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神竜帝国のドラゴンテイマー  作者: 八茶橋らっく
2章 精霊姫と魔王軍
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40話 アイルのテイム

 アイルを封印術の鎖で厳重に縛り付け、少し休んで明け方になった頃。

 魔力が回復した俺は、目を覚ましたアイルと向かい合っていた。


「まさか人間に二度も敗れるとは、このアイルが何たる無様か。そう思っていたが……」


 アイルは自嘲気味に笑みを浮かべ、封印術の鎖を眺めて言葉を続けた。


「……妾の炎を抑え込むほどの封印術。貴様、魔王様を封印した皇竜騎士インペリアルドラグーンの末裔だな?」


皇竜騎士インペリアルドラグーン?」


 聞きなれない言葉だと思い聞き返すと、ルーナが答えてくれた。


『遠い昔、わたしの祖先にあたる神竜に騎乗し魔王を封じた存在です。我が一族の間で脈々と語り継がれて来た存在ですが……』


「いや、俺はそんな話は父さんたちから聞いたことがない。だから多分、俺はその皇竜騎士インペリアルドラグーンの末裔じゃないはずだ」


「ははっ、抜かせ。大方、水精霊の姫君と同じく貴様自身が知らぬだけではないのか? もしくは人間族の長い世代交代の中、伝承が途切れたとか」


 アイルの言うように、その可能性もなくはない。

 と言うのも帝国の実家にあった家系図は一部、不自然に途切れているというか、消えている部分があったのだ。

 そこに何か隠された歴史でもあるのかもしれないが……まあいい。


「今は俺の出自は関係ない。肝心なのは、これからのアイルの処遇だ」


「処遇とは、妾をまた封印する気か? 水精霊の姫君がいなくとも、貴様が本気を出せば今の妾程度どうにも封じられようが」


 もうどうにでもなれと言わんばかりに、アイルはぶっきらぼうに言い放った。

 実際問題、アイルの完全封印も大いに考えた。

 今回のような事件を起こした以上、アイルは亡き者にするか完全に封印するべきなのかもしれない。


「でも、アイルから聞かなきゃいけない話もある。他の魔王軍の話に、最近活性化しつつある魔物の話。それにアイルの言う魔王のことも」


 何より活発化しつつある魔物を落ち着かせる方法をアイルが知っていれば、この辺りも相当平穏になるだろう。


「だが、妾がそう簡単に話すとでも?」


「確かに簡単には話さないだろう、このままだったら。だから悪いけどアイルをテイムさせてもらう。それもとびっきり強い魔力を込めてな」


「なっ……!?」


 アイルも驚いたのか、目を見開いて固まっていた。

 俺は基本的に、相手が望まない限りは一時的に、必要最低限の間しかテイムをしない。

 なぜならテイムされた側は隷属の首輪を嵌められた奴隷のように、俺の強い命令には逆らえなくなるからだ。


 だからこそテイムは、俺自身の良心が咎める部分も多少はあった。

 しかし竜の国を荒らしてルーナに怪我まで負わせたアイルへの罰と考えれば、テイムしても良心が痛むこともない。

 それに少し前、俺がアイルをテイムすると言い出さなければ、古竜たちが気絶したアイルをブレスで消し炭にする寸前だったのだ。

 命は助かるのだし、アイルにもテイムを受け入れてほしい次第だった。


「ま、待て!? それはつまり、妾を貴様の奴隷にすると言うことか!? 命令に従わざるを得ない妾に、貴様は男として一体どんなことをする気で……はうぅっ!?」


 アイルは最初こそ慌てていたが、途中で何を妄想したのか艶っぽい声を上げていた。

 ……流石はサキュバスと言ってもいいのだろうか。


「まあいい、封印術で縛っている間に手短に済ませるぞ。──我、汝との縁を欲する者なり。汝の血を我が血とし、汝の権能を我が権能とする者なり。消えぬ契約を今ここに!」


 魔力を大量消費したアイルにテイムの魔術を跳ね返せるわけもなく、アイルのテイムはあっさりと成功した。

 アイルの首にテイム成功の紋様が現れているのを確認してから、俺はアイルに命令した。


「アイルはこれから竜の国から一歩も出ないこと。それに暴れたり誰かを傷つけることも許さないし、俺の質問には正直に答えるんだ。特に魔力の行使も厳禁だ」


 するとテイムの紋様が光を放って効力を発揮し、アイルに効果を及ぼしているのが分かった。


「あ、ああっ……! 見えない鎖に縛られている感覚……何かに目覚めてしまうぅ……っ!」


『……』


 アイルは身をくねらせていたが、これもある意味逞しさと言うのだろうか。

 ルーナは冷めた視線をアイルに送っていたが、それに気づいたアイルがまた体をびくりと震わせていた。

 ……やはりアイルの趣味は高度かつ変態的で、俺に理解できない領域にあるのは間違いなかった。


《作者からの大切なお願い》


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