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僕らは異世界で尸(しかばね)を越える  作者: 不二 充
第1部 少年期編
8/17

スパルタクラス

 今日から本格的に授業が始まる。イーストさんの授業は確か魔力魔法を理解する為の座学だったかな?すべてが未知の知識だから前世の勉強以上に頑張らないと。


「やぁフィア、おはようございます!実質今日から授業が始まりますがどうですか?」


「ん?まぁ緊張はしてますよ。何せ全部が初めてなので」


「それはそうですね。では早速始めましょうか、そこの椅子に掛けてください」


 僕は手で指し示された椅子に腰掛け、授業をうけーー


「挨拶を」


「え?!あ、あぁ。お願いします!」


「宜しい。これからは座る前に挨拶する事を心がけましょう」


 これ確か前世でも面接練習の時言われた気がするな・・・背中が曲がってるって何度も注意されたっけ。


「では始めます。しっかり聞いていて下さいね」

 --------------------

 そこからの内容は最初に抱いていた程は小難しいものではなく、寧ろなんだかワクワクする内容だった。


 まず、魔法は[火][水][土][風][雷][光][闇]この7属性があるらしい。そしてこの属性は1人1属性であり、同じ属性でもそこから更に系統が枝分かれしているとの事だ。


 そして体内の丁度心臓付近に滞留している見えない気のようなもの、"魔力"を自在に動かしその場で安定させたり、放出することを"魔力操作"と言い、これが初心者には1番難しいそうだ。


「あの、兄・・・じゃなかった、そういえばなんて呼べば?」


「イーストさんとかでいいですよ。で、どうかしましたか?」


 僕はふと湧いた疑問をぶつけることにした。


「先程属性と言ってましたけど、それはどうやって調べるんですか?」


 それを聞いたイーストさんは少し思案した様子を見せたあと席を外し、何やら石を持って戻ってきた。


「これは"魔障石"と言いまして、この石に魔力を流すと、属性に応じた色に変化するという不思議な石です。なので属性を確認する時はこの石を用いるのですが、魔力操作が出来ない貴方にはまだ早いですね」


 なる程、さっきはそういう理由で見せるべきか考えていたのか。確か魔力操作も半年のうちに入っていたけど、属性が分かるのはもう少し先か・・・ちょっと残念だな。 


「これを半年後使えるように頑張りましょう!では授業に戻りますよ。次はですねーーー」


 ーーまずい。急に学術的になってきた。なんか、〜の法則とか〜の定理とか言っているけど、全くと言っていいほど理解出来なかった。なんですか"ランベルト・ボールの法則"って?近いのなら聞いたことある気がするけども。


 ただでさえ難しい内容にも関わらずイーストさん。それに付随してこの法則が生まれた経緯とか余計なことまで話してるから余計に訳が分からなくなってきた。しかもなんかテンションが上がってるから止めることもできない。そういうのは頼むから専門学生とかに言ってくれ!


 難しい授業内容に脳が混乱していると、午前が終わった。ようやくこれで終わりだ!・・・ってこれがあと半年続くんだよな。


「お疲れ様でした!有意義な時間でした!午後も頑張ってくださいね、では!」


 ・・・・・・あんな先生いたなぁ。

 --------------------

 休憩をはさみいよいよ午後。ディアさんの授業だ。正直こっちの方が憂鬱である。なぜなら僕は運動が出来ないからである。・・・しかし今はフィアだ。番長みたいな奴だ。なんだかいける気がする!


 ・・・はい。そう思っていたのが1時間前のこと。


 ディアさんから与えられたメニューは僕の想像を超えていた。正直腕立て腹筋スクワットを100回とかそれぐらいだと思っていた。まぁこれでも僕的には凄いのだが・・・


「よし!んじゃあこれから1年間実質してもらうメニューを発表する。腕立て腹筋、スクワット、後木刀の素振りを20回×20回。そして家の離れにある湖で10キロの遠泳を行う。こんだけやりゃ嫌でも体は出来る。俺は出来た!」


 ちょっと待って!そのメニューって時間内に終わるようなもんなのか?いや終わんない!絶対終わんない!てかこの人このメニューこなしてんの?なにもんですか?


「あ、あのー、いいですか?」


「ん?どうした?」


「流石に時間内に終わんないと思うんですが・・・どうですか?」


「安心しろ。何も最初から全部やれなんて言わねえよ。最初の3カ月はこれの3分の1、もう3カ月で半分、そして残り半年は全部こなすって予定だ!どうだ?最初にきつすぎる目標を伝えることで後々言ったものは簡単に聞こえるっていう俺の完璧な作戦!」


 いやそれは言っちゃ意味ないやつです!まぁ言われなくても無理なんですけどね。なんで残り2か月で全部になるの?飛んでなぁい?


「・・・あの、それと日曜って何するんですか?いつもより軽くって言ってましたけど?」


「ん?あぁ日曜な。日曜は日頃のメニューの半分だ。3カ月の間は元々半分だから日曜はその半分だな」


 良かったー!つまり筋トレ100回に2キロの泳ぎでいいのか、少なくていいな!


 ・・・・・・あれ?もしかしてさっきディアさんが言った通りになってる?


「よし!んじゃあ始めっか!」


「・・・はい。」


「ーー返事!」


「ーー頑張ります!!」


 こうして1日の授業すべてが終わった。結論を言おう・・・死ぬ!これは死ぬ!しかもこれをほぼ毎日1年間。標的の子だって絶対ここまでやってないと思うんだが!


 息切れしすぎて声も出ないので脳内で文句を垂れていると、イーストさんとディアさんがやってきた。


「お疲れ様です。ディアのメニューを半分とはいえこなすとは、意外とやるじゃないですか!」


「んま、最初はこんなもんだろうな。伊達にずっと暴れてた訳じゃないみたいだ」


 気軽に言ってくれるなこの2人は。フィアじゃなかったら本当に死んでたぞ。


「取り敢えずお疲れ様でした。ゆっくり体を休めてください。では」


「明日も同じくビシバシ行くからな、しっかり休めよ!んじゃあお疲れい!」


「・・・へいへい、お疲れ様でした」


 去っていく2人に小声で精一杯の小言を言ってやった。

 --------------------

 それからも毎日毎日同じメニューを繰り返し、筋トレで死にそうにならなくなった。最初は意味のわからなかった座学も復習し続けようやくなんとなくだが理解できた。


 無我夢中で走り続けた日々、気づけばーー半年が過ぎようとしていた。






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