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将棋イベント後半戦とこれからの私と島崎さん


 次の3回戦で勝負が決まる。


 最後の勝負はオセロ対決。


1手15秒の早打ち対決だ。

この日のために購入したオセロの大盤が活躍する。

島崎さんはとても強いことは知っているが雪野将王もなかなか猛者らしい。


 2人の間には先程とは違うどことなくピリッとした雰囲気が漂う。

すごい、根っからの勝負師だ。


 私は簡単な解説と盤操作を担当。


「お願いします。」

と2人の声が聞こえて対局が始まった。


 押しては引きのけん制のし合う序盤。

激しく攻めあう中盤。

ギリギリの攻防を演じる終盤。


 私を含め観客の方々も熱戦に息をのむ。

結果は石1個差で島崎さんが勝利した。


「オセロ対決は島崎さんの勝利です。よって2対1で男の三番勝負は島崎さんの勝利です!」


「では、雪野将王には秘密の告白をしていただきます!」


「はは、恥ずかしいですね。」


 私はマイクを渡して雪野将王は観客席の真ん中に立った。


「えっと。秘密の告白ですが。ここにいる島崎さんのことを友人と言いましたが本当はそれ以上親友だと思っています。だから、彼が奨励会を退会して連絡を絶ったことがショックでした。だから、島崎さんがまた、将棋に関わるようになったことがとても嬉しいんです。だから皆様も是非とも青葉将棋道場にいらしてください。よろしくお願いします。」


 と言って深く頭を下げた。


 ふと島崎さんの顔を見ると赤面して、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

その顔を見て雪野将王は若干したり顔しているように見えた。


 15分休憩ののち、最後のプログラム


「最後のプログラムはお楽しみ抽選です。タイトルホルダーのクリアファイルが5点。将棋駒が印刷されたタオルが5点。この後にある雪野将王による指導対局無料券が1点。そして雪野将王のサイン本と揮毫入りの色紙各1点です。最初にお渡ししたパンフレットに抽選番号が書いてあります。」


 私が抽選箱を持って雪野将王がくじを引き、当選番号を発表していく。

すべてのプレゼントを配り終え大盛況のうちにイベントは終了した。


 雪野将王のサイン会、指導対局もたくさん人に参加していただいて大盛り上がりだった。

特に指導対局は雪野将王1人1人、親切丁寧に指導していて終了時間が大幅に遅れて19時前になっていた。


 今日のイベントで私はすっかり雪野将王の大ファンになった。

お茶目で誠実で友達思いでファンを大事にする、なんて素敵で素晴らしい人なんだろう。

将棋界の王子と言われる理由が分かった。


 すべてのイベント工程が終わり。細かな片づけをする。

この後、島崎さんは先に居酒屋で待っている雪野将王と打ち上げをするため、大掛かりなものは明日以降にとなった。


「今日は本当に疲れ様でした。いやぁ、大成功でしたね!」


「うん。青葉さん、雪野、お客さんみんなのおかげだよ。」


「いやいや、一番の功労者は島崎さんですよ。」


「ありがとう。いやーこの日のためいろんな準備をしていたから明日から少し腑抜けになりそうだよ。」


 片付けと帰る準備が終了し道場に鍵をかけた。


「今日は疲れたよね。ゆっくり休んでね。」


「はい。あの、島崎さん。」


 私はあることを言いたくて話を続けた。


「なんだい?」


「私も中学生名人戦に出てみようと思います。」


「それは、いいと思うよ。青葉さんなら十分県代表になれる実力はある。」


「はい。頑張ります。あと……島崎さんはアマタイトル戦出場されないんですか?」


「でも、アマチュア棋戦はほぼ休日だし、道場や青葉さんに迷惑がかかってしまう」


「心配はご無用です! みなさん優しいですから。島崎さんがアマチュアタイトルを獲ったら青葉将棋道場が大いに盛り上がります。 だから是非、出場してください!! そしてタイトルを獲ってください。」


 島崎さんは少し考えて。


「うん。出てみるよ。どこまでいけるか分からないけど頑張ってみるよ。」


 それぞれ新しい目標に向かって進んでいこう。



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