色々発展させようとした場合、あった方がいいだろう。しかしながら私にベーキングパウダーなど作れる筈もないので、精々炭酸水素ナトリウム、所謂重曹を使う方法を提示するくらいしか出来ないな。後は文明の発達に任せるしかない。重曹自体は、天然でも採れるそうだから、精霊に聞いてみよう。


……普通にロイドステアでも採れるそうだ。北方に多いのか。なら、アルカドール領にもあるだろう。恐らく炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムが混ざった状態の筈だから、分離方法も考えておくか。どこかで拾っておこう。


あと、うちの領は、今氷魔法を習得している者が増加しているから、冷凍が必要なお菓子も紹介できればいいかな。ゼリーはテングサが届いてからやるとして、アイスクリームを作ってみよう。あれ、実は冷凍庫が無くても理科の実験レベルでも作れるからな……。


ということで、覚えているレシピを書いてみるとともに、無さそうな道具を地精霊と同化して作ってみた。錆びるのが嫌だから魔法銀製だ。魔法銀は色々と使えるので、今度多めに集めておこうかな。


そういえば、テトラーデのマーク叔父様から手紙が届いていた。読んでみると、どうやら、私が以前勧めたうなぎの蒲焼きを試してみた所、非常に好評で、うなぎの養殖も始めようという話になっているらしく、有難うという感謝の手紙だった。こうなると、いよいよ米が欲しい所だ。とりあえずは大麦ごはんを使う予定だが……どこかに原種でもいいから生えてないかね。




王太子殿下から呼び出しがあり、執務室に行った。7月末にサウスエッドとの人材交流要員を送るため、転移門でサウスエッドに輸送して欲しいという話だった。ついで?に王太子妃殿下と一緒に茶会に出て欲しいと言われたが、まあそっちはそれなりにこなそう。


週1回の魔法研究所へ行く日だ。今日もビルゲルード室長が出迎えてくれた。先週作った説明具のおかげで、何とかイメージがつかめて来たらしい。ということで、私が実際に重力?魔法を実演したりして、その都度質問を受けながら練習していると、殿下がやって来た。


「やあ、フィリストリア嬢、今日も来てくれて助かる」


「殿下、ご機嫌麗しゅう」


「ところで、一つ頼みがあるんだが……一度俺を魔法で浮かせて貰えないか?」


「あまり高くない所であれば、さほど危険ではありませんから、宜しゅうございますよ」


「感覚を掴みたいので、宜しく頼む」


ということで、殿下を1クール程浮かせて、水平移動などしたりした。初めは驚いていた殿下も、慣れるに従い、落ち着いて感覚を確かめていた。暫くして、殿下をゆっくりと地面に降ろした。


「どうでしょうか」


「朧げだが、感覚が掴めて来た気がする」


そういうと殿下は、近くの手頃な小石を浮かせようとしているのか、目を瞑り、イメージトレーニングのようなものを始めた。暫くすると、目を開き、魔法を発動した。すると、少し小石が動いたように見えた。


「おおっ、殿下、わずかだが動いた様に見えましたぞ」


「よし、今度はもう少し強く想像して、魔法を発動しよう」


再び殿下は目を瞑り、暫くすると目を開き、魔法を発動した。すると、小石が殿下の目の高さまで浮き上がった。成功だ!


「殿下、おめでとうございます!」


「有難う、フィリストリア嬢、君のおかげでこの魔法を使うことが出来た!」


暫く喜び合っていたが、殿下は私の手を握っていたことに気づき「これは失礼」と言って離した。


照れている所は、年相応の少年の様で可愛らしいのだけれどね。




ということで、重力?魔法の方は、習得に目途がついた。また、室長からは


「私も宙に浮かせて下さい!それはもうぐるんぐるんとお願いします!」


と言われたので、それなりに宙を舞って貰った。まあ、殿下も使いこなすまでには時間がかかるだろうし、もう暫くこちらに来させて貰おう。


そういえば、雷魔法の研究はどうなったのだろう、と、風属性研究室を覗いてみた所、ティーナが研究員の人と魔法課長に、雷魔法の講義をしていた。まだ習得出来ていないようだ。魔法課長もいるので、このまま帰ることにした。


さて、新しい火属性の魔法も考えないとな……。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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