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将王戦第7局終局

 玲王戦第7局2日目は月曜日だから学校がある。

しかもその日に限って課外授業で終了が午後5時だという。


「蜜柑、今日は道場ないんだよね。これから課外授業の

お疲れ会で近くのモールに行かない?」


「ごめん!! 今日はどうしても見たい将棋の対局があって。

明日行こう!」


「わかった。じゃあ明日ね。」


「うん。明日楽しみにしてるね。」


 ごめん。普段なら喜び勇んで行くのだけど

今日だけは一分一秒でも早く家に帰りたい。


 私は大急ぎで家に帰って将王戦のネット中継を見始めた。

今日は道場が休みのため、島崎さんは自宅で観戦するとのことだ。


 局面は雪野将王の方が優勢だと思う。

しかし、持ち時間がかなり少ない。

雪野将王が残り時間23分で黒羽二冠が1時間41分。


 あれ?

確か1日目は逆だったはずでは?


 私は将王戦公式サイトにある棋譜を見た。

今日に入って雪野将王が2度。長考をしている。

局面は優勢だが少しでも間違うと逆転されてもおかしくない。

AIソフトでは優勢だが人間では勝ちにくい。そんな局面だ。

黒羽二冠が不利ながらも巧みに罠を張っているように思う。


 中継に戻して局面を見守るが1手進んで夕食休憩に入った。

私もそろそろ夕食なので部屋を出て食卓に向かった。

急いで夕食をとり、普段より2時間早くお風呂に入った。


 部屋に帰って将王戦中継を見ると午後7時4分か再開したばかりだった。

良かった。


 雪野将王が優勢で進みながら1時間程経過し、ついに雪野将王が秒読みとなった。

その後も手に汗握る対局の中、ついに雪野将王が黒羽二冠の玉をとらえた!!

あの、時間がない中で難しい局面から一度も間違えずに、すごい。


 将王戦第7局はついに佳境だ。

おそらく1時間後には勝負が決しているだろう。


 いやぁ、黒羽二冠もすごい。唯一の逃げ道を間違いなく選ぶ。

頭の中に高性能AIが搭載されているみたいだ。

詰むか詰まないか私にはもうわからない。


 「詰ませれば雪野将王の勝ち。逃げ切れば黒羽二冠の勝ちです。

これは正しく指しきれば雪野将王の防衛です。

しかし難解だ。時間がない中で読み切れるか!ですね。」

と解説のA級棋士である日野八段が興奮気味に言う。


 王手ラッシュを続ける雪野将王。

逃げて受けてかわす黒羽二冠。

ギリギリの攻防の行方は……


「あれ? これは事件ですよ。この手は詰みません。銀を使うと

最後に足りなくなります。金の打ちが正解ですね。」


 と日野八段は大盤を動かし詰まないことを解説した。


 黒羽二冠が次の一手を指すと雪野将王が画面越しでもわかるほど

愕然と肩を落とした。


 数手進み、雪野将王は天を仰ぎ、着物をきっちり正して投了した。

この瞬間黒羽三冠になり雪野八段になった。


 その後、感想戦と記者会見が行われた。

雪野さんは感想戦も記者会見もいつもと変わらない

雰囲気で話していた。


 悔しさや後悔。いろいろ思う。

たくさんあるのに押し殺してときには笑顔を交えて話す

雪野さんに自分のことのように心が痛んだ。


 中継が終了してベッドに入っても私はずっと将王戦第7局のことを

ずっと考えていた。


 将王戦第7局編はこの話で終了です。あと1~2話ほど続くと思います。

最後までよろしくお願い致します。

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