幽霊のストーカー
不思議な夢を見た。
「貴方は42歳で死にます。病気で、ね」
殺風景な所に私の前に現れた仮面と背広を身に着けた男性は、分厚い書物を読みながら、そう私に告げた。
「どうして?」
すると、書物を読み返して
「変わったよ。君は14歳で死ぬんだ」と声を高くして言った。
或る相談をしたい私は探偵事務所に向かって歩いた。
道中、止まっている車が幾つも連なっていた。
よく見ると、中の人は全員こちらを見て奇妙に笑っている。その様子がまるで私のような子供を引きずり込もうとしているかのように感じた。
最近、物騒な事件が起こった。地元で多くの子供たちが行方不明になり、未だに見つかっていない。
横からの視線を感じる中で目的地に辿り着いた。
受付で「幽霊からのストーカー被害を受けているのですが」と言うと「君が?」と憫笑された。
私は、むっとして「そうですけど」と強く言った。
私は案内された席に腰を掛け、担当者に相談した。
最近、私の周りで変な事が起きている。急に寒気がして体調が悪くなり、少し寝ると金縛りに遭った。なんとか治まって洗面所で顔を洗い、水を止めた筈だが、止まっていない。故障だと思っていると、誰かの気配を感じた。
「誰?」
すると、水が止まり、女性の歌声がした。怖くなって私は走り出した。
すると、原因は体調不良と住民の歌声ではないかと言われた。
私はマンションに向かい、両隣に「最近、夜中に歌っていませんか」と質問したが、寝ているらしい。
私は寺に行くことにした。お坊様に相談し、地下に案内された。赤いスープがぐつぐつと沸騰している、大きな鍋があった。名前を「スンドゥブチゲ」と言うらしい。
突然、私はその鍋の中に飛び込みそうになった。
「油だから」と全く動じないお坊様。
今度は吸い込まれるかのように私は鍋へと向かっている。
「浄化されなさい」
私は、この人が優しい人なのか、悪い人なのか分からなかった。ただ感じるのは絶望だけ。
熱い。痛くて体が痺れる。あまりの苦痛に私は意識を失った。
気が付くと、紙のように薄っぺらくなって水面に浮かんでいた。どうやら体は無く、顔だけのようだ。
「息苦しいよ」
油だからだろうか。
鍋の前にいるお坊様が私を箸でつかんではやめた。
また「苦しい」と言うと、箸でつかみ、放すという事の繰り返しになった。
いっそのこと死んでしまいたい。
また私は意識を失った。
目が覚めると、私は鍋の前に倒れていた。体は元に戻っている。
立ち上がって、鍋を見るとお坊様が入っていて、横に、体が透けている女性が立っていた。
「……何で」
「死にかけていたから」
私には何が起こったのか分からなかった。
「これで邪魔は消えた。ずっと一緒」
最後までお読みいただき有難うございます。
ストーリー重視なので、情報を少なくしました。
「少女」は子供さらいの幽霊に遭いました。
「お坊様」は性悪説を信じるので、少女に起こったことは、少女自身のせいだと考えています。