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僕らは異世界で尸(しかばね)を越える  作者: 不二 充
第1部 少年期編
7/17

初授業

 父親を失脚させる為結託をした僕達は、最初の1歩として僕の能力向上に努めることになった。午前はイーストさんの、そして午後はディアさんとの修行ということになった。


「初めての授業ですからね、取り敢えず今後2年間の大まかなカリキュラムを伝えましょうか。これはまず私とディア、どちらの授業もそうですが月曜から土曜日の6日間。私は8時〜12時、ディアが13時から18時まで。日曜日は休みとします」


「えっ?俺すごいレベルアップしなきゃいけないんだろ?休んでて良いのかよ?」


「過度に詰め込みすぎると逆に効率が悪いんですよ。適度に体を休めてやることも強くなる為の立派な努力です。あっ、ディアにも言われるかも知れませんが日曜でも少しで良いので筋力トレーニングは行ってください。丸1日使わないと意外と落ちるらしいので」

「お、おぉ・・・」


 正直僕は時間の許す限りやらないといけないくらいだと思っていたけど、そういうもんでもないんだな・・・


「では続けますね。私の授業ではまず半年掛けて魔力、魔法というものを理解して頂きます。あと魔力操作などですかね。基本は座学になります。下積みの知識が無いのに実践で使おうとしてもいつか絶対に失敗する、私はそういう人を何人も見てきました」


 うぇ、勉強会か・・・前世ではどれだけ頑張っても頭良くならなかったからな、軽いトラウマものだ。しかも今回はフィアの頭だ。心配だけが募っていく。


「そしてもう半年掛けて魔力量の上昇に努めて頂きます。」


「まだ魔法使わせてくれないのか?」


「そんなものはまだ早いです。本当ならもっと時間を取りたいくらいですよ。それと・・・一応は教わる立場なのでね、敬語を使うようにしましょう。どちらにしろ来年養子に取られた時に叩き込まれるでしょうから今のうちに使えるに越した事はありません。試しに私に授業のお願いをしてみましょうか」


 敬語か・・・社会人経験もあるし僕自身は使えるんだがフィア的にはここでどう答えるべきかーー


「お、おう!任せた!」


 ーーどうだ?!フィアっぽいだろ!


「ーーもしかして巫山戯てます?」


 イーストさんの顔にすこし影が掛かった。やばい、失敗した。よし、ならばいっそーー


「よ、宜しくお願いします」


「なんだ、出来るんじゃないですか!正直さっきのを聞いて1年間敬語の練習に当てるべきかと本気で悩みましたよ。」


 あぶなかったー!そんなことに1年も掛けてたらそれこそいくら時間があっても足りないところだった。本来その悩みは的中してた訳だから今回に関しては中身が僕で良かったかもしれないーー


「そういえば貴方、私が振っておいて何ですが敬語使えたんですね?どこで覚えたんですか?」


「えっ?!あ、あれだよ。本を読んで覚えたんだ!なんなら挨拶だけじゃなく普通に敬語で喋れるぜ」


「・・・貴方が本ですか?そんなものを読むような人物には到底思えないのですが?」


 しまった・・・墓穴を掘らない為の墓穴を掘ってしまった。本末転倒の分かりやすい例だな。


「まぁ使えるならそれに越した事はないです。では出来るだけ授業中は敬語で喋るように心がけてください」


「おお!・・・じゃなかった、はい!」


 まずい、フィア語で喋りすぎて素で間違えた。


「話がだいぶ逸れましたね。では残りの1年についてですが、ここで遂に魔法の発動、その訓練や最適化などを行います。この辺は座学の中でも改めて言いますので質問はその時に」


 取り敢えず今日のイーストさんの授業は大まかな説明で終わった。一旦昼食を挟み1時間後、今度はディアさんの番だ。

 --------------------

「よし!んじゃあ俺もイーストに倣ってまずはスケジュールから伝えよう。あ、それとお前授業中は敬語で話すんだろ?」


「あ、あぁ。じゃなくてはい!」


「もし一週間の内3回以上敬語の使い忘れがあった場合、その日1日は敬語学習に充てることになった、いいな?異論反論抗議は認めん!質問は可だ!」


 質問はいいんだ・・・とにかく貴重な時間をそんなことに費やすわけにはいかない、ちょっと気をつけないと。


「んじゃあ説明始めんぞー!まずは基本の体作りからだ。向こう1年間、お前次第ではもっと掛かるかもしれんがそこに費やす。今のその体じゃ何教えてもついて来れねえからな。そうだ、日曜は休みと聞いてるだろうが筋トレはやってもらう。とはいえ休みだかんな、普段に比べりゃ全然楽なやつだよ」


 体作りか・・・これも僕が全く出来なかったやつだ。腕立ては連続で10回も出来たことないし、シャトルランでは40回でダウンするくらい体力もない。それでよく体育教師に「やる気あんのか!」って怒鳴られたものだ。しかしこれはフィアの体。喧嘩で負け無しだったんなら結構鍛えられてる筈である。


「毎日喧嘩してたからな、腕っ節はこれでも自信ある方だぜ!だから1年も掛かんねえかもーー」


「減点1だ!早えよ?!まだ初日だぞ?!大丈夫か?」


 あー!!まずい!!本格的にまずい!!


 頭では敬語を理解してるのに口がタメを覚えてしまってる。頭では分かっていることが出来ないこの感覚、嫌な懐かしさだな。


 僕はもどかしさから右手で頭を掻いた。


「すいません、気をつけます」


「まぁいいや。取り敢えず1年間は体作り、そして残りの1年は身のこなしや剣の扱い、素手などでの戦闘方法などを教えていく。だがお前次第ではここは削らざるを得ん」


 剣とか使うんだな。正直魔法のある世界って聞いた時からこの世界の主戦闘方法は魔法だと思ってたけど、そうじゃない戦い方も結構主流なのかも知れない。折角だし聞いとこうかな?


「取り敢えずこんなとこか。ここまででなんか質問はあるか?」


 お!ベストタイミングだ。


「じゃ、では戦闘の際の主な攻撃ってなんなんですか?先程までは魔法だと思っていたんですが」


「簡単に言うと人それぞれだ。魔法が得意なやつは魔法をメインに据える奴が多いし、逆に苦手な奴は武器や素手で戦う奴が多い。とはいえ大抵の場合、武器に魔法を乗せて攻撃するやり方が一般的だからな。どっちも出来るようになってそんな事は絶対に無い」


 なる程、付与魔法みたいなものがあるのだろうか?とはいえこの世界に来て魔法らしい魔法はせいぜい呪印くらいしか見てないんだけど・・・


「あと気になっていたんですが、魔法は覚えて何かと戦ったりするんですか?」


「基本は魔物だな。なんの訓練も受けてない一般人だと簡単に死ぬような魔物がウジャウジャいる。ここは貴族街だから見当たんねえけどな」


 魔物・簡単に死ぬーー恐ろしい言葉を聞き、やめときゃ良かったと瞬時後悔した。


「だがたまには対人に対しても使うことがある。例えば隣国なんかとの戦争とかだな。とはいえ、俺が生まれてから20年の間には起きてねえな」


 戦争か・・・どこの世界でも結局あるんだな。でもそうか、恨みとか妬みみたいなマイナスな感情がある限り争い続けるものだし、僕らが最後やろうとしてることだって結局そういうことだもんな。


「んまぁこんなもんか。今日は初日だからな、これで終わりとする。明日からは予定通りビシバシ行くから覚悟しとけよ!んじゃあお疲れさん!」


「お、お疲れ様です!」


 僕はもやもやとした気持ちを引き摺りながら自室へと戻った。部屋に戻った僕は紙に今日の日記をつけ始めた。

--------------------

 これからいろんな知らない事を学んでいなかないといけない上で、メモの意味も込めてその日1日の日記をつけることにした。これで授業の内容も振り返れるし、初志貫徹の気持ちを持つことが出来そうだ!


 僕は今日1日の最後をこう締めくくった。


 ーー異世界知識頑張って学ぶぞー!!ーー


 ・・・・・・あれ?あんまり締めれてない?

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