学園入学
ここからは学園編です。よろしくお願いします!
僕の素性を兄弟2人に告白してから早半年、いよいよ今日から学園に入学することとなる。
「いよいよですね、ナオキ」
「ナオキ、あっちに行ってもトレーニングは欠かすなよ」
「はい、分かってます!」
あの日から僕は素で喋るようになり、2人も僕のことをナオキと呼ぶようになった。
「学園での貴方は"ナオキ・ブラーガン"ですから、くれぐれも忘れないで下さいね。それと、悪目立ちする行動は控えて下さい。何か問題が起こった場合、家に連絡が行くようになっていますから」
「はい。気をつけます。それより・・・やっぱり慣れないですねこの名前。最初の自己紹介でフィアって言いそうです」
「いいかナオキ、期間は1年。この間に仲間を増やして協力してもらわなきゃいけねぇ。こればっかりは俺たちがなんとかできる問題じゃねぇからな」
ーーそこだ。僕が1番危惧しているところ。前世では友達が全くいなかったから友達作りのやり方が正直全然分からない。何を話せばいいんだ?今日の天気とか?
「それと最後にーーもしフィアが出てきた場合、押さえ込もうとは思わないであげて下さい。あれでも私達の弟です。一方的に悪とするのは・・・」
「はい!そもそも抑え込めるのかも分からないですけど、拒絶だけはしないと決めてます。・・・まぁ暴走してしまった時は頑張って抗おうとはしますけど」
正直怖くないと言えば嘘にはなる。半年前のように突然出てきて、しかも人間に攻撃してしまった時に僕は止められるのか?何か対話ができる方法でも有ればいいんだけど。
「よし!それじゃあ行って来い!安心しろ、今のお前は大抵のやつは出し抜ける実力だ。どんと胸張って門をくぐれ!」
「・・・では、頑張って!いってらっしゃい!」
「行ってきます!イースト兄さん!ディア兄さん!」
僕は深呼吸をし、気持ちを落ち着け、用意された馬車へと乗り込んだ。さぁ、ここから始まる・・・期待と不安に満ちた僕の学園生活が!
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「・・・行ってしまいましたね。どうですディア、寂しいですか?」
「は?んな訳ねぇだろ。別に今生の別れじゃねぇんだ。あいつの成長を思うと寂しさどころか期待しかねぇよ」
「ふふっ!そうですね!次会った時どんな成長を遂げているのか楽しみです!ーーさて、それでは私達も始めますか」
「だな!腕がなるぜ!」
ナオキの出発を見送り、2人はそれぞれの準備に取り掛かった。
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馬車に揺られて1時間程経過した頃、遂に学園のある"リフト"という街に到着した。見るからに中世ヨーロッパ的な街並みに僕は結構テンションが上がった。当然海外旅行などしたことがなかったので、余計にかも知れない。
「お客様、もうあと3分程で学園前ですので、下車の準備をお願いします」
御者の人に言われ、荷物を纏める。
学園かぁ。一体どんなとこなんだろう?いじめっこみたいなのが居なければ良いんだけど。居たら多分萎縮しちゃう。パシられないかな?
そうこう考えているうちに、とうとう学園の前に到着した。下車をして改めて見ると・・・でか!外国の有名美術館くらいあるんじゃないか?不良どうこう以前に、この入り口から萎縮してしまう。入る学校間違ってないよね?
「こんにちは!君も新入生?」
あまりの驚きに立ち尽くしていると、後ろから話しかけられた。その声の方向に顔を向けるとーー黒く長い髪の女の子だった。すごい可愛いなこの子。そういえばさっき貴方も新入生って・・・
「えっつ?!こんにつは!」
やばい!女の子と碌に話したことないからめちゃくちゃ噛んだ、しかも声も裏返ったし!・・・絶対気持ち悪がられたな。そう思い恐る恐る目線を上げるとーー
「ふふっ!「こんにつは」って!もしかして緊張してる?まぁ無理もないか、凄いよねこの学校。私も最初来た時びっくりしたよ」
「あ、あぁ、ごめんなさい。そうなんですよ!緊張しちゃって・・・」
不味い、これ以上ここに居たら緊張で吐きそうだ。でもこの子も同級生なら仲良くしないといけないよな・・・
「えっと、自己紹介がまだでしたよね?僕はナオキ・ブラーガンと申します。宜しく、お願いします」
「ナオキ君ね!・・・うん覚えた!宜しくナオキ君!私は"グラス"、"グラス・シルフィ"です。宜しくお願いします!」
いきなり名前呼びって、すごいな。あっちがそう来るなら僕も名前で呼ぶべきなのか?いやでもセクハラに・・・
「えっと・・・シルフィさんですね、宜しくお願いします」
無理です無理でした!女の子名前で呼ぶとか僕には無理です!
「うーん、別にグラスで良いんだけど・・・まぁいいや。距離の詰め方は人それぞれだよね!それじゃあナオキ君、入り口でちゃんと来たかのチェックしてるみたいだから行こう!」
「えっ?ちょま?!」
僕はシルフィさんに引っ張られ、入り口まで向かった。この子距離の詰め方すごいな。仲間を沢山集めるにはこれくらいした方がいいんだろうか?それにしても女の子に引っ張られてる男って客観的に見るとなんだかな・・・
受付を済ませた僕らは、校舎へと足を踏み入れた。因みにこの時に持ってきた剣は預かられてしまった。
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ーーなんっ?!外も凄かったが中は一段と凄かった。天井高!これ本当に学園なの?
「うわー凄いね!外は前に見たことあったんだけど中は初めてだよ。私達今日からここで勉強するんだよね!楽しみだなー!」
本当に楽しそうに笑う子だな・・・性格もすごくいいし、こんな子ばかりなら学園生活そこまで心配は無いんだけど。
「まだ入学式まで時間あるし、どこかでゆっくりお喋りしない?」
「あっ、はい。そうしましょうか?」
しまった疑問に対し疑問で返してしまった。これ女の子相手とか関係なくダメだな。
こうして僕らは近くにあった椅子に腰掛け、歓談をした。とはいえ僕は緊張でほとんど向こうが話してくれてたんだけど・・・なんか僕後輩みたいだな。何か質問くらいはしないと・・・そうだ!
「あの、シルフィさん。シルフィさんは属性はなんなんですか?」
よし!悪くない質問の筈だ!
「ナオキ君の家でもそういうのは事前に勉強したんだね!残念ながら私はまだ属性が何か分からないんだ。うまく魔力操作が出来なくて・・・もしかしてナオキ君は自分の属性知ってるの!!」
シルフィさんが勢いよく顔を近づけてきた。
近い近い!そんなに近づかれたら意識しちゃうんで離れて下さい!
「えっと・・・僕は雷でした。特別な光属性とかだったらもっと盛り上がったかも知れないですけど」
「そんなことないよ!入学前に属性が分かってる人の方が少ないんだから。すごいなー!いいなー!入学時点で既に差があるって・・・私頑張らなきゃ!」
そうか、家族以外と触れる機会が全然なかったから分からなかったけど、入学時点じゃ魔法使えない人の方が多いんだな。これはいいことを聞いた気がする。
そうこう話していると、とうとう入学式の時間になった。
「それじゃあ行こっか!」
入学式が始まり、こっちの世界でも変わらず無駄に長い校長先生の話が終わったところで、遂にこの学園についての説明会が始まった。貫禄のある男性が前に出てきた。
「私は君たちの担任である"ルーガ"だ。どうぞ1年宜しく。では早速この学園でのルールを説明しよう」
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