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神竜帝国のドラゴンテイマー  作者: 八茶橋らっく
2章 精霊姫と魔王軍
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29話 少女の正体

「それで、どうして俺に匿ってくれなんて頼んできたんだ?」


 男たちを撒いて手近な路地裏に入り、少女に事情を聞いてみる。

 すると少女は俯きがちに言った。


「……竜騎士だと思ったから。竜騎士は治安を守るものって聞いたの」


「それは神竜帝国での話だな。イグル王国には基本的に竜騎士はいないから。君、元々帝国で暮らしていたのかい?」


「……わたしと暮らしていたお爺さんは、帝国の竜騎士と知り合いだった。だから色んな話を聞けたし、困ったら竜騎士を頼れと言われたの。それと……」


 少女はずいっと寄って来て、頬を膨らませた。


「……わたしの名前、ミルフィ。君じゃない」


「分かった、俺の方はレイドだ。それでルーナにロアナだ」


 軽く自己紹介を済ませてから、本題を切り出す。


「それで肝心な話なんだけど、どうしてエルフの血を引く君がイグル王国に? エルフって基本、森の奥に住んでいて他種族と交流は絶っていると聞いたけど」


「……攫われてきた、さっきの男たちの手で。わたしと一緒に暮らしていたお爺さんが亡くなってからすぐに。もう一年くらい前」


「そっか、それで隷属の首輪なんてものが嵌められているのか……」


 要するに奴隷として捕まり、必死に逃げた先で俺たちを見つけたという顛末なのだろう。


「そしてもうひとつ、わたしはエルフじゃない」


『あらっ? しかしその耳は』


 ルーナが問いかけると、ミルフィは首を横に振った。


「……たまに間違えられるけど、わたしは精霊の血筋。この青髪が示すように、水精霊」


「精霊だって?」


 思わず聞き返してしまったが、純粋な精霊と言えば、世間では古竜並みに珍しい幻の存在だ。

 人によっては実在を疑うほどの存在だし、俺もこうしてお目にかかるのは初めてだ。

 何せ純粋な精霊もまた、猫精族同様に絶滅したとさえ言われていたのだから。

 しかしミルフィは疑われていると感じたのか、頬を膨らませた。


「……そう言うなら、証拠を見せる」


 ミルフィ合わせた両手の中に魔力を集中させ、水を生成した。

 ……ここで驚くべきなのは、その一連の流れの中、魔法陣が生じなかった点にある。

 それはつまり、ミルフィが魔術を行使していなかったことを示す。


「魔法陣のない魔力の行使。魔術以外の力……魔法か」


 俺の扱うテイムに封印術、さらには竜騎士の操竜術などは全て、魔術の設計図である魔法陣を展開してその通りに魔力を操るものだ。

 けれど世の中には今のミルフィのように、魔法陣なしで魔力をそのまま自分のイメージ通りに扱える力がある。

 それは魔術ではなく魔法と呼ばれるもので、基本的には精霊のような古い種族にしか扱えないと、帝国図書館の文献で読んだことがある。


「確かにミルフィは精霊で間違いないらしい。それに攫われた訳もよく分かった」


 魔法が使える希少種族の精霊、オークションや奴隷の密売に出せば高値で売れることだろう。

 ミルフィの方も俺が納得したからか、機嫌を直してこくりと頷いていた。

《作者からの大切なお願い》


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