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神竜帝国のドラゴンテイマー  作者: 八茶橋らっく
1章 竜姫との出会い
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10話 竜姫の相棒

『そう言えばレイド、昨晩はバタバタしていてお聞きできなかったのですが。竜の国までついて来てくれたということは、わたしを相棒に選んでくれたという解釈でよいのですよね?』


「んっ?」


 朝食代わりに出された果物を食べていたら、上目遣いで人間の姿のルーナがそう言いだした。

 俺は瑞々しい果物を飲み込み、ルーナに言う。


「相棒って、いやいや。俺は竜騎士じゃなく、しがない竜の世話係。古竜を相棒に空を駆けるなんてあまり想像できない」


 思った通りにそう言うと、ルーナは見るからにショックを受けた様子で不満げに呟き、しょげた。


『そ、そんな!? 三年前に助けてくださった時からずっと、わたしのことをテイムしているのに。今更選んでくれないなんて、酷い思わせぶりです……』


「んっ、なんだって?」


 聞き捨てならないことを聞いた気がして、思わず聞き返してしまった。

 テイムとは対象を自分の影響下に置き、自由にできる状態を指す。

 テイマー系スキルの保持者なら、テイムできる対象に差異はあれ、この能力は持ち合わせているものだが……。


「あっ!?」


 記憶を掘り返して、たった今思い出した。

 三年前、出会った時のルーナは体が弱っていたからか、治療してやろうと近寄った俺を激しく威嚇していたのだ。

 流石に古竜に噛み付かれては、体が真っ二つにされてしまう。

 だから危険と判断した俺は、弱っていたルーナを強引にテイムして落ち着かせ、治療ができるようにしていた。

 当時は多忙を極める宮廷ドラゴンテイマーの仕事と並行してルーナの治療も行なっていたので、別れる前のテイム解除がすっかり頭から抜けていたのだ。


『……忘れていたんですか? 治療のためとはいえ嫌がるわたしを強引にテイムして、縛っていたのに。その証拠に、ほら』


 人間の姿のルーナが首元を見せてくると、そこにはテイムの証である竜の鱗を象った紋章が刻まれていた。

 間違いない、俺はルーナをテイムしたままうっかり三年も過ごしていたのだ。


「す、すまないルーナ。忘れていたとはいえ気分は悪かったよな。すぐに解除する」


 テイムとはある意味、隷属の首輪というアイテムを付けられた奴隷と変わらず主人の言うことにもほぼ逆らえない状態だ。

 竜姫に対してとんでもないことをしていたものだが、ルーナは柔らかな表情を浮かべていた。


『いいえ、解除は結構です。このテイムはわたしの命を助けるためだったと理解していますから。何より古竜のテイムなんて並大抵の人間には不可能ですし、レイドほどの実力を持つテイマーにテイムされたなら不満もありません』


「そういうものか……?」


 普通もっと嫌がるものだと思っていたが、そうでもないのか。


『何よりテイム状態にある現在、主人のレイドが近くにいるとわたしの力が増すのも感じます。現に樹海でレイドを背に乗せた時、飛翔速度が数段増したのを感じました。古竜は力を尊ぶ種族、今更テイムを解除されて弱体化するのも困ってしまいます。ですから……』


 ルーナはずいっと寄って来て、笑顔で小首をかしげた。


『三年間もわたしを縛っていた責任、とってくれますよね?』


 勝手にテイムしていた上に解除せず放置していたとなれば、首を横には振れない。

 それにテイマー系スキルには確かに、テイムした対象の力を高める能力も持っている。

 何故ならテイマーとは普通、テイム対象を操って戦うものだからだ。

 テイム対象の負けはテイマーの負けの直結するのだから、対象を強化できて当然と言えば当然ではある。

 何より、ルーナの可愛らしさの裏にあった妙な圧力を感じて、俺は即座に頷いてしまった。


 ──さっきのショックを受けた表情を見る限り、下手に断ったらまた悲しそうな顔されそうだしな……。


 古竜は力を尊ぶ種族、テイムされても許せる理由は、きっとここに全て詰まっているのだろう。

 そう考えてその場は納得した俺は、ここに竜姫のルーナを従えるドラゴンテイマーとなったのだった。

《作者からの大切なお願い》


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