47話 猫精族の里へ
猫精族への里へ出発する朝、俺は古竜の姿になったルーナの背に旅の荷物を括り付けながら話しかけた。
「悪いなルーナ。俺たちを連れて行くだけじゃなく、荷物まで運ばせちゃって」
『構いませんよ、この姿のわたしからすればほんの小さな荷物ですから。それにあなたが行くと言うのですから、わたしも同行するのは当然です。レイドがわたしを助けてくれたように、どんな時でも力になります』
頼もしいことを言ってくれたルーナにありがたさを感じつつ、俺はふと横を見た。
「それにしてもルーナはともかく、まさかガラードまで一緒に来てくれるなんてな」
『へへっ、姫様が行くなら護衛くらい必要だろ? 何より久々の旅は面白そうだしよ。安心しな、ヘマはしねーさ……ってロアナ、ちょっと縄がキツイぜ』
「だって、ガラードは飛び方が荒いし。これくらい強く括り付けないと荷物が落ちちゃうもん」
ガラードはロアナによって、体に荷物をぐいぐいと括り付けられていた。
こんな調子ではあるが、ガラードは竜の国にいる古竜の中でも腕利きだ。
話を持ちかけた時は面倒臭がられて終わりかと思っていたが、必要とあらばしっかりと力を貸してくれる好漢でもある。
「メラリア、そっちも準備はいいか?」
「メラリアは大丈夫です。しかし……」
「えぇい、どうして妾も一緒に行かねばならんのだ!?」
「……当然。竜の国に置いて行ったら何をしでかすか分からないから」
騒ぎ立てるアイルとそれを諌めるミルフィを見て、メラリアはどこか不安げにしていた。
「アイル、メラリアが心配そうにしているからしばらく黙ってくれ」
「……!?」
命令すると、テイムの紋章が効果を発揮して輝き、アイルを強引に黙らせた。
ちなみにこの旅のメンバーは俺、ルーナ、ガラード、メラリア、ロアナ、ミルフィ、アイルの七名で、少数精鋭で素早く目的地へ向かうプランである。
魔物のいる地へ行く以上、精霊のミルフィは当然戦力になるし、アイルも魔族としての力を(必要があれば)振るってもらうつもりだ。
ロアナはメラリアと同じく道案内役で、古竜二体に乗って行く都合上、道案内役も二体の上に一人ずつ乗るべきと判断した次第だ。
その後、準備を整えた俺たちはルーナとガラードの背に乗った。
俺とメラリアがルーナの上へ、ミルフィとロアナとアイルがガラードの上へ。
ガラードの方がルーナより体格がいいので、少女三人を無理なく背に乗せられたのだ。
「レイド殿、出発前に改めて感謝を。メラリアたちだけで行けば、全滅の可能性すらあった。しかしレイド殿が力を貸してくれたおかげで、こんなにも素晴らしい面々が集まった」
「お礼なら、全員無事に戻った後でな。さあ、それじゃあ行こうか。ルーナ!」
『掴まっていてくださいね!』
『おう、俺の上に乗ってるお嬢様がた三人も落っこちねーようにな!』
ルーナとガラードは翼を広げ、一気に上昇していく。
そうしてそのまま、メラリアの案内通りに猫精族の里へと向かっていった。
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