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神竜帝国のドラゴンテイマー  作者: 八茶橋らっく
2章 精霊姫と魔王軍
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35話 ミルフィの身の上

 翌日、再度アイルの事情聴取に向かうと、鎖で縛られたままのアイルは声を大にしてこう言った。


「人間の男、なぜ妾を襲わんのだ!?」


「……」


 アイルがそっちの趣味趣向を持っているのは察しているので、もう何を言われても驚くまい。

 また、アイルの態度から、彼女の種族がなんとなく思い浮かんだ。


「君、もしかしてサキュバスかい? 炎を操っていたからイフリートだと思ってたけど」


 魔族にも色んな種類がいて、色欲を司るサキュバスやら炎を司るイフリートなどなどが古くから語り継がれているのだ。

 アイルはそっぽを向いて言った。


「……サキュバスが魔術で炎を操ったらいけないと?」


「やっぱサキュバスだったのか……」


 そりゃあんな下品な言動も連発する訳だとため息をつきたくなった。


『ほう、サキュバスですか。男性の精を吸い取るというあの。ここはひとつ、レイドの精が吸われる前に滅してしまうのも……』


「待ってくれルーナ。ここは抑えてくれ」


 臨戦態勢寸前だったルーナを止めると、不満げに唇を尖らせた。


『むぅ……。しかしこの者は竜の国に侵攻した上、魔王軍四天王を名乗る不埒者。早急に倒してしまった方が危険も少ないかと思いますが』


「それも一理あるけど、聞かなきゃいけないことだってある。まずはミルフィのことだ。……アイル、どうしてミルフィを手下に襲わせて奴隷にしていたんだ?」


 問いかけると、アイルはなぜかニヤリと笑みを浮かべた。


「ほう。聞かせて欲しいか。であれば取引といこうではないか」


「取引?」


「妾は昨日の戦闘で魔力不足だ。よってレイドとやら、貴様の精を妾に搾らせるがいい。恐れることはない、妾のこの極上の肢体でじっくりと……ひぃっ!?」


『……』


 無言のルーナがとんでもない圧力を発していた。

 いや、正確にはルーナは笑顔なのだが、黙ったまま魔力を臨戦態勢にまで高めているのが恐ろしすぎる!

 アイルは涙目で縮こまっている始末である。

 ルーナは笑顔のまま、声音を低くして凄んだ。


『アイル。次にわたしの相棒に色仕掛けを使おうとすれば、その身がどうなろうとわたしは知りませんよ?』


「う、うむ。心得た。妾も一晩経って落ち着いたところだ、決してやましい妄想や期待を抱いた訳ではないぞ、うむ」


『では取引うんぬんを抜かすよりも先に、疾くミルフィについて話しなさい』


 アイルの態度があまりにも気に食わなかったようで、いつになくルーナは怒りっぽかった。

 ルーナの様子に恐々としながら、アイルはミルフィについて語り始めた。


 アイル曰く、ミルフィ本人には自覚はないらしいが、ミルフィは水精霊の王族の血を引く稀有な存在なのだとか。

 加えてアイルは昔、魔王軍四天王の一角だったが隙を突かれて水精霊の王に敗れ、以降は水精霊の里があった場所に長らく封印されていたらしい。


 しかし魔物の襲来で水精霊の里が崩壊して封印を解かれたアイルは、自身と相性の悪い水精霊の生き残りがいないか入念に調べた。

 すると最後の生き残り兼姫君であるミルフィの存在を知り、配下に捕らえさせて反逆できないよう隷属の首輪を嵌めさせた。


 そして精霊は利用価値が高いので殺さなかったが、今のところ使い道もなかったのでしばらく奴隷として人間社会に隠しておくつもりだったらしい。

 ついでにミルフィを竜の国まで奪い返しに来たのも、水精霊の王族の力でアイル自身を再封印されないようにするためだったとか。


 ……アイルの話を総合すれば、要はこんなところだった。


「どうだ、これで満足か?」


「ああ、満足だけどな……」


 水精霊の里に封印されていた魔王軍四天王という話が真実なら、どうやらアイルは本物の魔王軍幹部らしいと考える他なかった。

 ……とは言えこうして封印術で捕縛できているので、今のところはあまり悩みすぎることもないかと考える次第だった。

《作者からの大切なお願い》


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