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思考13 中間報告とかいろいろ


【白の部屋】


 白い部屋にドアがよっつある。適度に広い。

 カエル一匹とカピバラ一匹と姿なきブレインズがいる。



遠闇『おっひさー宵闇クンと仲良しブレインズBチーム』

「イエーイ!」

「お久しゅうー!」

宵闇|《元気そうだね、遠闇君とおちゃめなブレインズAチーム》

「ひゃっほう!」

「元気元気ー!」



「そんな訳で近況報告するかぁ」

「ここしばらくはSFチームとファンタジーチームに分かれていたんだよね」

「そこからお互いどんな世界を作っていったのかは内緒だったよ」

「もちろん意識集合体だから知ろうと思えば一瞬で共有できるけど、内緒のままの方が後からサプライズを楽しめるって算段さ」

「都合がいい意識集合体設定」

「僕らは基本都合がいい存在なのだ」

「この作品はゴランノスポンサーとブレインズの楽しい優先でお送りしております」



『そんで、ファンタジーチームはどんな感じだい?』

「ボクらは魔法の設定から世界を考えているぞ!」

「おお!」

「すごーい!」

「やっと魔法の設定がひと段落ついたところで、まだ生き物の設定にはほとんど行ってないんだが」

「考えたのは精々ミジンコとかクンショウモとかだけだしな」

「え?」

「え? なんで?」

「なぜに微生物?」

「ファンタジー……だよね?」

「おう! ファンタジーだぜ!」

「詳しくはレポート参照してくれよな!」



《そっちのSF世界の方はどんな感じだい?》

「星の名前を考えて、一地域の環境設定を整備して生き物の設定を始めてるよ」

「植物と菌類を入れたらもういくつか生物の設定が固まったかな」

「おおおー!」

「すごいすごーい!」

「前回はつくった世界を実際に探検してみたんだー」

「遠闇君が軟体動物に弄ばれてねちょねちょプレイしちゃって大変だったよねー」

「え?」

「えぇ……?」

「一体そっちの世界で何やってるの君ら……?」

『お腹の皮剥がれるかと思った』

「いや本当に何があったし」



「しかしこれだけの話数を使ってまだ哺乳類的な動物にすら辿り着けないとは」

「予想通りっちゃ予想通り」

「予定外っちゃ予定外」

「一番大きな計算違いは、設定一つ考えるのに軽く一話以上使ってることだな」

「元々はもっとテンポよく一話に3つくらいのペースで生き物設定追加してく予定だったんだが……」

「とてもとてもそんなペースじゃないね」

「一話3000~4000字程度がこんなに短く感じるとはね」

『というか君ら一つ一つの設定にこだわりすぎでは』

「それがブレインズだししょうがない」

『設定一つ決めるまでの話題の紆余曲折も多いし』

「それもブレインズだししょうがない」

「あはははは」



「あとは“地の文”の少なさね!」

「当初は設定ができていく度に地の文の表現も増やしていけるかと思ったけど」

「思考パートに下手に地の文を入れるとテンポが極端に悪くなるんだよな」

「基本なにもない部屋だからアバターの描写しかできないしな」



 カエルはぷんすこしてる。


 カエルは得意満面だ。


 カエルは感情の読み取れない両生類の目をギラつかせながら細胞の素晴らしさを説いてまわった。



「カエル速報にしかならんのだよなぁ」

「いやこれはいらんわ」

「カエルウザイわぁー」

『カエル風評被害だよねこれ!?』

「宵闇の場合だと……」



 カピバラは眠そうな顔で見つめている。


 カピバラは眠そうな顔で首を傾げている。


 カピバラは眠そうな顔で鼻をふすふすと鳴らしている。



「宵闇ちゃんはより一層動きがないな」

「感情表現がよく判らん」

「温泉入る?」

《特に眠くはないんだけどね。温泉は入る》



 カピバラは目の前に現れた温泉にいそいそと入り込むと岩縁に顎を預けて目をつぶった。

 気持ち良さそうにピスピスと鼻を鳴らすカピバラの頭の上ではカエルがのどを小刻みに揺らしたり欠伸をしたりのんびり顔を洗ったりしている。



「なごむぞ」

「しかしやはりブレインズのお喋りの合間に入ってくるとテンポが悪いな」

「今までセリフのみで進行してたところにいきなり入ってくるとなんだか慣れないし」

《それはブレインズを姿のない不特定多数のまま進めてしまった弊害かもね》

「常にノリで行動してるからしゃーない!」

《最初の宇宙の設定が長かったし地の文を徐々に入れていく余地がずっとなかったのも要因の一つかもしれないね》

「そういう感じのノリだったししゃーない!」

「あはははー」





「そんなこんなでSFの部屋で設定したのは【惑星、盆地、二重層の空気、ハスッポイモン、キノコ、カサセオイ】ってところだ」

「幻想の部屋は【魔法、精霊】の設定、あとは最初に始める【洞窟】の名前を何とか設定したくらいかな」

「SFの部屋は盆地内の生態系づくりをメインにしてるのね」

「オーイエー、我々の目指す世界は!」

「強者生存!」

「弱肉強食!」

「自然淘汰!」

「ヒャッハー!」

「どえらい殺伐とした世界だなオイ」

「目標がすり替わってるぞ」

『気が付いたらそんな感じになってた』



「となると幻想の部屋でもまったく同じことをやるのはちょっともったいない気がするな」

「生態系以外で何かできることってないもんかね?」

「んー」

《だったら僕たちは一所に留まらずに世界を回ってみるのはどうかな》

「世界を回る?」

「ふむ」

「生態系の調査は後回しで色々な場所に棲む生物の生態を考えていくんだね」

「ふむふむ」



「我々の場合その方が色々な魔法を使う生物を幅広く設定できていいかもな」

《最初は初期の時代の生物を考えて、その後その生物たちがどんな方向に進化したか見ていくとか》

「時代をびゅーんと飛ばしちゃうんだね!」

「それは面白いかも」

「初期の生物は単純な魔法しか使えないけど、後期の生物は複雑な魔法を駆使するようになるかもしれんぞ!」


 ~数万年後~


「とか適当に時間を飛ばしていけばきっとドラゴン誕生までサクサク進められるしな」

「相変わらずの見切り発車だねぇ」

「久々の頓挫濃厚」

「まぁなんとかなるさ~」



「これでそれぞれ今後の方向性も決まったな」

「遠闇率いるAチームはSFの部屋で詳細な生態系を……」

「宵闇率いるBチームは幻想の部屋で色々な地域に住む生物を……」

「設定していくぞー!」


「「「「「オー!!!」」」」」


『ありがとう、宵闇クン』

《どうしたんだい?》

『……んっふっふっふ……誠によいアイディアであった! 余が直々に褒めて遣わすぞ!』

「あっ遠闇が図に乗ってるぞ!」

「物理的にも宵闇君の頭に乗ってる!」

《ありがとう。SFの部屋の方もよろしく、遠闇君なら安心して任せられるよ》

『どどーんと任せんしゃい! ケ~ロケロケロ!』

「そして軽くあしらわれてる」

「いつものことだ」






『さてそれではここから先は遠闇の疑問質問コーナーが始まるぞ!』

「ナ、ナンダッテー」

「いったいどういうことなんだ!」

「なにそれ」

『ここまでの流れで見過ごされてきたことやあえて触れずに進めてきたことなど読み手の疑問も溜まっている頃だと思って用意したんだ。それでは登場してもらいましょう! しらず、カモーーーンッ!!』



 ぼわわわんっ



しらず〔あいよ〕


「おおっ……! 煙の中からクマが現れた!」

「クマだ、クロクマだ!」

「そして当然のように温泉に浸かりに行った……!」

「温泉いいなぁ」

『そんな訳であらゆる疑問をこの“しらず”が答えてくれるよ!』

「遠闇要素皆無じゃねーか」

「しらずの疑問質問コーナーに改題しろよ」



〔A・Bチームは別れて作業することが多いだろうからな、両方の状況を把握する便宜的な立場として用意したんだ〕

『他にも役目はあるけどそんなところだ!』

「なんで遠闇が偉そうなんだ……」

「で、特に疑問が溜まっていなかったらどうなるんだ」

『遠闇の疑問質問コーナーが終了するぞ!』

「一瞬で終了した」

「かなしみ」

「しらず……出てきた損だったね……」

「遠闇の無計画っぷりったらないな」



「いや~今回は久々に進展しない回だったなぁ」

「たまには休息も必要さ」

「実態は後半4展開くらい書いてはボツにを繰り返していたんだがな」

「おいバラすな」

「ま、ここで話すよりも早くそれぞれの世界をつくろうぜって事だな!」

「次回はBチームから始まるよ!」

「はりきっていこー!」



つづく

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〇●〇―オススメ―〇●〇

遠闇と宵闇がこっそりつくった4つめの部屋【進化の部屋】にて、『せかいつくるよ』の合間で起こった、
名前持ちブレインズたちのよりいっそうぐだぐだでオチのない会話をお届けするよ
せかるよのまにまに

〇●〇―コメディ・ほのぼの―〇●〇

ホラーコメディ三題噺
―心霊現象たちは今日も饒舌に語りかける―


【完結済】までこさんと白妙の手紙

【完結済】までこさんは1000年の秋を感じる



〇●〇―その他―〇●〇

【7行小説】71年目の告白

【短編】アメノチキミ



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