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【閑話2:止まることなき信仰心】

私は仕事をこなしていた。その仕事はいつも行なっている身の回りの世話……ではない。

 『お嬢様を負傷させた愚者の始末』である。

 

 最初その知らせを聞いた時はこの世の終わりを悟ってしまいそうになった。自分が日頃お世話をしているお嬢様が何処ぞの悪ガキにやられたのだから当然である。

 思わずスマホを粉砕しそうになったが、詳しい情報を聞く必要があるので何とかその行動を踏み留めることにした。……お嬢様の弟:マリス様は私にこう告げた。

 

「姉さんに怪我を負わせた奴を始末してほしいんだ。」

 ……と。ええ、ええ。やってみせましょう。やってやりましょうとも。私はアイリス家の執事。マリス様、エカチェリーナ様を守るのが使命。今回は失態を犯してしまいましたが挽回してみせる。そのチャンスをマリス様は下さったのだから。

 

 主犯格はあっさり私に捕らえられ、縄でぐるぐる巻きになっていた。あっはっは芋虫みたいだ。可愛いね♡死ね♡

「さて、質問を幾つかします。……なぜお嬢様を狙った?」

「へっ‼︎簡単なことだよ!……『女』だからだ‼︎」

「そうだぜ⁉︎あの女はアイリス家じゃ結構な地位に居る…しかもあのデイヴィッドの愛娘と来た!本当ならあの女を誘拐して身代金をふんだくろうと考えてたんだが…。」

「ボールをぶつけて意識を失わせて、そのまま廃墟に連れて行って仲間で輪姦(マワ)してやろうって思ったんだよ!でもあの時邪魔が入って誘拐に失敗しちまったんだ…。」

 拘束されているのによくもそんなに口汚く喋れるな。……というかお前たち成人していたのですか?ずいぶん幼い見た目だな…。

「またやろうかと作戦会議をしていた時にアンタが乱入してきたからまたやれず終いだ!くそ!」

「……また、とは?」

 聞き捨てならない発言があったので詳しく聞いてみる。

「そりゃ勿論輪姦だよ‼︎あの女ツラはキツいけど体つきはいいからな!」

「そうそう!あの大きな胸は俺らのも……ブベッ⁉︎」

 最後まで聞くことが辛くなったので勢いよく顔面を蹴り飛ばしてしまった。あ、私かなり繊細な心を持っているのであんな下品な話はとてもとても聞けたモノでは……うう……。

「すみません私の長い脚が貴方の醜悪な顔面に当たってしまいました……。」

「ちっとも悪いと思っちゃねぇだろ‼︎」

「いえいえ悪いと思っています。申し訳ございません申し訳ございません……お詫びに…。」

 膝をついて謝る姿勢……からの!

 

 ゴチンッ‼︎

 

「……私の渾身の頭突きで許して頂けませんか?」

「おい!しっかりしろ相棒……いやいや許せるわけねぇよ!頭おかしいんじゃ…グベッ⁉︎」

「すみません!すみません!」

 通常、謝罪の際は「頭を下げる」ようにします。私は心が繊細なので「頭を突き上げて相手の顎若しくは顔面にぶつける」という行為に走りました。今回は顔面に行きましたので精一杯の謝罪の気持ちを相手に示せたと思います。

 私の精一杯の謝罪が届いたのか、主犯格二人は意識を失って伸びてしまいました。

 これでミッションコンプリート…でしょうか。

「もしもし、マリス様?…ええ、ええ。主犯格は無事潰しました。後で知ったことなのですがこいつら成人していました。そしてお嬢様の身体目当てです。」

 電話の向こうのマリス様は穏やかな口調……をしているわけもなく、憤怒の念を思いっきり声に乗せていらっしゃいました。そうですよね、マリス様はお嬢様が他の奴らに汚されるのを何より嫌いそういった奴らを捻り潰したいと常に仰っていましたから。それはもう許せないでしょう。

 ……言い忘れていましたが。私もお嬢様に思うところがありますので、この男たちを許せません。

「私の愛するお嬢様の『御神体』を穢すな、害虫。」

 私は……ミゼル・ピスコは……。

 

 お嬢様を「女神」と崇め、愛しております。 

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