思考36 ブレインズのあれこれ
【白の部屋】
白い部屋にドアがよっつと温泉とお茶の間セットがある。適度に広い。
お茶の間で団欒するカエル一匹とカピバラ一匹と、お茶請け皿に載ったビッグメロンパンサイズのムチムーとムチムーを積み木にして積み上げるマサカノドラコンがいる。
遠闇『というわけで本日の遠闇の疑問質問コーナーはブレインズ特集だぞ!』
「脈絡なく始まるな」
「いつものこと」
「そろそろ皆慣れてる筈」
「前回元気よく『おーっ!』したのにまだこのパート続くんかい」
『オイラだって前回がああいう流れになるとは思わなかったんだから仕方ないじゃないか』
「不意打ちよ不意打ち」
「しらずちゃんそのまま戻ってきてないしね」
宵闇|《次回白の部屋来るときはしれっと温泉にでも浸かってるだろうね》
『それはそれとして進めるぞい!』
「それではまずはこちらのお便りから~」
「ジャカジャン!」
・遠闇と宵闇の名前がややこしすぎでは?
『むっふっふ……イイでしょー! オイラたちはいつでも二匹で一つのワンセットだぞ!』
「ダメだ全然堪えてないぞこいつ」
「まったくもって一顧だにもしていない」
「むしろ若干嬉しそうまである」
「答えとしては遠闇ちゃんと宵闇ちゃんはマナとカナ的なものだとお考えください」
「ぐりとぐら的なね」
「きのことたけのこ的なね」
「それは違うだろ」
「全然違う」
「やめろ馬鹿戦争起こす気か」
『たけのこ派』
《きのこ派》
「食い違った……ッ!」
「Ready fight!?」
「戦争だー!」
「戦争が起きるぞー!」
《それならお互い違う味だしお裾分けできるね》
『あっ本当だ、お得だね!?』
「か……回避した……だと……」
「流石だ……流石我がブレインズの良心……!」
「というわけで今後はきのこ派の宵闇、たけのこ派の遠闇と覚えましょう」
「余計に分かりにくいわ」
「ハイ続いてのお便りは~こちら!」
「ジャカジャン!」
・他のアバター持ちがこれから増えるのか気になります
「どうだろう? 必要とあらば適宜増やすだろうね」
「今んとこ三人いれば充分なところはある」
「Aチームの進行役に一匹、Bチームの進行役に一匹、両方を把握して考察助言する役に一匹」
「どうせ第二部開始と共にしれっと新キャラ投入してテコ入れしたりするでしょ」
「第二部くる!?」
「そんなものが存在するんです?」
「知らぬ」
《今のところ影も形もないよ》
「第二部こない……」
「そういえば質問箱の方に“ノクターンにこっちには出てこられないブレインズが出現したりしないのか”という質問も来たことがあったな」
「出てこられない、というと……十中八九丸川のことだろうなぁ……」
「“丸川”も我々と同じくブレインズのうちの一人だよ」
「またの機会があれば詳しく紹介することもあるだろう」
「あるかなー……あれを出すのは色々と危険だからな」
「年齢規制掛かるタイプのブレインズだから全年齢向けのここにはちょっと出せないだろ」
しらず〔お前は永遠にツイッターと感想欄にちょっとだけ顔出し続けてろ〕
「ってしらずも言ってたわ」
「辛辣で笑う」
「出禁食らってやがる」
「流石倫理観と道徳心を踏み抜いていくタイプのブレインズ」
『あと今のところノクターン出張は考えていません!』
「ませーん!」
「ほいだらお次のお便り!」
「ジャカジャン!」
・せかるよ1話で自分たちを"ブレインズ"と定義づけたことで存在が固まり地の文が出るようになったし、世界を作ろうという方向性が生まれたんだなと
・聖書の神は7日で人間まで作ったけどブレインズくんちゃんは7日目なのに「わからん私たちは雰囲気で世界を作っている」とか言いそう
「はわぁ、ボクらを考察してくれてる……!」
「わ~い嬉しいぞい」
「うむ。名付けとは大事なものだ。漠然とした形のないものを共通認識として輪郭をくっきりさせる」
「はっきりくっきり」
「名付けってのは“定義すること”ともいえるね」
「不気味な現象に妖怪として名付けたり、身体の不調の病名を知ることで“漠然とした不安”が“認知できるもの”となり、“共有できる事象”となり、“対処できるもの”となる」
「我々の場合はじめにブレインズという名前と目的を設定したことで我々の存在が定義づけられ、ドラゴンという目標を設定したことでどれほど迷走しても最後にはちゃんと同じ方向に向かって歩いていけるんだ」
「つくづくアタシたちの名前が【意識集合体】のままじゃなくて」
「よかったぁ」
「【ブレインズ】の方が!」
「かわいいもんね!」
「つぎつぎ、つぎのお便りは~♪」
「ジャカジャンジャンジャンジャン♪」
・SFの部屋と幻想の部屋を繋げると面白そう
・Aチームの重力問題でBチームと合体して魔法力でも使うのかと思ってたら星が増えて度肝抜かれた
「こんな声がチラホラ」
「ふーむ?」
「ほうほう?」
「そもそもが違うアプローチからドラゴンを飛ばそう、っていって世界を分けたからな」
「幻想の部屋とSFの部屋は世界を動かす法則が違うぞ」
「SFの部屋には魔力がないし、融合しても生き物たち弱体化しちゃうんじゃないかなぁ」
「そんなわけで二つの世界の融合は今は想定していません!」
「ませーん!」
「どうやったら両方の世界観を維持したままくっつけられるのか皆目わからん!」
「ごめんちょ」
《――或いは榎倉君なら二つの世界を繋げる方法を見つけられるかもしれないね》
「“榎倉”も我々と同じくブレインズのうちの一人だよ」
「またの機会があれば詳しく紹介することもあるだろう」
「ああ確かに、榎倉ちゃんはおっぱいと異世界に一家言あるタイプのブレインズだしね」
『なんでその二つが同列に並ぶのさ』
「それは本人に聞いてくれ」
『ヤだよ語り出すと長いから』
《まぁ現時点ではどうしようもないね。答えとしては――……》
“今のところ二つの世界が融合する予定はない。ただし今後世界が交わる可能性はゼロではない”
《こんなところかな》
「どっちつかず」
「曖昧模糊」
「物事がはっきりせず、ぼんやりしているさま。あやふやなさま」
「わからん私たちは雰囲気で世界を作っている」
「さっそく使ったなそのセリフ」
「それでは最後のお便りで~す」
「パパーンッ!」
「ツッコミそびれてたけどもはや疑問でも質問でもないよなこれ」
「じゃー最後はちゃんと疑問を選んだよ」
・ドラゴンが完成してしまったらせかるよの存在意義が大方無くなるではという素朴な疑問
「わからん私たちは雰囲気で世界を作っている」
「実は気に入ってるよねそのセリフ?」
「うん」
「ドラゴンの他に心動く目標が出来れば続くかもしれないが」
「第二部くる!?」
「今のところ次の目標設定も思いつかないしな」
「第二部こない……」
「じゃあさ、もし今の目標達成しちゃったらそれからどうなるの?」
「そらもう【完!!】よ」
「長らくのご愛読ありがとうございました! ブレインズの今後の活躍にご期待ください!」
「ええ~っ!」
「そんな打ち切り漫画みたいな終わり方いやだ~~~っ!」
「オレ達の戦いはこれからだろぉっ!?」
「そのセリフも嫌だ~~~っ!」
つづく




