表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

105/414

第102話 悩み相談や塩の製造法の研究

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

毎朝の魔力操作の練習も、アンダラット法を習得した者が出始めてからは、教え合う環境が出来、更に良くなった気がする。コルテアも概ね習得したようだ。初期組では、後はフェルダナだけだ。頑張ってはいるようだが、なかなか習得できないようだ。周囲ともあまり打ち解けていないし、一度話を聞いてみた方がいいかもしれない。


「フェルダナさん、少しお話ししても、宜しいかしら」


「は、はい、導師様……」


フェルダナを連れて、執務室に戻った。座って貰い、話し掛ける。


「フェルダナさん、あまり魔力操作の習熟が進んでおりませんが、判らない点など、ございませんか?」


「わ、私は、才能がありませんから」


「あら、どうして才能がないなどと、仰るの?」


「だって今も、みんな覚えているのに、私だけ……」


「それはやり方が悪いだけかもしれませんわ。才能の有無が原因かどうかは、判らないのでは?」


「でも、何で出来ないのかが、判らないのです」


「なるほど。やはり、やり方が悪いだけではないでしょうか?恐らく貴女は、単に自己の状態を把握することに慣れていないのですわ。特に、他者と自分を比べて、具体的に何が出来て、出来ていないかを把握することですわね」


「自己の状態を把握する……?」


「ええ。例えば貴女は、魔力量はどのように把握していらっしゃいますの?」


「多分、私が一番低いのでは?」


「いえ、逆ですわ。貴女は現在アンダラット法を習得した3名よりは多いですわよ?」


「そうなのですか?」


「正確な値は測定器で測らないと判りませんが。ちなみに、魔力量が多いほど、魔力操作は難しくなりますの。才能云々ではなく、貴女は元々他の方より習得が難しい状況なのです。焦らず頑張りましょう?」


「そうだったのですか……」


「それに、貴女は前から結構風精霊に話し掛けて失敗していましたが……」


「は、はい……」


「あれも見ておりますと、精霊に意志が伝わっていない、つまり活性化と逆のことをやっていた様に見えましたわね。こう申しては何ですが、自信が無さげでした。まあ、風精霊は四属性中一番気まぐれなのです。多少無視されても当たり前と思って、もっと気楽に接して良いと思いますわよ?」


「そ、そうなのですね……」


「でも、アンダラット法を習得して使いこなせれば、風精霊でも無視することは殆ど無くなりますわ。折角精霊が見えるのですもの。楽しくお話しできれば、素敵だと思いませんこと?」


「はい、もっと精霊達とも、仲良くしたいと思います」


「あと、こういったことを他の方とも、情報交換を行うのも宜しいですよ?私はたまたま全ての属性の精霊とお話しできますが、普通は他属性の精霊のことは解りませんもの。案外参考になりますわよ?」


「確かに私は他属性の精霊のことは知りません。……何だか興味が湧いてきました」


「そういう気持ちは大事ですわ。少しずつで結構ですので、お話ししていきましょう?」


「は、はい。頑張ります!」


フェルダナは、少しやる気になってくれたようだ。恐らく彼女は、失敗を重ねて自信を失っていたのだろう。まあ、現状だと、人間、精霊問わず、話し掛けようとする気持ちが大切だと思う。多少丸め込むように言ってみたが、間違ったことは言ってない筈。頑張って欲しいものだ。




さて、幾つかあった書類業務を終わらせたので、持ち帰った課題を検討しようかな。


塩については、聞く限り、砂に海水を撒いて塩分を増加させ、その砂を集めて海水を通し、塩分の濃い水を作って煮詰めて塩を取り出しているようだ。確かこの方法は地球でも行われていた筈。しかし、ここには魔法という便利なものがある。要は水分を蒸発させれば良いのだから、水を直接水蒸気に変えてしまえば良いのではなかろうか。そうだな……その際に大量に水蒸気が発生しそうだから、風魔法で移動させることも検討してみよう。


それでは、水を水蒸気に変化させる魔法を考えてみよう。確か氷魔法は、水分子の配列を整えることで成立したから、今度は水分子を散乱させるとか、解放するようなイメージを持ってみるか。試しに、花瓶の水を蒸発させてみよう。水面から、どんどん小さな水が溢れるイメージで……えいっ!


……あ、単に水が花瓶から零れただけだ。失敗だな。


ふーむ、水分子が溢れる、というより、湯気をイメージした方が、精霊もやり易いかもしれないな。では、再度やってみよう。


今度は零れた水が、湯気の様に次々と蒸発することをイメージして……えいっ!


すると、零れた水が綺麗に蒸発した。よし、これは利用できるかな。




後は、塩分を濃縮する魔法があれば、もっといい気がするな。濃縮の時に魔法を使うという発想がこれまで無く、天日を使っていたのは、大量の海水を使うから、魔法では魔力がいくらあっても足りない状態だったからかもしれないしね……。


そういえば、塩は何属性なのだろうか。秘書室から調理用の塩を少し貰って、精霊に聞いてみた所


『うーん、それは地属性だよ』


と言われた。ついでに、水に溶けた状態で、より分けられるかを地精霊に聞いてみると


『そうだね。水に溶けている地属性のものを、水ごと引き寄せることなら出来ると思うよ?ただ、それを直接水から引き抜くのは、僕の力だけでは無理だね』


なるほど、この要領で濃縮できればいいかもしれない。精霊達にお礼を言って、細部要領を検討した。


一旦、風車か何かで海水を高い所に汲み上げ、そこから水路を作って海に戻す。その途中で海中の塩分をより分ければ、効率よく濃縮ができそうな気がする。その後は、濃縮して集めた海水の水分を蒸発させ、塩を取り出そう。これなら、普通の魔法士が何人かいれば出来そうな気がするな。


このような感じで構想をまとめつつ、数日が過ぎた。




一度、薄い塩水から濃い塩水をより分けてみた。家の厨房で塩を貰い、桶を2つ用意して、1つの桶に水を入れて塩を溶かして薄い塩水を作った。これを、塩を取り出すイメージを持って、地魔法で空の桶に移動させてみた所、かなり濃縮が出来た。より分けた濃い塩水の水分を蒸発させると、溶かした時と同じくらいの塩が残った。これなら、大丈夫だろう。


そういえば、塩を舐めてみて思ったが、これは地球でいう所の塩化ナトリウム、所謂食塩ではなく、海水塩なんだよな。海水塩には、ミネラルが多いなどの利点があるが、調理に使いづらい面もあるので、食塩を作る方法を検討してもいいかもしれない。魔法で何とかできないかな。


「地精霊さん、この塩には、多くの成分が混ざっているのだけれど、分離する方法はあるかしら」


『うーん、僕達に違いを教えてくれれば、分けることは可能だと思うよ?』


「そうですわね……塩辛い方と、苦い方とか……ではどうでしょうか」


『僕達には、味は解らないな。色とか、形とか、重さとかない?』


「明確に違いが出そうなのは……重さ、正確には密度でしょうね。一度粉々にして、重さで大まかに分けることは可能かしら?」


『それなら大丈夫だよ。ある程度粉になっていれば、分けられるよ』


試しにやってみると、本当に出来てしまった。多少塩化ナトリウム以外も混じっている可能性はあるが、塩化カリウムや塩化マグネシウムが除けるなら御の字だ。この中で一番重いのが塩化ナトリウムかな。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ