思考6 チーム分けするよ
【白の部屋】
白い部屋にドアがひとつある。適度に広い。
カエル一匹と姿なきブレインズがいる。ケロケロ。
「さて、無事に宇宙の設定が出来上がったところでお次は何を設定しましょうか」
「宇宙はこれからどうなるの」
「宇宙は一旦置いておく」
「ぶっちゃけ宇宙の外側の設定決めたところでこれからの話には全く関わってこないよね」
「なんだと……」
「これまでのやり取りは一体……」
遠闇『地球がある世界とは違う“新しい世界を作った”という事実が大事なのさ!』
「おまえさん実はやっぱり細胞の話したかっただけじゃろ」
「そろそろ何か生き物の設定をしたいところだな」
「でもどんな環境に棲むなんの生き物の設定をしようか?」
『迷った時は基本に立ち返ってみよう!』
「基本?」
「つまり……」
『我々の目標は!』
「ドラゴン誕生!!」
『ならば舞台となる環境は!』
「ドラゴンが生まれてきそうな環境!!」
『それじゃあ意見出しよーいはじめ!!』
ピピィーッ
「ハイハイ! 重力が弱ければドラゴンだって簡単に飛べるんじゃないかな?」
「何がなんでも空に逃げざるをえない程地上が危険地帯とかどう? 頑張って飛行能力獲得するよ!」
「水中って大きな生物がたくさんいるでしょ? 水中と似た環境なら大きなドラゴン型の生き物も泳ぐように飛べそう!」
「それなら空気を濃くしてみたらどうだろう? 密度が高ければ水中みたいに空を飛べそうじゃない?」
「やっぱり強い魔力を持ったドラゴンて憧れだよねー。魔法がある世界を作りたいなぁ」
「ドラゴンなら火くらい吹けなきゃダメよ」
「そもそも肉体の概念がなければ物理法則なんて鼻で笑い飛ばせるんじゃないか?」
「精霊みたいな奴」
ピピィーッ
『はいやめーっ!』
「……ざっくり思い思いに意見を出したわけだが」
「大まかに分けて“惑星環境由来”か“超自然由来”かって感じだね」
「超自然ってなんだっけ? オカルトにスピリチュアル?」
「そのカテゴリが正しいのかイマイチ自信はない」
「じゃあファンタジー?」
「それを言うならどっちもファンタジーだよね」
「いや片方はSFでは?」
「サイエンス・フィクション」
「この作品は果たしてSFを名乗っていいのか」
「はっきし言って怒られる自信はある!」
「『作者もっと勉強しろ』とか叱られる自信はある!」
「分岐ルート発生したね」
「さてどっち方向のアプローチをしようか」
「うーんどっちも魅力的」
「じゃあとりあえず二つのルートで設定を考えていってみようよ」
「いくつ新しい世界を作ったっていいわけだしね」
「でも魔法世界の設定はまた骨が折れそうだよ」
「だなー」
『魔法世界の設定が簡単に作れるくらいならファンタジーもの書く時に苦労なんてしないんだよ!!』
「なんだよ急に!」
『言いたそうにしてたから代弁してみた』
「誰が!?」
「よし! それじゃあ早速SFチームとファンタジーチームに別れて設定作りしていこうか!」
「「「「「おーっ!」」」」」
「SFチームの進行役はこれまで通り遠闇!」
『現在進行形で進行役を奪われているというに何がこれまで通りか!』
「順当に平常運転じゃないか」
「すこぶるいつも通りじゃないか」
「ファンタジーチームの進行はー?」
「遠闇分裂させるか?」
「遠闇は一匹いれば充分」
『なにをー! そっちがその気なら増殖してやんぞオ゛ーン!? カエルの大合唱聞かせてやんぞオ゛ォ゛ーン!?』
「じゃあまた宵闇くん呼ぼうか」
宵闇|《来たよ》
「話が早いぜ!」
「そんな訳でファンタジーチームの進行頼んだ!」
『カーエールーノ ウーターガー♪ キーコーエーテ クールーヨー♪』
《遠闇君は一体なにをやっているんだい?》
「深く考えてはいけない」
【SFの部屋】
なにもない空間。
カエル一匹と姿なきブレインズがいる。
『我ら遠闇と……』
「「「「「おちゃめなブレインズAチーム!!」」」」」
ボカーーーンッ
「景気よく背景爆発したね」
「oh……レインボーの煙」
「戦隊ものっぽい」
「いるのはカエル一匹だがな」
「ちなみに部屋の名前は暫定的なものだからこれからどうなるかは判らないよ!」
「あんましSFは期待しないでね!」
「名前を考えるのが面倒だっただけなんだ」
『それじゃあこっちは魔法に頼らない環境を考えていくよ!』
「重力が弱い、水中に近い環境、空気中の気体密度が濃い、辺りが出ていた意見だったか」
「実際のところ重力が弱いと飛びやすくなるもんなの?」
「地球より月の方がジャンプしたらビョーンてなるよね!」
「でも空気がないと羽ばたいても進まないよね」
「なら重力がなくて空気がある所なら?」
「そんな場所ある?」
「宇宙ステーション内部みたいになるんじゃないか」
「あ~なるほどわからん」
「地球でみられる物理的な動きって重力以外にも惑星の大きさやら気圧やら色んな要素によって絶妙なバランスで成り立ってるから、これの設定決めるのは中々難しいんでない?」
「じゃあこれは一旦置いておこう」
「面倒なものは全部置いておきましょうねぇ」
「いつかきっと詳しい人が教えてくれるさ!」
「他力本願極まる」
「頓挫濃厚定期」
「えーとそうすると次の候補は水中……水中で活動するドラゴンてことは……ルギア爆誕するの?」
「そこ、ポケモン禁止!」
『おいどういう事だ、ルギアみずタイプでもドラゴンタイプでもないぞ!』
「バカな!」
「あの見た目で!?」
「ありえない!」
「ポケモン談義禁止ッ!!」
「水の惑星、って考えると地球に近い環境になるよね」
「なんか水中のドラゴンて恐竜のフタバスズキリュウみたいなのが頭に浮かぶけど」
「水中だとどうしても『飛ぶ』じゃなく『泳ぐ』って表現になりそうだな」
「どうせなら地球とは違う方向への進化を考えたいかな」
「じゃあこれも一旦置いておこう!」
「となると三つ目の案が一番面白いかもね」
「密度が濃い気体の中を『泳ぐように飛ぶ』生物が住む星……だな!」
「昔空飛ぶクジラがいる惑星を科学的に想像してみた番組を見たことあるような気がする……たぶん。」
「つまり現世界の物理学的にも存在しうる環境なはず……たぶん。」
『まあ自分たちが考えるのは科学的根拠に基づかないタイプの空想科学だけどね!』
「元気良く宣言したよ」
「怒られそう」
「さてちょっと早いけどそろそろ一区切り入れておこうか」
「遠闇くん相変わらず流れるように仕事取られるな」
「今回は生物の設定までいかなかったしこのまま次回に進んじゃおっか」
「そんなわけで」
「後半へつづく!」
つづく
2020/11/02 追記
「外のブレインズからフタバスズキリュウは水生爬虫類だという情報をもらったぜ!」
「そういえば実は恐竜と首長竜と翼竜って別物なんだったね」
「ついつい『カッコイイ』で一括りにしちゃいがちなブレインズであった」
「情報、ありがとー!」