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神竜帝国のドラゴンテイマー  作者: 八茶橋らっく
2章 精霊姫と魔王軍
38/93

38話 ドラゴンテイマーの奥義

「小癪な! 火球が効かぬなら全身を炎で巻いてくれるわ!」


 周囲の炎を操るアイルは、俺を捉えるように炎を差し向けてきた。

 寄せ来る炎は、まるで大波のようだった。


『レイド! 今加勢を……くっ!?』


「ダメだルーナ、じっとしているんだ!」


 炎の檻を破ろうと暴れるルーナは、所々に火傷を負っていた。

 体の強い古竜ではあるが、ルーナが傷つく様をこのまま見ていられない。


「アイル、ルーナを解放するんだ! そうすればまた鎖で縛る程度で許してやる!」


「はっ、妾に向かって許してやるだと? 不意打ちで妾を捕らえた人間風情が言いおるわ!」


 アイルの爆炎が俺を包囲するが、こっちにも魔術と技術がある。

 昔から伊達に樹海で魔物をテイムする修行を積んでいた訳ではないし、その時に魔物と戦闘になったことさえザラなのだから。


「こんな炎程度で怯むか! 封印術・竜縛鎖・乱!」


 虚空に展開した魔法陣から封印術の鎖を二本出現させ、モーニングスターのように縦横無尽にぐるんと振るう。

 すると鎖に当たった魔力炎は消滅し、俺の周りは徐々に鎮火していく。


 このままルーナの炎の檻も壊してやりたいが、そんな隙をアイルは見せない。

 今は一刻も早くアイルを倒し、あの檻を無効化するしかない。

 それに爆炎も周囲に広がりつつあり、アイルを倒さなければ竜の国全体が燃えてしまうだろう。


「人間の男、どうして中々やる奴よ! ならば妾もそれ相応の力で応じるまでのこと! 魔王様復活の日まで、妾の足は止まらぬよ!」


 アイルは炎で作った剣を振りかぶり、こちらに迫る。

 小細工なしの真っ向勝負だが、魔力量は明らかに魔族であるアイルが上。

 下手をすれば押し負けるが、こちらの封印術も竜縛鎖リュウバクサ蛇縛鎖ジャバクサだけではない。

 魔力を大幅に消費して、俺は切り札を出すべく魔法陣を二重展開した。


「ほう、避けずに立ち向かうか! 人間の男!」


「封印術・奥義──蒼天軻遇突智ソウテンカグツチ!」


 二重に展開した魔法陣から蒼炎を帯びた鎖を呼び出し、それをアイルに鞭のように叩き込む。

 アイルは爆炎の剣で受けたが、彼女の炎がみるみるうちに、俺の放った蒼炎の鎖に吸い込まれて封じられていく。


「妾の炎を食らう蒼炎の鎖!? 面妖な……!」


「対火竜用の封印奥義だ! 魔族にも効果覿面らしいな!」


 この奥義は、ドラゴンテイマーの一族に伝わる秘伝の一つ。

 ドラゴンも個体によっては炎や水、風などのブレスを放つが、要は各属性のドラゴンに対応した封印術が奥義として存在しているのだ。

 その中でも蒼天軻遇突智ソウテンカグツチは炎の封印に特化し、爆炎のブレスすら正面から受けきるほどの力を持つ。


「このまま縛って力を抑えてやる! 終わりだアイル!」


「このような小細工を弄するとは……!」


 蒼天軻遇突智ソウテンカグツチの蒼炎を纏った鎖が、苦々しい表情を浮かべるアイルをガッチリと縛り付けた。


《作者からの大切なお願い》


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