36話 四天王の処遇
「それでお兄ちゃんや姫様は、あのアイルちゃんをどうするの?」
アイルの話を聞かせると、ロアナは自室で寝そべりながらそう聞いてきた。
今日も修行で疲れている様子だ。
「しばらくあのまま封印術で縛っておくしかないな。自由にさせたら何するか分からないし」
「……でも、わたしがお姫様なんてびっくり。初知り」
ミルフィの方も修行による疲労か、ぐてーっとしながらそう言った。
「俺もびっくりしたけどさ。逆にミルフィはどうして自分の身の上を知らなかったんだ?」
「……故郷を魔物に追われた時、わたしはまだ幼かった。それに昔の記憶も曖昧」
となれば、故郷が魔物に襲われた時にミルフィは相当幼かったのか。
アイルも「ミルフィには王族としての自覚はない」と言っていたが、事情が事情なのでそれも仕方がないだろう。
また、話がひと段落ついたところで、ロアナがこちらを向いて切り出した。
「ねぇ姫様、ちょっと聞きたいんだけど」
『はい。なんでしょうか?』
「どうしてこの部屋に来てからずっと、レイドお兄ちゃんの腕をぎゅっとしているの?」
『正確には部屋に来る前からですね』
なんかルーナが天然っぽい返し方をしているが、ロアナが聞きたいのはそうじゃないだろう。
「なあルーナ。何で今日はこんなに張り付いているんだ?」
『それは勿論、アイルの件で危機感を覚えたからです。わたしも様々な意味でレイドを他の勢力に奪われる訳にはいきませんので。こうしてわたしが密着していれば、もう二度と色仕掛けを仕掛ける不埒者は出ないでしょうから』
ルーナは至極大真面目な表情でそう言った。
……でも若干顔が赤いから、本人も照れている節はあるかもしれない。
「いやいや、今更引き抜かれないから大丈夫だって。それに……」
……大きくて柔らかいもの二つがさっきから腕に当たっていて、正直悶々としている。
ルーナはドラゴンなのであまり気にしないかもしれないが、俺は至って健全な若い男なので色々と気にしてしまう。
「な、なあルーナ。それでももう少し離れてみるとかは……」
「ふーん……姫様が右腕なら、あたしは左腕をぎゅってするね!」
「なっ、ロアナもか」
ロアナは妙に面白くなさげな表情をしてから、がばっと俺の左腕に張り付いてきた。
これも子供特有のやきもちか。
可愛らしいような、少し困ってしまうような。
するとミルフィも起き上がって、こちらにやってきた。
「……わたしだけ仲間外れも、ちょっと寂しい」
ミルフィは俺の膝を枕にして、マイペースにくつろぎだした。
両手に花どころか、膝の上にも可愛いのがいる。
「嬉しいような、困るような感じだな……」
男としては天国であるような、はたまた誰かに見られたら要らぬ勘違いされそうな状態である。
しかし結局、たまにはこんな日もあっていいかと、夕食の時までこんな調子で過ごすことになった。
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