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第101話 各所で新魔法を普及中

お読み頂き有難うございます。

宜しくお願いします。

夕食後に帰るので、それまでは暇だ。この機会に、お父様に雷魔法について話そうと、部屋を訪ねた。


「フィリス、どうしたのだ?何か相談でもあるのか?」


「相談というわけではございませんが、お父様にもお伝えしたい事がございまして」


それで、魔法研究所で雷魔法を教えたことや、ティーナが雷魔法を習得したことなどを話した。


「ううむ……雷魔法か……。確かに是非習得したいところだが、可能だろうか……」


「前世の知識をあまり伝えることが出来なかったソルティーナ嬢が習得出来たのですから、魔導師であるお父様ならば、お忙しい中でも習得が可能だと思いますわ」


「そうだな。雷魔法の練習を、時間を見つけてやってみよう。要領を教えて貰えないか」


「喜んで」


お父様は忙しい中、剣や魔法の鍛錬を人知れず行っている。ちゃっかりアンダラット法なども習得しているのだ。遠からず雷魔法も習得するだろう。また戦場に出る可能性もあるのだし、備えは必要だ。


魔法の実演をするために鍛錬場に行くと、お兄様が魔法の練習をしていた。鮮やかな氷魔法だ。


「ほう、ここまで氷魔法を自在に操るとは。カイ、成長したな」


「父上、有難うございます。ところで二人とも、何故こちらに?」


「実はフィリスに雷魔法を教えて貰おうと思ってな」


「なるほど。フィリス、これから実演してくれるのかい?私も話しか聞いてないから、是非見たいな」


「ええ。……お父様、先ほど話したように、雷の元を集め、的までの間に、通り易い道を作り、放つのです。お二人とも、少し私から離れて見ていて下さい」


お父様とお兄様は私から離れる。では雷魔法を発動しよう……えいっ。


大きな音がして、私の手から稲妻が放たれ、的に命中した。石製の的が焦げている。


「本当に雷だ……。実際に目にすると、その凄さが良く解るよ」


「これは……戦場で絶大な威力を発揮するだろう。このような魔法を使う敵とは戦いたくないものだ」


「では、お父様が習得されれば、我が領を攻めようとする不届きな輩は減りますわね」


「確かにその通りだ。領民を守るためにも、習得させて貰おう」


その後、発動のコツや、感電しないように注意事項を言ったりしているうちに、夕食の時間になった。今回は、通常の料理の他、そばが出ている。食べてみると、風味が素晴らしい。料理長頑張ってるな。


「この風味を楽しめる所が、私は気に入っているのだ」


「お父様。実は、そばは一気にすする方が、より風味を楽しめるのです。作法上問題がございますので、人前ではお勧めできませんが」


「そうか、そのような楽しみ方があるのか。人前では出来んのが残念だが……」


何かお父様、隠れてやりそうな感じだな。


「フィリス、うどんには何か他に食し方がないの?」


「そうですわね。今のように、そばと同じように頂くのも宜しいですが、焼くのも良いですよ。肉や野菜を混ぜて、汁などをかけながら炒めて頂くと、香ばしさもあり、食が進みますね」


「まあ、それは良いことを聞いたわ。今度副料理長に作らせましょう」


うどんチームは、焼きうどんを試すようだ。期待して待っていよう。


「王都の方でも、この様な料理をたまにでもいいので、食べたい気がしますね」


「なるほど。では、こちらから王都に料理人を派遣するか。年末には良い者を選定しておこう」


おおっ、王都でもそばが食べられるのか。それは有難い。どんな人が選ばれるのか楽しみだ。


ということで夕食も終了し、お父様やお母様に挨拶をして、王都に戻った。




週が明け、通常の勤務を行っている。今のうちに、私がパティを連れて来ることを精霊課長に言っておこうと思い、課長室へ行った。


「これは導師様、どうされましたか?」


「いえ、先日お話したパトラルシア・ミニスクス嬢ですが、移動が大変なので、私が転移門を使用してこちらに連れて来ることになりましたの。誕生日が7月6日ですから、移動日は9日になりますわね」


「なるほど。確かにアルカドール領からの移動は大変でしょう。承知しました。9日には宿舎に入れるよう、手配しておきましょう。その際、鑑定結果も合わせて持って来て頂けると助かります」


「承知しましたわ」


これで大丈夫だろう。次に帰った時にでもミニスクス執政官に伝えて貰おう。




今日は午後に魔法研究所に行く予定だ。さて、殿下達は重力?魔法の感じを掴めているだろうか。


ビルゲルード室長が出迎えてくれて、実験場に案内された。


「ビルゲルード室長。魔法の感覚は掴めましたか?」


「いえ、私は残念ですがまだ駄目です。殿下も似たような感じですね」


「この魔法の想像をする上で、何か解り辛い所はございませんか?」


「そうですね。やはり、我々が球の上に乗っていて、引き寄せられている、と言う事でしょうか」


この世界では、大地は大きな球で、太陽の周りを回っているという神託が過去にあった、とカラートアミ教が各国に説明しているので、ガリレオのような人は出ていない。ただ、天文学分野は、それらの神託で満足されてしまい、なかなか発展していない状況だ。


大地が丸いことを実感できないのも無理はない。高高度まで浮き上がらせるという手もあるといえばあるが、される側はたまったものではないだろう。そうすると……モデルになりそうなものを作ってみるのが早いかもしれない。


「室長、研究所に磁石はございませんか?」


「磁石ですか?確か、羅針盤用のものが研究室にございます」


「持って来て頂けませんか?」


室長に磁石を持って来て貰った。やはり、磁鉄鉱で作られた簡単なものだ。地精霊に探して貰おう。


「これと同じものが、この付近にないか探して頂けませんか?」


地精霊は何処かへ消えて、暫くすると『あったよ』と言って目の前に現れた。両手をその他の地精霊と同化させ、探して貰った磁鉄鉱を実験場まで引き寄せた。このくらいあれば大丈夫だろう。


そのまま、地のエネルギーで球状に固めた。これで、模擬的なフィアースの大地が完成だ。地面を転がすと、砂鉄が幾つかくっついた。それを室長へ見せて


「室長、この球を大地と考えて下さい。比率は正しくありませんが、我々はこの砂鉄の粒のようなものです。このように、大地に引かれることで、地に足をつけて生活が出来るのです」


「おお、これが神託にあった、大地が球状であるという意味ですか。なるほど!」


「これを見て、想像を明確にすれば、いつかは魔法を習得できるのではないでしょうか」


「やってみます」


そのようなことを言っているうちに、殿下がやって来た。殿下にも同様に説明する。


「なるほど。このような形になっていたのか。これを元に想像してみよう。フィリストリア嬢、有難う」


「殿下をお助けでき、光栄にございます」


これで重力?魔法の習得が捗ってくれればいいのだけれど。

お目汚しでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。

評価、ブックマーク、いいね、誤字報告を頂ければとても助かります。

宜しくお願いします。


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