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勇者がいなくたって!!  作者: こけつき
第2章 世界統一編
6/10

動き出すαクラス

 「ここからだ。始まるぞ、僕らの改革が」

 「具体的にはどうするんだ?」とタイガが聞いた。


 「まずは俺達が本当に力を持っているということを世界に示す必要がある。だから実績を作る。明日の集会で詳しく話すよ。明日の集会にはルアを連れてきてくれ」

「わかった。」


そうして僕たちは家へ帰った。


―――時は進み、個性の授業時間。


 久しぶりに僕とスカーレットは王都の散策に出た。

今日サリアが、個性の授業の時間を使ってライブを開くと言っていたので聴きに来たのだ。


 「うお〜やってるな、サリア」

 「ほんと、すごい人気ね」

 「あれ…校長か?」

 「フローレス先生もいるわよ…てか教師みんないるじゃない」

 「さすが歌姫だな」


 サリアのライブはとてもすごいものだった。市場の中心に即席のステージが作られていて、サリアはそこで歌っていた。輝いていた。

きらびやかなようで、どこか落ち着いている、それでいて太陽のように心に直接語りかけてくるような、素晴らしい歌だ。

 

 「これは確かに、会場を設けたところで入りきらないよな…」


こんな素晴らしい歌を一度聴いて、もう一度聴きたいと思わない人がいないわけがない。


 「こりゃ1,2万人は軽くいそうだな…」


歌姫のライブを聴くために訪れた人々は、サリアが歌っているステージを何重にも囲んでいた。

見渡す限り観客だ。地面が埋め尽くされてしまったため、家の屋根に登って聞いている人もいる。

サリアの影響力は予想以上だ。もはや国民的スターじゃないか。

国民的スターが仲間なんて心強い限りだ。


 ライブが終わり、僕たちはサリアを迎えに行った。

「お疲れ様。本当にすごかったよ。」


 「ありがとう。ここまでみんなに褒められると照れちゃうよ。ノア、この力の使い方を考え出してくれて本当にありがとう。」


 「何言ってるんだ。サリアが努力しなきゃこんなに人気は出なかったさ。サリアが自分で成し遂げたんだよ。」


 「私は今までこの能力を力が必要なときにしか使ってこなかった。喧嘩のときとかね。だからゴリラって呼ばれたり、筋肉女って言われたりしてたんだ。でも、ノアがこの使い方を教えてくれてからは歌姫って呼ばれるようになった。ゴリラから歌姫だよ?すごい変化だよ。私今までこの力嫌いだったけどノアのおかげで好きになれた。ありがとう。」


僕とスカーレットは静かに頷いた。


 「サリアちゃん一緒に学校戻る?それともまだ用事ある?」

 「あー、ごめんスカーレットちゃん。まだ挨拶とか色々あって…。」

 「全然気にしないで!?歌姫さんほどのスターにもなると色々忙しいでしょ?(笑)」

 「ほんとごめん!今日の集会はいつものとこでいいんだよね?それじゃあ、またあとで。」


そういって歌姫は去っていった。


 「帰ろっか。」

 「そうだな。」


そうして僕たちは久しぶりの王都散策を終え、学校へ戻った。そしてみんなより一足先にギルローイ広場へ向かった。


 「あれ?タイガ、ルアも、どうしたのって…え?」

 「よっ。」

 「よっ。じゃねえよ。この人達は?」

 

みんなより一足先に集会場へ向かうと、そこにはタイガとルア、それに加えて数人の見覚えのない男女がいた。こっちに向かって手を振っている。


 「剣術学校のやつらだよ。左からベルガリア、ソルカ、グランデ、ロイ。」

 「よ、よろしく。え?じゃあこっちは?」

 「魔法学校の友達〜。ハンスとリア、ファイズ、アロメだよ〜。」

 

 「え、この人達って…」

 「あぁ、知ってるよ。全部。俺たちも何か手助けがしたくて、信頼できる奴らに声かけて同志募ってたんだ。」


 「ありがとう〜!さすがタイガ!!」

 「やろうって言い出したのはルアだけどな。」

 「ありがと!ルア!」


これは更なる朗報だ。王国学校では特殊な技能の持ち主は多かったが、純粋に剣術や魔法といった王道職が少なかったのだ。


 「ノアです、よろしくお願いします」

そういって僕が自己紹介をしたとき、ちょうどクラスのみんながギルローイ広場に集まってきた。


 「え、?」

タイガたちを見るなりみんなは固まってしまった。どうやら驚いて思考停止してしまったらしい。

僕が1から説明をすると、みんなはハイタッチをして喜びあった。

そして全員が自己紹介を済ませ、僕は本題に入ることにした。


 「まずひとつ、みんなに伝えることがある。昨日のラーグの父さんの件、無事に協力が決まった!」

 「まさか本当にパイプ持てちまうとは…」


 まぁ当然の反応だ。実際に交渉に行った僕でさえまだ信じられていない。

みんなが落ち着くのを待ってから、僕は話を続けた。

 

 「最後の問題だった貴族とのパイプも解決した。そこで僕たちは次の段階に進もうと思う。」

「なにするの〜?」

間髪入れずにルアが聞いた。せっかちだな。


 「僕たちは社会に対してある程度の影響力を持つことができた。そこに関しては誰も否定しないと思う。だが、僕たちには実績がない。力があっても実績があるのとないのとでは印象に明確な差が生まれる。だから僕たちは実績を作ろうと思う。」

みんなキョトンとしてしまっている。理解できていないのだろう。だが、僕は続けた。


 「では具体的に何をしていくかについて説明しようと思う。わかってるとは思うが、こうしている間にも各地の村は魔王軍に襲われている。僕たちは今後―――。」

 

 僕がみんなに説明した内容はこうだ。

武術系の才能を持っている者を2班に分ける。本当は3班に分けてもいいとは思うが念には念を入れる。

そして、各班が魔王軍から村を守る。


 民衆や貴族への影響力が大きいものは、その2班の活躍を国内外へと広める。

国内外はクラスのみんなに頼み、国外はシノビ衆に頼むこととする。


 「それとシノブ、1つ頼みがあるんだがいいか?」

 「どうしたの?」

 「シノビ衆を連れて魔界に行ってもらえないか。」

 「情報収集、だね。魔王はこっちのことをよく知っているのに、僕らは魔界のことを知らなさすぎる。わかった、今晩発つよ。しばらく学校には行けないから、みんな僕は家族と超長期旅行にでも行ってることにしてね。」

 「気をつけてくれ。」

 「わかってるって。」

 「危なくなったらすぐに帰ってきてな。」

 「はいはーい。そんじゃみんなまたね。」


そういってシノブは一瞬にして姿を消した。


 「シノブも命張るんだ。僕らも頑張ろう。」

 「そうだな。」


そして集会は終わり、僕は家に帰りながら思った。


 こんなにスムーズにいっていいのか、と。何か不吉な予感がする。

だが気にしても仕方がない。これからはひとつひとつのことを慎重に行動に移そう。




 



今回は前回の続きでした。

これから色々なことが動き出します。楽しみにしていてください。


少しでも面白さを感じたらブックマークしていただけると幸いです。

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