【閑話4:邪魔でしかない男】
……最悪。
そうとしか言いようが無い。
朝っぱらから最悪だ。胸のあたりがムカムカする。
原因は絶対アレだ。
ウォッカ。ウォッカ・アイスブレーカーだ。
「(何なんだよあいつ……姉さんに気障ったらしい顔や声で近づいてきて…うざいんだよ!)」
あんなの「先輩」なんて敬称で呼んでやらない。絶対に呼ばない。姉さんを掻っ攫っていく気満々でいる奴なら尚更言ってやらない。
しかもあいつは……
「普通」じゃない。
そう、あいつは「普通じゃない」と断言できる。それぐらい隠す気がないんだ。そんな奴が姉さんに気障ったらしく接近しているなんて。しかも姉さんは鈍感だからそいつの思惑には全然気付いていない。全くもう最悪。
どうしてあいつは彼処まで胸糞悪い行動をしておきながら堂々としていられるんだ?頭がおかしいのか?
「(絶対あいつは僕と『同じ目的』で行動をしている……ミゼルも秘密裏に探りを入れていたがそれ以上の成果は得られなかった……あいつは何をしようとしているんだ?)」
僕はミゼルという「普通じゃない」者が傍に居る。あいつにも「普通じゃない」者がついているに違いない。
早急にあいつの尻尾を掴んで「芽」を刈り取っておかないと……。
「物事が容易く進まないのは当たり前だとは覚悟していたけど、ちょっと難易度が高いんじゃないかな…。」
僕は教室の扉を勢いよく開け、その勢いのまま席に座った。周囲の生徒が驚いていたけど知るものか。