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僕らは異世界で尸(しかばね)を越える  作者: 不二 充
第1部 少年期編
12/17

能力と特訓

 イースト兄さんの話を聞き、打倒父親を再度決意してから早1年、その間に色々な事があった。


 まずは話の中でも気になっていた闇属性について質問をした時のことーー

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「あの、この間の話で気になってたんですが、闇属性ってなんなんですか?父親(あいつ)の話を聞くとあまり能力っぽくないんですけど」


「確かに、闇属性というのは特殊な属性でしてね、他の属性であればその属性にまつわる能力になります。しかし闇だけは別で、一見しただけでは理解できないような能力がつくんです」


「そんなチート属性、持ってるだけで楽そうですね。大体どれくらいの確率で闇属性の子が生まれてくるんですか?」


「本当かどうかは分かりませんが、闇属性というのは元々別の属性だったのでは、という説があります」


 えっ?それってどういう・・・?


「つまり闇属性というのは後天的になるものなんです。例えば過激な暴力性を持っている者やこの世界に絶望し世界を憎んでいるものなど、悪感情が募る事で次第にに属性が闇に染まっていくそうです。実際魔障石を使用した属性検査で闇属性の者がいた事はないそうです」


 なる程、悪感情が蓄積して属性が闇に変わるのか。という事はあいつも何か悲惨な過去でもあったのか?暴力性がある人物には見えなかったが・・・だからといって同情は出来ないけど。


 暴力性でいうと、中身がフィアのままだったら地味に危なかったんじゃ・・・もしかしたらフィアは闇属性だったかも知れない。

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 気になっていた疑問もなくなり、そこからは魔力量向上に集中できた。最初は放出と循環を同時に行うというのが全く出来なかった。例えるなら楽器のドラムのような感じかな。両手両足を別々に動かしている感覚だった。


 だがそれも1ヶ月もすれば大分コツを掴めるようになってきて、魔力が切れるのも最初は30分程だったが、今では6時間まで行うことが出来る様になっていた。


 そして、魔力量が向上したことにより、ようやく自分の能力を知ることが出来た。

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「フィア、魔力量も相当なものになり、循環も完璧です。今の貴方なら自分の能力を知ることが出来るでしょう。やってみて下さい」


 遂に・・・遂にこの時が来た!自分の能力を知る瞬間!能力を知れれば戦闘方法も考えやすくなる。何より純粋に楽しみだ!


「じゃあ始めます!」


 内にある魔力を最大まで高め、そしてそれを循環させる。1往復、2往復・・・そして往復が10回を超えた辺りで、脳に断片的だが能力の情報が流れ込んで来た。


「そろそろ見え始めた頃でしょう?心臓に近い位地にある魔力を脳に巡らせて能力を知る、このことから1部では魂との対話と言うこともあるそうです」


 魂との対話か・・・言いえて妙かも知れない。確かにそう言われると、何度も会う内に心を開いてくれる子みたいに感じてきた。基本的に能力調査は順調、だが1つ気がかりな事があった。


「あの、所々クソとか何とか聞こえるんですけどこういうもんなんですか?それともほんとに対話出来る感じ?」


 さっきからその声が聞こえてあまり集中出来ない。皆はこの声気にならないのか・・・


「声?そんなもの聞こえるなんて少なくとも私は聞いたことがありませんが」



「えっ?そうなんですか?・・・じゃあなんだこの声?えらく乱暴な声だけど」


 皆には聞こえないのか、じゃあなんで僕だけ。しかもなんでよりにもよってこんなヤンキーみたいな声なんだよ、せめてもっと神秘的な感じが良かった。


 そうこう考えている内に、能力の事が概ね理解する事が出来た。兄さんに聞くと、「分かるのはそこまでです。ここからは解釈によって能力を向上させていくしかありません。」

 とのことだった。


「因みにどんな能力でしたか?」


「はい!雷を好きな形状に変化させたり、放出させれるみたいです。結構強い能力だと思うんですけどどうですか!あっ!そうだ。能力名は雷霆(らいてい)だそうです」


「なる程、良い能力ですね!その能力ならば私の技もいくつか教えられそうです」


 その後いくつか技を教えてもらったものの、能力を発動させられるようになった今もまだ出来ず練習中である。

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 そしてディア兄さんとの特訓。腕立て腹筋、スクワット、後木刀の素振りを20回×20回。そして家の離れにある湖で10キロの遠泳とか言う無茶すぎるメニューに勿論最初はこなせなかった。


 しかし人間大抵のことは慣れてしまうもので、始まって3ヶ月経過した頃、ギリギリとはいえ全てこなすことに成功した。それと、属性を使えるようになり、慣れも兼ねて使用しながら進めるということになり、属性の安定感も増し、メニューをこなす時間も短縮できるようになった。ーーただ雷を纏ったまま水に飛び込んだときは、危うく感電死するところだった。・・・我ながら馬鹿すぎるだろ。

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 ここ半年はこの授業が始まってから1番変化があった時期だ。


 1番大きな変化点として、住む家が変わった。僕はこの日からこの"ブラーガン家"に養子として迎えられた。養子と言っても、あちらからすれば調査期間限定の養子であり、しかも貴族としてドロフォニアの方が位が高い為完全に客のような対応を取られている。


 そしてイースト兄さん、ディア兄さんはこの家に週6で通ってもらっている。ちょっと申し訳ないと思ったが、「お前の方がよっぽど大変なんだからこんくらいやらせろ」だそうだ。ディア兄さんって言動は粗暴だけど兄弟思いだし良い人だよな。


 そしてイースト兄さんからはここで魔法、つまり魔力を属性に変換する術を学び、雷属性の攻撃セオリーや僕自身の能力の特訓、そして他属性からの攻撃の対処法など、魔法を使っての戦闘方法を主に叩き込まれた。


 ディア兄さんには、剣術やいなし方、体術や魔法を使った近接格闘を教えてもらった。前世では格闘技は勿論、喧嘩もした事が無かったこともあり、いまいちどうやって攻撃すれば良いのか分からなかったが、ディア兄さんの動きを観察して反復練習をする事で、そこそこ様になってきたと自分では思っている。


 そこでやはりすごいと思ったのが、兄さんには全く攻撃が当たらない。どれだけ手数を増やしても、頭を回しても、先読みされて止められてしまうのだ。半年経過して未だにまともに当たった事はない。もっと強くならないと・・・

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 時間が空いた時には半年間行っていた筋トレを自主的に行った。おかげで体も大分出来てきて、今ではあのめちゃくちゃに思えたメニューもそれなりに余裕を持ってこなせるようになった程だ。


 魔力量向上の特訓も欠かしていない。今のままではどころか、学園の同級生にまで負けてしまう可能性がある。最終的に味方に付けたいのだから弱くては駄目だ。最低限説得力を持たせる実力は無いと・・・


 そんなことから授業時間外である今も特訓をしているのだが、そこに兄さん達がやって来た。


「フィア、あまり根を詰めてはいけませんよ。体が壊れては元も子もないと前に言ったでしょう」


「あのな、時間掛けりゃ良いってもんじゃねえんだよ。うまく体を休めることも強くなる為の秘訣だ、覚えとけ!」


「・・・すいません。なんか焦っちゃって、このままだと計画が達成出来ないんじゃないかと・・・」


「ーー常に冷静に。昔言いましたよね、覚えていますか?」


 そういえばそんなこと日記に書いてたな。今の今まで忘れてしまってた。・・・そうだな、ちょっと冷静にならないと。


「すいません!休んできます!」


「ええ!ゆっくり休んでください。ーーあぁそうだフィア」


「ーーはい?」


「明日は明日は特訓の成果を自他共に確認する為、森に魔物の討伐に行きます。準備しておいて下さいね」


 ーーこの魔物討伐がトラウマを刺激することになると、この時点で気付くべきだった。






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