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勇者がいなくたって!!  作者: こけつき
第1章 王国学校編
1/10

入学式

初めて小説を書きました!ぜひ読んでみてください!

少しでも面白さ、伸びしろを感じたらコメント、ブックマークお願いします!

 

 今日は僕の入学式の日だ。珍しく目覚ましのアラームで起きた。

「おはよ母さん。」そう言いながら僕は階段を降り、食卓の椅子に腰掛けた。

「おはようノア、今日はいい天気ねー。入学式の日が快晴なんて最高ね!」

眠たげな僕の顔を確認してニコッと笑った母さんは僕の目の前に朝食、目玉焼きとトーストを置いた。

僕は眠たい目を擦りながら「ほんとにね。いただきまぁす。」と返し、急いで朝食を食べ終えた。


 「いってきまーす!」

僕は今日、王国学校に入学する。1人で起きられたのはこのためだ。

 玄関のドアを開けて家を出ようとしたとき、母親が慌ててリビングのドア越しに僕を止めた。

「あ!待って!まだタイガくんとルアちゃんが準備できてないみたい!」

早く学校へ向かいたい僕は「ったく遅いなぁ。しっかりしろよあいつら。」と悪態をつきながらドアを閉め、リビングへ戻った。


 僕とタイガとルアは幼馴染だ。今までは一緒の学校だったが、今年からそれぞれが別々の学校へ進む。

タイガは剣術学校に、ルアは魔法学校に入学する。

 魔法学校と剣術学校とは、その名の通り魔法と、剣術をそれぞれ学ぶ学校だ。どちらの学校もセンスが問われるため僅か3%しか合格することのできない超エリート校で、タイガとルアはそれぞれの学校に推薦入学が決まった。

 一方、僕が通う王国学校は単なる学力で合否を判断する普通の学校だ。

あぁ、神はなぜ幼馴染3人のうち僕だけを不出来にしたのか…


 「ごめ〜ん、遅くなったぁ〜」とルアが歩いてくる。

彼女に文句を言おうとすると、後ろから「すまんすまん、朝稽古してたら時間を忘れてた」と声が聞こえた。

 振り向くと、まぁ振り返るまでもなくわかるのだが、タイガが走ってこっちへ向かっている。

全員が集まり、3人で新たな学校へ向かえる喜びを噛み締めながら僕は言った。

「ルアは絶対悪いと思ってないだろうが。タイガも真面目なのはいいけど時間は守ってくれよ…。まぁいいや。それじゃあ行こう!入学式に!」


 僕たち3人が通う、それぞれの3つの学校はすべて隣接して建てられており、入学式も3校合同で王城にて行われる。

 3人で新しい学校でどんな学校生活を送るか、その夢を語り合いながら王都を歩いているとすぐに校舎の目の前に着いた。前を歩いていた僕は2人を振り返り「到着!!じゃあまた入学式の会場で!!」と言って、2人の「は~い!」「あいよ」という返事を背中で聞きながら学校を門をくぐった。


 校舎に入った僕は、張り出されている組分け表を見て「どこだ〜?」と呟きながら自分の名前を探す。見つけた。どうやら僕はαクラスらしい。

 αクラスはα棟なので新築と見受けられるこの校舎の階段を登りながら、αクラスの教室を探す。

 「ふーっ」

緊張する。普通と言っても王国の国立学校だ。しかも入学式は王城。しないほうがおかしい。

緊張と興奮で胸をバクバクさせながらも教室に入って自分の席に着くと、隣の赤い髪の女の子に話しかけられた。

 「あなたお名前は?」

そう尋ねる彼女があまりに綺麗だったもので僕は驚いて「はひ!?」と言ってしまった。

「あっごめんなさい!僕はアーノルド・ノアです、あなたは?」よし、落ち着いて言うことができた。


 「アイナ・スカーレットです、どうぞよろしく。ごめんなさい急に話しかけてしまって。話せそうな人がいなかったの、でも隣の人とは話せるようになったほうがいいと思って…」

顔を赤くして恥じらっている彼女はとても可愛かった。その容姿に加え、迷惑をかけたと思って1人であたふたしているのが更にかわいく感じさせた。

  こんな人と学校生活を一緒に送れることを考えると顔がにやけそうだったが、どうにか抑えて「こちらこそよろしく」と返した。


 チャイムがなった、朝礼が始まる。ガラガラッという音を立てて扉を開け、気の強そうな女の人がつかつかと入ってきた。おそらくあれが担任教師だ。

 「諸君!入学おめでとう!私は、このクラスの担任を任されたガブリエラ・フローレスだ。全員…いるな。伝達事項は…入学式が終わったら流れ解散となること。以上だ。じゃあ、入学式会場に行こうか。」

サッと出欠の確認を取ったフローレス先生にそう言われ、僕達は入学式会場である王城の大講堂へと向かった。


 「うわ〜っ」思わず天井を見上げた。大講堂はとてつもなく大きかった。座席を見渡すと、3校合わせて600人ほどの新入生徒に加え、それぞれの生徒の家族が来てもまだスペースが余っていた。さすが王城だなと周囲の生徒と話していた。


 「静まれぇい!!」

壇上にいる王の一声でガヤガヤとしていた講堂内は一瞬でシーンと静かになった。

 「これからルネサリア王国、国立魔法・剣術・王国学校の合同入学式を行う。」

王は入学式開催の宣言をすると自分の席へと戻り、代わりに偉そうな男の人が壇上へと上がっていかにもつまらない話をした。


 窓から夕日が差し込む。どれほどの時が経ったかわからない。

あぁ、綺麗だなと感じ、ふと我に帰ると王が再び壇上へ上がり話を初めた。

 「皆が知っているように、今世界は異世界の門からやってきた魔王とその軍に侵略される危機に陥っている。現実ではおとぎ話のように勇者などはいない。魔法・剣術・またはその他の分野において、一般人とは一線を画す能力のある諸君らが魔王を退けるしかないのだ。魔王を退けるためには、それぞれの分野を深く学んだ諸君らの助力は、必ず必要なものとなる。諸君、学校で学ぶことが私への忠誠だ。それぞれが学んだことを将来しっかりと生かし、私に力を貸してくれ。頼んだぞ!」

 王がこう言うと講堂内から、わぁっ!!と大歓声があがった。

僕は皆と同じように歓声を上げながらも、王の”一般人とは一線を画す”という言葉にすこし引っかかっていた。

 

 その後入学式は無事に終わり、僕たちは大講堂を出た。

「一線を画す、か…」口に出してみてもまだわからない。

一般人ではないとはどういうことなのだろう。何か特殊な能力でもあるんだろうか。

スカーレットさんに聞いてみたらわかるかと思いながら僕は教室に向かった。


 教室に戻るとスカーレットさんは既に自分の席についていた。

 「ねぇスカーレットさん。君にはどんな能力があるの?」と僕が聞くと、彼女は少し考えるポーズを取って「錬金術?」と呟いた。

「私が得意なことが何かってことでいいんだよね??」と確認する彼女に「うん」と言って頷いた。

「えっと、私は錬金術が少々できるくらいです。でもどうして??」


 ”錬金術”ってなんだ?と思いながらも、これ以上初対面なのにずけずけ聞くと品格が疑われるので感謝の言葉を述べてからスカーレットさんの質問に答えた。

「…錬金術ですか、ありがとうございます。さっき王様がみんな一般人とは違うって言ってたのでスカーレットさんも何か特別なことができるのかなと思って。」

「私の家系は昔から錬金術師を輩出してきた家なので、私も小さいときから錬金術を教わってたんです。ノアさんは何がお出来になるんですか??」

 僕のことに興味津々な様子で質問をしてくる彼女に、僕は「えーと」と言いながら視線を落とした。凡人の僕には何もできることはない。できることは人並な勉強くらいだ。


 そう思い、目を泳がせていると1人の少年が目を輝かせて話しかけてきた。

「錬金術…ってことはアイナ家の方ですか!?」と少年は言った。どうやら彼女の家のことを知っているらしい。

「はい、アイナ・スカーレットと言います。よろしくお願い致します」と、挨拶をした彼女は「あなたは?」と聞き返した。

 「申し遅れました。エンマ・シノブと申します、気軽にシノブと読んで下さい。」

そう言ったシノブは先程彼女が彼にしたのと同じように、僕に「あなたは?」と聞いた。

  「僕はアーノルド・ノア。それでシノブ、なんで錬金術って聞いてアイナ家ってすぐにわかったの?」

僕がそう言うと、シノブは丁寧に答えてくれた。彼曰く、アイナ家というのは何百年も前から錬金術で名を馳せた一族だそうで、王宮の宮廷錬金術師をもう何世代も連続でやっているとても由緒正しい家だそうだ。


 「シノブも何かできるの?」と僕は彼に尋ねた。

これでシノブも何かできるのであれば、この学校内の殆どの生徒が特殊な”何か”をできると思われる。

「僕は…」そう言って彼は俯いたが、すぐにまた顔を上げこちらに向かって頭を下げた。

「僕も得意なことはあるのですが、今はまだ言えません。いつか絶対にお伝えしますので今はどうか見逃してください。」

「いやいいんだ、僕が悪かった。いつか教えてね」


 さて、スカーレットは由緒正しい錬金術師の家、シノブも何かできることがありそうだ。

それに比べて僕は単なる凡人だ。特にできることなど何もない。

王様がああやって言い切るということは、恐らくそれが入学の判断基準なのだろう。王国学校は単に学力を見る学校だと思っていたが違うらしい。

 ならばなぜ僕は入学することができたのだろうか。

 僕の疑問が解消されないまま、その日はそれで解散になった。


 門をくぐり、学校の敷地外から出るとタイガとルアが僕のことを待っていた。

「よっお疲れさん。見ろよこれ」そう言って彼はその手に持っているものを僕の顔の前に持ってきた。

「俺学内で主席だったっぽい、賞状もらった」、「私も〜、主席だったみたい。賞状もらっちゃった〜」

 

 「お前らはいいな。僕は凡人だから賞状なんてもらったことすらないよ」

天才たちが唯一賞状をもらっていない僕に賞状を見せるその手を払いながら僕はそう言った。


 「まぁまぁ、王国学校に入ったってことはルアにも何かしらの才能があったんだろ。凡人じゃねえよ」

「そうだよ〜、心配しなくて大丈夫」

2人が僕の肩をポンポン叩きながら励ましてくれる。

 せっかく励ましてくれているのにいつまでも非才さを嘆いていても申し訳ないので

「そうだな。てか腹減ったな、早く家に帰ろ」と気を取り直し、僕らは一緒に帰った。


 そうして家に帰って夕食を取り、風呂に入って床に入ると、ようやく自分が王国学校に入学したということを感じた。

 その夜は緊張と明日からの学校生活への期待と興奮でなかなか寝付けなかった。 


ぜひぜひコメント、アドバイスお願いします。


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