表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神竜帝国のドラゴンテイマー  作者: 八茶橋らっく
1章 竜姫との出会い
8/93

8話 竜の国を統べる者

 ルーナに案内された先は、巨大な洞窟を切り出して作られた神殿のような場所だった。

 閑静だが、特殊な鉱物によるものか、洞窟全体は薄明かりに包まれている。

 どこか幻想的な気持ちで進んでゆくと、最奥に一際大きな影が見えた。


『お父様、ただいま戻りました』


『我が娘よ。無事に戻ったか。そして……ほう、その男がな』


 重々しく、肌が震えるようで心地よさも感じる声音。

 眼前にそびえ立つ、ルーナと同じく白銀の体躯を誇る竜王は、今まで見たどのドラゴンよりも巨大だった。

 ルーナも立派であるが、竜王の体長はその倍はあろうかというもの。

 頭部の角は巨大な王冠のように変化し、重厚な威厳に満ちている。


『ようこそ竜の国へ。歓迎しよう、ドラゴンテイマーの末裔にして我が娘の恩人よ。ワシは竜王アルバーン、お主の名は?』


「レイドと言います。事情は伝わっているようですが、匿っていただき感謝します」


『よい。我が娘の病を治癒し、帝国にて数多くの空竜たちの面倒を見てきたお主のことは、ワシとしても捨て置けぬ。……と、堅苦しい前置きはさておき。お主も疲れていよう、今日はひとまずゆるりと休むがよい。今後のことはまた後日としよう』


 竜王が首を縦に振ると、ルーナは再び俺の手を引いていこうとする。

 しかしその前に、俺は竜王へ声をかけた。


「竜王様。少し鱗に艶がないように見えますが、魔力の巡りが悪いのですか?」


『実はな。……やはり帝国で数多くのドラゴンを育てていた男には見抜かれてしまうか』


 竜王は朗らかに笑っているが、ドラゴンの鱗は生命力である魔力をよく通すものだ。

 つまり鱗の艶がないということは、それだけ生命力が弱っているという証拠。

 たとえ相手が伝説の竜王でも、ドラゴンテイマーとして弱っているドラゴンは見過ごせない。


「失礼、少し触れます」


 竜王の巨躯に近づき、四肢と翼の付け根の関節に俺の魔力を流してみる。

 すると魔力詰まりというドラゴン特有の症状が見られたので、滞っていた魔力を俺の魔力で押し流していく。

 魔力詰まりは放っておけば、ドラゴンの四肢を痺れさせてしまう厄介な症状だ。

 けれどまだ初期症状なら、十分に完治が見込める。

 処置を続けると、みるみるうちに竜王の鱗に生気が戻っていった。


『お父様の鱗の輝きが、戻っていきます……!』


『素晴らしい。ワシも暇ではない故、最近は体を休める機会も少なくてな。これほどまでに体が軽いのはいつぶりか……礼を言うぞ、レイド』


「これからお世話になる身ですから。これくらいは当たり前ですよ」


『古竜の体を治癒する技術が、レイドにとっては当たり前なのですね……』


 ルーナは苦笑気味だが、ドラゴンテイマーたる者これくらいできなくては。

 そういえば、帝国で似たようなことをしていたら「給料泥棒め、その程度の小技はできて当然だろう!」とよく通りかかった貴族やアゾレア宰相に怒鳴られたものだったが。

 

「まあ、こういう技術があっても帝国では給料泥棒扱いだったんだけども」


『いいえ、今確信しました。帝国は間違いなくレイドの力を過小評価しすぎです。レイドを無能として追放したならどんなテイマーが有能なのか、帝国の皇帝に一度尋ねてみたい気分です』


 ルーナのまっすぐなその言葉は、無能と蔑まれて追放処分を下された俺には嬉しいものだった。

《作者からの大切なお願い》


ここまで読んで頂きありがとうございます!


「面白い」「続きが読みたい」

と少しでも思ったら広告下の

「☆☆☆☆☆」を押して応援をお願いします!!


皆さんの応援とポイント評価が面白い作品を作るモチベーションになっていきます!


そしてブックマークも押して今後も物語にお付き合いいただければ何よりです!


どうかよろしくお願いします!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ