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思考35 中間報告とドラゴンの象徴と問題提起


「硬梨菜先生の小説『シャングリラ・フロンティア』のアニメ第一話が最高オブ最高だったので喜びの更新です」




【白の部屋】


 白い部屋にドアがよっつと温泉とお茶の間セットがある。適度に広い。

 カエル一匹とカピバラ一匹とクマ一匹と、ビッグメロンパンサイズのムチムーとマサカノドラコンがいる。



遠闇『やあおつかれケロ!』

しらず〔へロークマー〕



宵闇|《おつかれさま。なんだいその語尾は?》

『外のブレインズから名前とアバターが一致しなくて混乱するって言われたから自己主張してるんだケロ。さぁ宵闇君もやるんだケロ』

《カピバラってどう鳴けばいいんだい?》

『適当に“ ~カピ”とか言ってればいいケロ』

《カピバラは“ ~カピ”とは鳴かないよ》

〔クマも“ ~クマ”とは鳴かないクマー〕

『じゃあネズミの仲間の齧歯類だから“ ~チュウ”も付けたらいいケロ』


《カピチュウ》


〔危うい。何がとは言わんがこれは非常に危ういぞ〕

『やめよう! やっぱりこの作戦はやめとこう宵闇君!』


《カッカピチュウ》




「出だしから雑なキャラ作りにいそしむ名前持ちたちを尻目に僕らは異種族交流だ!」

「ていうかBチームのムチムーがなんかおっきくなってる!」

「ビッグムチムーだ!」

「前にムチムーアバター使った時って15センチとかじゃなかったっけ? こんなに成長するんだね」

「ふっふーん、このサイズのムチムーはなんと電撃攻撃が出来るようになるんだぜ!」

「おおー」

「なんかBチームから初めてファンタジーっぽい生き物が出てきた気がする」

「失礼な!」

「ウチで一番スライムっぽい生物、ゾール君がいるじゃろがい!」

「ゾール君魔法どころか一切の攻撃能力無いけどな」



「Aチームのマサカノドラコンはモフモフだ~、触っていい? 触っていい?」

「いいけど電気ビリビリはやめてね?」

「やんないよー」

《白の部屋には雷精霊がいないからどっちにしろ魔法は使えないんだけどね》

「ガーン」

「幻想の部屋の生き物たちってここでは軒並み無力なのか……」

「なんかショック!」

「魔法を過信しすぎてもよくないのかもな……ひとたび使えなくなったら途端に生きていけなくなるのは問題だ」

「幻想の部屋でも今後精霊不足とか起こりうるかもしれないしね……」

「そうなるといよいよ魔力を体内に蓄積するタイプの生き物つくっといて良かったかもしんない……」

「まさかこんなところでファンタジー世界の生物に対する新たな知見を得てしまうとはな……」



「えーいこうなりゃ気分を切り替えるためにも思いっきりモフるぞ! 総員マサカノドラコンに突撃ー!」

「ふぁぁぁぁぁふわふわぁぁぁぁぁぁ!」

「ぬくいよぉぉぉ恒温動物のぬくさだよぉぉぉぉ!」

「あったか毛皮布団だぁぁぁぁぁ!」

「いいなぁぁぁ毛皮いいなぁぁぁぁ!」

「毛皮というかところどころ羽毛っぽいというか羽の付け根の触り心地天国か!?」

『幻想の部屋担当の毛皮フェチたちが荒ぶっている』

〔そういえばBチームにはまだ毛皮を備えた動物は一匹も出てきていなかったな〕

《そういえばそうだったね》




「さて、毛皮に埋もれながら中間報告を開始するぞい!」

『ほいじゃまずはAチーム』

「はいっ!」

「我々Aチームは、しらずちゃんと宵闇ちゃんを招待して【マサカノドラコン】【ヒョウコウソウ】【スリコギ山】なんかを設定したぞ!」

「一瞬うっかりドラゴン誕生しそうになったけどやっぱり気のせいだったぞ!」

「ドラゴンってそんなホイホイ出たり引っ込んだりするもんだったっけ!?」

「今回はしらずがヤツアシテンモクをもぐもぐしたり、宵闇がヒョウコウソウをもぐもぐしたりしていたわね」

「ちょっとしたもぐもぐ回だったね」

『それならオイラもなんかもぐもぐしとけば良かった』

「せんでいいせんでいい」

「もぐもぐノルマ回収とかいらんいらん」

〔遠闇お前はマサカノドラコンにもぐられてただろ〕

『ああーっせっかく忘れてたのに吐き捨てられたガムの気持ち思い出しちゃった!』

「やっぱりノルマ回収してたわ」

「やっぱり遠闇ちゃんは遠闇ちゃんだわね」



「そういや名前持ちたちのアバターって丁度よく肉食、草食、両生類に分かれてるよな。もしかしてああいうもぐもぐ検証を見越してあらかじめ種族をばらけさせていたのか?」

「え、そうなの!?」

「えらーい!」


『いやたまたまケロ』

〔ただの偶然クマー。ノリで決めたらこうだったクマー〕

《カピチュウ》


「褒めて損した」

「ブレインズにはやはり計画性など無かったのだ」

「逆になんでこんなに行き当たりばったりでこれまでなんとかなってきたの?」

「意外と頓挫しない定期」



《それじゃあ次はBチームの報告にいこうか》

「ほいさっ」

「Bチームは【魔力の蓄積】【ダンゴセンキョウダイ】【浮遊樹ウキノキ】なんかを設定したぞ!」

「怪しさ大爆発な名前が混じっとる」

「兄弟多すぎぃ」

「あと次回から本格的にドラゴン設定始める気がする」

「はぁぁ!?」

「ナニソレ!?」

「あ、Bチームの方で既にひと騒ぎ済ませておりますので」

「“その流れもういいよ”じゃないんだよなぁ!?」



「結局どっちもドラゴンが話題にのぼったりして、なんやかんや生まれつつあるんだな」

「前触れなんて無かった」

「それだけそれぞれの世界の土台が出来てるってことかなぁ?」

「こりゃ案外次回あたりにはあっさりドラゴンが生まれてるかもしれんな」

「マジか」

「ずっと目標にしてきたけど、いざ王手がかかるとなんかちょっと尻込みしちゃうな」

『尻込みしてる場合じゃないぞAチーム! 宵闇君に後れを取るわけには行かない……次回こそオイラたちもドラゴンづくり本格始動するぞ!』

「え~まあいいけど」

「本当にあの星でつくれるのかなぁ~?」

『つくるったらつくるの!』





〔ふむ。両チームドラゴンに着手しそうなタイミングで私から一ついいだろうか〕

「なになに?」

「どーした?」

〔先日ドラゴンの骨格構造に思いを馳せていたら……〕

「出ました。しらずちゃんは骨格にこだわるタイプのブレインズ」

「ペガサスの横っ腹から翼が生えてるのが許せないタイプのブレインズ」

〔だってあれおかしいもん〕

「思わず口調までキャラブレしている」

「それでドラゴンの骨格に何かあったん?」

〔うん。そこでドラゴンの角に対してひじょ~~~に違和感を覚えたんだ〕

「角?」

「ああ~、確かに西洋ドラゴンも東洋ドラゴンも角があることが多いよねぇ」

「ふつうに考えればアレも無駄に重量嵩む代物か」

〔重量問題もあるにはある。だがそれ以上に――…〕




〔……ドラゴンて草食なのか?〕




「ファッ!?」

「なぜなにどーして!?」

〔あのいかにも格好良さを象徴した感じの角だが、よく考えてみて欲しい。地球上で角の生えた動物がどんな奴らかを……〕

「ヤギさん」

「ヒツジさん」

「シカさん」

「ウシさん」

「サイさん」

「キリンさん」




「全部草食じゃないか!!!」




「草食! マジで草食しかいねぇ!」

「そうか肉食獣は角がなくとも己の爪と牙があるが……」

「角は小回りきかすにも隠れ潜むにもむしろ邪魔!」

「角とは草食獣の象徴だった!?」

「ドラゴンお前……っ、世界の覇者みたいな風格出しといて、頭に草食獣の象徴くっつけてたんかぁ!?」

「いかにも強そう感を醸し出していたアレが実は被食者限定アイテムだったなんて……!?」

「最強生物の沽券に関わる……!」

「獰猛な顔したあの子も悪そうなあの子も神格化されてるあの子もみんな、頭にそんなものをくっつけて威風堂々としていたなんて……!」



「おいマズいぞなんちゅー事実に気が付いてくれたんだクマ公!」

「あらゆる作品に登場するドラゴンさん達のイメージが今壊滅的危機に瀕してるぞ!」

「風評被害で訴えられたらどーすんですわオイコラ」

「由々しき事態っ! 由々しき事態っ!」


〔というわけで私から新規に課題を出させてもらう。今後ドラゴンを設定する際は角がある然るべき理由も共に考えるように。じゃ〕


「あっあいつ消えやがった!」

「言うだけ言って逃げてったぞ!」

「とんでもねー不発弾落とされた気分!」



『こーなっちゃった以上仕方ない。いいかい諸君……ブレインズの総力をあげてもドラゴンが角をもつに足る正当なる理由を見つけるぞ。全国のドラゴン好きなよいこ達のイメージを守るために!!』


「「「「「おーっ!!」」」」」




つづく




「硬梨菜先生の小説『シャングリラ・フロンティア』のアニメ第一話が最高オブ最高だったので喜びの更新でした!」

「長らく更新止まってごめんなさい!」

「実は思考39くらいまで書き貯められているのだけど、もうちょい書き貯めときたいな~と思って更新控えてたんだよね~」

「でも硬梨菜先生の小説『シャングリラ・フロンティア』のアニメ第一話が最高オブ最高だったから更新しないわけにはいかないじゃん!?」

「安定の見切り発車」

「硬梨菜先生の小説『シャングリラ・フロンティア』のアニメ第一話が最高オブ最高だったのだから仕方ない!仕方ないんだ!」


「なんか前にも見たなこのやりとり」



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