25話 追放事件が片付いた後で
今回で1章目は完結になります!
次回から2章目に突入です!
壊れた馬車に変わり、フェイたちが皇帝を咥えて帝国へと戻った後。
ルーナはどこか不満げな面持ちでいた。
『むぅ……。レイド、あの程度で済ませてよかったのですか? レイドが皇帝から受けた仕打ちを考えれば、あまりにも軽い気がします』
「いいんだ、フェイたちの待遇改善は聞き入れてくれたから。ドラゴンにも感情や考えがあるってあの皇帝もこれで分かっただろうし。それに俺の件はもう終わった話だからさ」
今更皇帝に俺を追放した件について補償しろと言ったところで、出て来るのは金銭に、帝国の領地やら爵位やらがいいところだろう。
しかし帝国に比べれば竜の国の方がよっぽど住み心地もいいし、領地も爵位も要らないのだ。
『そこまでレイドがきっぱり言うなら、これ以上わたしは何も言いませんが……。レイドは少々人がよすぎる気がしますね』
「うんうん。あたしも草木の影から見ていたけど、あれだけで許しちゃうなんてお兄ちゃんは優しいと思うよー? あんなふうに言われたら、あたしなら一発殴ってたかもだし」
「そんなに言うほど、俺もお人好しじゃないけどな」
ルーナとロアナはああ言っているが、しかし強いて言うなら、あの高慢ちきな皇帝が首を垂れて話を聞いてくれただけでも俺は満足だった。
今までそんなことは一度もなかったから、新鮮と言えば新鮮だったのだ。
「何より皇帝にきっぱりと今更遅い! って言えて俺もすっきりしたよ。ルーナや竜の国の皆も、力を貸してくれてありがとうな」
『水臭いですよ。レイドはわたしたちのために力を貸してくれたのに、逆にわたしたちがレイドの力になれなくてどうするのです』
「そうだよ! あたしたち猫精族だってお兄ちゃんの力になるために、実は武器を構えて飛び出す機会を窺ってたもん」
ロアナは穏便じゃないことを言いつつ、手にしていた金属製の棍棒を掲げていた。
……流石は幼くても力自慢の猫精族、その棍棒の長さはロアナの身長と同程度であった。
俺を庇ってくれる思いは心強くはあったけれど、希少な猫精族が竜の国で生きているとあの皇帝に知れれば面倒だったのは間違いないので、ロアナたちがあの場に出て行かなくて何よりだった。
「……さて。何にせよこれで皇帝とのいざこざも一区切りついたし、いよいよこれからだな」
帝国であった追放事件も、もう気にする必要はない。
頼れるルーナたち古竜やロアナたち猫精族と一緒に、この竜の国で本格的に新たな生活を始めるのだ。
「お兄ちゃん、そろそろ夕食作らない? あたし、お腹減っちゃった」
『わたしもお手伝いしますよ、レイド』
「そうだな。じきに夕暮れだし、猫精族の集落に戻ろうか」
そしてこの日、俺たちは皆で夕食を食べてからぐっすりと眠った。
これから竜の国で何をしようか、そんなことを思い描きながら。
《作者からの大切なお願い》
ここまで読んで頂きありがとうございます!
「面白い」「続きが読みたい」
と少しでも思ったら広告下の
「☆☆☆☆☆」を押して応援をお願いします!!
皆さんの応援とポイント評価が面白い作品を作るモチベーションになっていきます!
そしてブックマークも押して今後も物語にお付き合いいただければ何よりです!
どうかよろしくお願いします!!!




