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思考1 我々は君たちの世界を観察する者(予定)である!


【場所:?????】


 どこかの空間。何色でもない。

 誰の姿もない。



「自分だけの世界をつくりたい!」

「なんだい出し抜けに」

「ここ最近悶々と考えていたんだ。単細胞レベルから全く新しい生物の進化の過程を楽しむような話を書きたいって。生態系やなんかも出来ちゃったりして、棲んでる生物の設定とか色々考えたい!」

「ほう」

「あわよくばそれを箱庭のように覗きながらそこに生まれた動物や知的生命体と会話したり文明の発展などを楽しみたい!」

「随分とまた壮大なスケールの話だな。一体どんな生物をつくるんだい」

「それが決まってなくてな」

「なんでやねん!」



「いや君、いきなりエセ関西弁使うなよ……。あたしそういうの嫌いなんだよ」

「そんな事はいいんだよ。なに? なんにも決まってないの? なんで?」

「テーマが自由すぎてそもそもの大まかな方向性が纏められないんだ……」

「まず創造対象。大きく分けて生物を作る、生態系を作る、知的生命体とコミュニケーション、の3つがやりたいとする。しかしここで大問題が浮上した」

「出来るんじゃない? 単細胞から始めて生態系作りつつ知的生命体を産み出せばいいじゃん」

「それをやるには生物学や地学物理学、民俗学や宗教学までありとあらゆる知識が必要となるのだよ!」

「思ってたより壮大なスケールのもん作るつもりだった!」

「どーしてそうなった」

「生物を考えるには棲んでいる環境を考えなくてはならず、環境を考えるにはどんな世界かを考えなくてはならず、世界観を考えるにはそこにどんな生物が棲んでいるのかを考えなければならない――無限ループ突入だ!!」



「そして何より重要なのが……最終的にそれらとコミュニケーションをとる為には、それを観察する“何者か”の存在が必要不可欠となるのだが……」

「まあ確かにね」

「で、それは何者なの?」

「知らんがな」

「どーゆーこっちゃねん!」

「エセ関西弁やめろってば」

「“何者か”の正体……神様の戯れ? 未来人の観察キット? それとも宇宙人の進化実験?」

「単細胞から進化を始めて知的生命体が生まれるまでにはものすごい時間が掛かりそうだけど“何者か”は長命なの?」

「それとも時間を巻き戻したりスピードを変えたり出来るの?」

「ゲーム世界とか?」



「そう……新しい世界を作るためには観察する“何者か”の設定をまず考えなければいけないことに気がついた。頭抱えた」

「自分の中だけの世界ならそんな事気にしなくても良いのでは……空想世界の妖精さんとお喋りしてたあの頃の自分を思い出そうぜ」

「あいにく私はなりきりタイプなんだ。設定がないと入り込めない」

「難儀な奴だな」

「もともとはそんな話をどこかで読みたいという意欲から始まった事なんだよ。どこで読めるか判らない以上自分で書くしかあるまい?」

「あるまい?て……いやぁそれ頓挫する気配が濃厚……」

「とにかく新しい世界をつくりたいものの何から手をつければいいか判らずにっちもさっちも進まない中閃いたのだよ」





「作りたいものがなんにも決まらないなら、それを考えるところからストーリーを始めればいいじゃない!」





「……をいをい……」

「……雲行きが怪しくなってきた……」

「……頓挫する気配が濃厚……」

「そこでこの作品内で世界を作るために集められたのが我々というわけだよ。お分かりかね諸君?」

「我々って、じゃあ僕たちは何者なんだ? 神様? 未来人? 宇宙人?」

「決まってないぞ。性別もないし何人いるかも判らない。強いて言うなら我々には個も無い。ただひたすら意見を出し合う存在……皆で一つの意識集合体みたいなものだ」

「まじかー」

「道理でさっきからやけに喋ってる人数が多いと思ったんだ」

「上のやり取りだけでも誰が何を喋っているのやら訳わからんもんな」

「皆で一つということはこれまでのはすべて自問自答のようなもの……?」

「壮大な独り言とも言い換えられる」

「その絵面は想像するとツラいからやめろ」



「しかし今後の為にも便宜上の我々の呼び名はあった方が良いだろう。このまま進むと読み手が混乱するぞ。“意識集合体”では親近感も湧きにくい」

「賛成」

「そだね」

「世界を造るというならやっぱり“神”かな?」

「ちょっと仰々しすぎてイメージ合わない」

「では世界の変遷を見守る者ということで“観測者”」

「未知の生命を探求する者ということで“研究者”」

「悪くないけどちょっと人間臭いかなぁ。ほら我々肉体もないことだし」

「うわぁ」

「アイデンティティーが揺らぎに揺らぐ発言だよ」

「だからこその呼び名だよ」



「じゃあ“ブレインズ”なんてどうだろう?」



「ふむ?」

「その心は?」

「サンダーバード好きなのでブレインズ博士から取りましたぞい」

「をいをい」

「まあ……日本語で“頭脳たち”……悪くないんじゃない?」

「こうして顔付き合わせて喋ってるだけの俺らにはお似合いだな」

「顔というかそもそも肉体ないけどな」

「それでは我々は便宜上“ブレインズ”に決定だ!」

「わーわーひゅーひゅー」

「頓挫濃厚」



「この調子で今度はこの場所の名前を考えてしまおう」

「便宜上のね」

「まあこれは、深く考えず【白の部屋】とかでいいんじゃないか」

「順当に賛成」

「白は良いぞ。……マサラはまっしろ はじまりのいろ……」






【白の部屋】


 白い空間。適度に広い。

 姿なきブレインズが集まっている。



「何もないな」

「まだ必要ないともいう」

「さてお次は」

「この誰が何を喋っているんだか判らない状態を何とかしようか」

「キャラも安定しないしな」

「このわちゃわちゃ感も嫌いじゃないけど」

「じゃあこのまま進める?」

「誰のセリフか判らないまま読み進めるってまあまあ大変だわな」

「早速ルート分岐が現れちゃったぞ」

「どっちにするんだ」

「ほら元々何も決まってないから……」

「頓挫濃厚」



「どうせ我々皆で一つの存在な訳じゃん」

「だからさ」

遠闇「こうやって便宜上のキャラを数体用意して会話形式で進行すれば読みやすいかと思ったんだけど」

遠闇「このわちゃわちゃ感を捨てるのも惜しい気がしてきたなぁ」


「――あっ、思い付いたぞ! それなら現状を維持しつつ進行役にだけ“遠闇”という便宜上のキャラを立てよう!」


「ほう?」

「その心は?」

「ぶっちゃけ進行役以外は誰のセリフだろうと読み手には関係ないし?」

「遠闇が代表して議題を投げる。それを受けて我々がわちゃわちゃと自由な意見を出す。最後にそれを遠闇がうまいことまとめる……と」

遠闇「え~、自分だってわちゃわちゃしたいー!」

「言い出しっぺでしょ、わがまま言わない!」

遠闇「早くも設定が増やされてる……」



遠闇「えーそれではせっかくなので遠闇にはアマガエルのアバターも用意します」

「何でカエル?」

遠闇「かわいいでしょ」

遠闇「君たち名も無きブレインズとは格が違うのだよ格が!!」

「うわぁ」

「早速調子のってる」

「名前がついた途端これなんだから……」

遠闇「ケロケロ」

「じゃあ我々の便宜的な設定も決まったことだし今日はひとまずここまでということで!」

「かいさーん!」

「おつかれー」

遠闇「あれ進行役って遠闇なんじゃなかったの?」



つづく

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〇●〇―オススメ―〇●〇

遠闇と宵闇がこっそりつくった4つめの部屋【進化の部屋】にて、『せかいつくるよ』の合間で起こった、
名前持ちブレインズたちのよりいっそうぐだぐだでオチのない会話をお届けするよ
せかるよのまにまに

〇●〇―コメディ・ほのぼの―〇●〇

ホラーコメディ三題噺
―心霊現象たちは今日も饒舌に語りかける―


【完結済】までこさんと白妙の手紙

【完結済】までこさんは1000年の秋を感じる



〇●〇―その他―〇●〇

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