31話 竜の国への帰還
「……古竜を従えるドラゴンテイマー、想像以上」
ミルフィは安堵した様子だったが、次の瞬間に聞こえて来た怒声に身を震わせた。
「探せ! あの精霊のガキはまだ遠くへ行ってないはずだ!」
「まずいな、このままだと見つかる」
俺だけならまだしも、この子を連れて男たちの包囲網を抜けられるか。
多分闇ギルドか何かの手先だと思うが、奴らは明らかに荒事慣れしている様子だ。
「仕方ない。こうなったら俺があいつらの足を止めるからルーナはミルフィを連れて先へ……!」
『いいえ、この際だからここから飛んでしまいましょう』
「……へっ?」
ロアナが間の抜けた返事をした瞬間、ルーナは閃光を放って古竜の姿に戻っていた。
『少々目立ってしまいますが、このような事態ですから致し方ないかと思いませんか?』
「全くもってその通りだな」
ついでにしばらくイグル王国に近づかなければ、別段問題もないだろうと思い直した。
「何だ、街中にドラゴンだと!?」
「しかも四足歩行って……まさか古竜種か!?」
路地裏とは言え、街中でルーナが変身したことで騒ぎが一気に広まっている。
そしてさっきミルフィを追いかけていた男たちを見れば、男たちは唖然とした様子で俺たちを見つめていた。
「あのガキ、竜騎士のところに駆け込みやがったのか!?」
「くそっ、飛ばれちゃ追えねーぞ……があぁ!?」
ルーナの羽ばたきによる風圧で、ミルフィを追っていた男たちは吹っ飛ばされてゆく。
さらにロアナが「えーいっ!」とその辺に積んであった丸太を掴み、軽々と男たちへ放り投げていく。
……明らかにロアナの背丈を越える長さの丸太だが、流石は猫精族、幼くてもとんでもない怪力だった。
俺たちはそのままルーナの背に飛び乗り、一気に上空へと舞い上がった。
「目的の買い出しも終わったし、一応は満足だな」
『ミルフィも救えましたしね。こうして正体を晒すなら、わたしとしても悪くない気分です』
高速で竜の国へ帰還するルーナの背の上で、俺は抱えているミルフィをちらりと見つめた。
ミルフィは空の旅は初めてなのか「……高い……!」と感激したように小さく微笑んでいた。
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